オーシャンズ世代にとって切っても切れない存在のスニーカーとデニム。
この2大アイテムに特化したクリーニングサービスが、全国に先駆けて「バルコ ランドリー プレイス 代々木上原」で始まった。
「加水分解してもあきらめないで」という仕掛け人の正体
誤解を恐れずに言えば、スニーカーは消耗品。革靴のようにソール交換ができるわけでもなければ、大切に保管していたとしても加水分解を起こすリスクもある。
しかし、スニーカー好きにとって「お気に入りを大切に履き続けたい」というのは紛れもない事実。そこで、全国80店舗以上展開する「バルコ ランドリープレイス」は、シューズブランドH.KATSUKAWAを主宰する勝川永一さんと、スニーカー特化型のクリーニングサービスを開発。それをこの度、東京・代々木上原のショップでスタートさせたのだ。

そこではいったい何をしてくれるのか? 履き潰す一歩手前の2足を持ち込んで、検証したいと思う。
履き潰す一歩手前のスニーカーの自己紹介
ということで、今回持ち込んだのはこの2足。汚れきった靴を人前にさらすのは若干恥ずかしいが、それぞれのプロフィールも簡単に記しておこう。
・ナイロンアッパーのナイキACG

・スエードアッパーのエアウォーク

直せないスニーカーはない? クリーニングの松竹梅
今回のスニーカークリーニングは、単純な“お洗濯”とは違う。
「ここで提案するクリーニングは、僕がこれまで靴作りや修理の経験に基づいて考えたものです。スニーカー専用洗濯機での水洗いで済む場合もありますが、それだけではどうしても落ちない汚れも出てきます。そこで、オプションになりますが、シューケアのメニューも用意しています」。
勝川さんによると、加水分解や極端に劣化が進んだスニーカーでも、ある程度のところまでなら修復できるという。

「完全にもと通りというわけにはいきませんが、履けるコンディションまでには修復できますよ。あまりにもヒドい状態だとコストがかさんでしまいますが(笑)」。
で、今回持ち込んだ2足のスニーカーはどのようなクリーニングとケアが適切なのだろうか。フェスやキャンプでガンガン履いているナイキのACGを勝川さんに見てもらうと……。

「アッパーがすべてナイロン系の素材ですから、専用マシーンでの水洗い(『スタンダード』コース・一足700円)でイケると思いますよ」。
え? 水洗いでいいの? 砂埃が生地の奥まで入り込んでいて、自宅では全然キレイにならなかったのだが……。
「むしろ生地が強いので、ガッツリ洗ったほうがいいと思います。汚れは絶対に落ちます。あと、除菌もできますからご安心を!」。

なるほど。わずか700円でピカピカになるのであれば、そんなに嬉しいことはない。勝川さんはまず靴紐を緩め、パーツの隙間にも洗剤が届くようにセット。そして、そのまま専用洗濯機にイン!

「これで15分ほど回したら、乾燥させて仕上げます。さて、その間にもう一足に取りかかりましょうか」。
ソールも破損しているスニーカーの対応策
スエードの色落ちと激しい毛羽立ちに加え、アウトソールの踵が磨り減っていたことから、ここに来るまでに実は処分も検討していた「エアウォーク ビック オリジナル」。今回のスニーカークリーニングの実力を計るには、もってこいな存在かもしれない。

「こちらはコンビ素材などに適した『ハイブリッド』(一足1500円)というメニューが良さそうです。クリーニングをしつつ部分ごとに補修を行えば、いい感じに復活するはずです。踵からの水の侵入を防ぐ修理もしたほうがいいですね」。

先程とは全然違うメニューに驚く。症状によってここまで対処が変わるとは、まるでスニーカーの病院じゃないか。
そして勝川さんはスポンジとネットを取り出した。
「同じく専用の洗濯機を使いますが、摩擦を防ぐためにネットに入れるんです。さらに、ネット内で両足が擦れないようにスポンジで固定します」。

なるほど。擦れるとスエードがさらに白っちゃけるための対応策ということか。
「洗濯機の中で無駄な動きをさせないことは重要です。

先程のナイキACGと同じく、洗濯機に入ったらスイッチオン! 洗浄の旅に出発だ。
続いては専用乾燥機に
洗濯機から取り出されたスニーカーが次に向かうのは、バルコがメーカーと共同開発したというスニーカー専用ドライヤーである。ここからは常温の風が大量に出ており、自然乾燥に近い状態でしっかりと乾かしていく。

「ここで大体2日くらいステイです。え⁉︎ なんで高温の風じゃないのかって? 高温だと生地が縮みますから、履き心地がゴワゴワするんですよ。それは避けたいですからね」。
隅々までこだわりが詰まったスニーカー 洗浄である。さて乾いたらいよいよ、仕上げである。
まるで新品?と思ってしまう感動の仕上がり
ランドリーの工程が完了し、いよいよ仕上げの段階に入っていく。

「ナイキACGは予想通りでしたね。取り切れていない汚れはブラッシングでカバーします」。

デオドランドミストを吹きかけて、いよいよフィニッシュ!
「こういうちょっとしたことでも長く快適に履けるようになります。除菌効果によってニオイの発生も抑えられますからね」。

これにて「ナイキ ACG リアクト テラ ゴービー」は復活。続いては、いくつかの修理が必要だと診断された「エアウォーク ビック オリジナル」の番だ。気になっていたかかとの破れはどうなった?
「こんな感じです。不要な部分を削って、新たなヒールパーツを付けました。これでもう“雨漏れ”もしないですね」。

これだけでも大満足だったが、ダメ押しの仕上げはこれから待っていた。
「毛羽立ったスエードは、最後に捕色(1000円)しておきましょう。毛羽立ちに関しては、油分が含まれたを防水スプレーをかけて毛足を寝かせていきます」。
専用洗濯機では補いきれない素材の特性は、人の手でフォローする。これが、ほかのスニーカークリーニングと圧倒的な違いを生むのだ。

そして、すべての工程を終えた姿がコチラ。白っちゃけていたスエードは黒さを取り戻し、毛羽も見事に落ち着いた。そしてシューレースまでピカピカになっている。

ジャーン!

「清潔感を保つためのケアはもちろん重要ですが、履くことを諦めかけていたスニーカー、大切に保管しておきたいスニーカーなどをお持ちいただくことも大歓迎です!」。
スニーカーのメンテナンスに対する価値感が一変する、バルコのパフォーマンスに感動! 次回は「デニム編」をお届けする。
[店舗情報]
バルコ ランドリー プレイス 代々木上原
住所:東京都渋谷区上原3-29-2
電話番号:03-6407-8415
営業:【セルフランドリー】24時間・年中無休
【カフェ・ランドリーアウト・クリーニング】9:00~21:00 ※年末年始、夏季休業あり
戸叶庸之=編集・文