誕生から130年。ここに来て永世定番たる501の売れ行きが急に伸びているらしい。
予想だにしなかった社会の変化は、我々の生活だけでなく、ワードローブにも少なからず影響を及ぼした。目まぐるしく更新される情報戦からイチ抜けして、定番の面白さと再度向き合う人。繊細で気を使う服から、丈夫で長く付き合えるものへとシフトした人。
501の需要急増は、そんな大人がいることを裏付けるエピソードだ。
「コロナショック以降、消費に対する人々の考え方が少し変わったのを実感しています。トレンドなどに左右されないで、歴史に裏打ちされた信頼感のある501に白羽の矢が立ったのだと思います」と、リーバイスPRの土屋佳奈子さんは言う。
特にリーバイス ビンテージ クロージング(以下LVC)のニーズ増は顕著で、501の中でもやはりリジッドモデルを選ぶ人が大半を占めているとのこと。歴史の長い501は各年代によって形やディテール、生地感が異なり、どのスタイルを選ぶかで個性が出るのも面白いところ。
原点の1890年モデルか、時代背景が興味深い大戦モデルか、あるいは……と頭を悩ませるのも楽しい。そして何より、これからの色落ちに思いを馳せながらじっくり育てていくという過程は服への愛着を思い出させてくれる。
さて、以下の写真ではLVCの501の全モデルをはいてみた。今回は182センチの男性モデルが、すべて31インチを着用。
LVC 501 全モデルをはき比べてみた!

[1890]今日まで続く、“501”という品番が初めて冠された、記念碑的モデルの復刻作。1890年代の9オンス生機によるプレーンセルビッジデニムを使っており、右側のみのヒップポケットがアイコニック。

[1937]サスペンダーボタン仕様からベルトループへと移行したモデルがオリジナル。ヒップの赤タブが採用された直後の時期で、バックルバックと相まって後ろ姿がサマになる。ほかに比べ、やや太め。

[1944]コチラがご存じ、“大戦モデル”。戦時中の物資統制によって使うリベットの量が減り、ヒップのアーキュエットステッチは糸からペイントになった。一方で、生地は逆に厚くて頑丈になっているのが特徴。

[1947]大戦を経て付属ディティールがそぎ落とされ、これ以降、501はよりファッションアイテムとして浸透していった。程良いスリムフィットで、リジッドの501が欲しいという人に、まずすすめることが多いという。

[1954]西海岸で生まれた501が東海岸にも普及していくのに伴い、後者では馴染みの薄かったボタンフライをジップに変更したのが「501ZXX」だ。

[1955]いわゆる紙パッチが初めて採用されたのが55モデルだ。当時のモーターサイクルカルチャーともリンクした太めで男らしい一本となった。

[1966]通称“ロクロク”。1990年代のヴィンテージブームを牽引したデニムとしても有名だ。腰回りから太ももがゆったり、膝にかけてテーパードしたフィットにファンが多い。
山本雄生=写真 荒木大輔=スタイリング 松本和也(W)=ヘアメイク 加瀬友重、今野 壘=文