脱エンジン車に世の中が進む一方、電気自動車にはまだまだ課題も多い。

例えばリチウムイオン電池は、現状からの劇的な航続距離の延伸や、給電時間の短縮が望めないといわれ、新しいバッテリー開発が急務となっている。

そうした中、我々の好物であるSUVにも、2020年は電気自動車とガソリン車のいいとこ取りともいえるPHEV(プラグインハイブリッド)車が多く登場した。


■トヨタ「RAV4 PHV」

SUVのビッグウェーブは人気車種の“PHEV化”。国産&輸入...の画像はこちら >>

2020年の「プラグインハイブリッド」の代表選手の1台は、2020年6月8日に販売され爆速で注文が殺到し、受注が一時停止となってしまったトヨタ「RAV4 PHV」だろう。

半年経った2020年12月現在でも、HP上で注文の再開は「改めてご案内」となっている。2020年内の販売目標を上回ってしまい、生産が追いつかない状況だ。

「RAV4 PHV」が大人気の理由はプラグインハイブリッドがエコだから、というだけではない。

なにしろ「RAV4 PHV」のエンジン+モーターの最高出力は306ps。2Lガソリン車の171psを大きく上回るのだ。しかもWLTCモード燃費も22.2km/Lと超優秀。つまり「速く走れるのに燃費がいい」ってわけだ。

 


■三菱「エクリプスクロスPHEV」

SUVのビッグウェーブは人気車種の“PHEV化”。国産&輸入車で知っておきたい6型

2020年10月29日に登場した三菱「エクリプスクロスPHEV」も、走りが自慢のPHEVだ。兄貴分の「アウトランダーPHEV」のシステムを流用した2.4L+2モーターの4WDシステムを搭載している。

さらに「エクリプスクロスPHEV」の場合、フロントとリアにそれぞれ1基ずつモーターを備えることで、「ランサーエボリューション」譲りの4WD制御システムを活用して自在に4輪を駆動させ、ドライバーの意のままの操縦性が楽しめるのも大きな特徴だ。


海外勢も続々登場

一方、日本よりひと足早く“電動化”に向かっている輸入車メーカーからは、2020年に大量のPHEVが登場した。

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メルセデス・ベンツ「GLC 350e 4マチッククーペ」。

まず4月3日メルセデス・ベンツのGLCに「GLC 350e 4マチッククーペ」が追加された。

もともと「GLC」と「GLCクーペ」にはそれぞれPHEVモデルが設定されていたのだが、マイナーチェンジで「GLCクーペ」のみにPHEVが再設定されている。

ただしマイナーチェンジ前とエンジンこそ同じ2Lターボだが、バッテリーの大容量化によって、システムの最高トルクは700N・mに向上(最高出力320psは同数値)した。

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BMW「X3 xDrive30e」。

また2019年の年末に投入された「X5」に続き、2020年4月13日にBMW「X3」に追加された「X3 xDrive30e」は、2Lターボ+モーターのプラグインハイブリッド。システム最高出力は292psとなる。

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ボルボ「XC40 T5」。

一方でボルボは2020年内に純エンジン車を廃止し、すべてを電動化すると宣言。その一環として2020年8月に「XC40」にも1.5Lターボ+モーターの「XC40 T5」が追加された。

すでに「XC90」と「XC60」にプラグインハイブリッドが用意されているので、これで同社のSUVにはすべてプラグインハイブリッドモデルがラインナップしたことになる。

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ジープ「レネゲード4xe」。

さらに、ひと昔前まではガソリンをがぶがぶ飲み込むV8エンジンのイメージだったジープブランドにも、2020年10月にプラグインハイブリッドが加わった。1.3Lターボ+2モーターの「レネゲード4xe」だ。

しかも後輪の駆動をモーターが行うため、細かい駆動力の制御がしやすい。つまり悪路走破性まで高められているというわけだ。

 

多くの車が、プラグインハイブリッド化によって走りと燃費を向上させている。

燃費が良い=自然に優しいプラグインハイブリッドSUVこそ、アウトドアを愛するの我々が選ぶべき車と言えるかもしれない。

 

籠島康弘=文

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