「看板娘という名の愉悦」とは……

緊急事態宣言解除によって、飲食店でお酒が飲めるようになった。とはいえ、東京を含む7都道府県はまん延防止等重点措置に移行。

感染防止対策をきっちり行いつつ、看板娘と向かい合いたい。

というわけで、勇んで向かったのは北区の十条駅。西口の駅前は再開発工事の真っ最中だった。

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右手から始まる十条銀座商店街へ。

十条のホルモン焼肉屋で、肉好きの看板娘が絶品の賄いに感動していた
全長約520m、200店を超える店舗が続く。

歩くこと5分で、目指す「ホルモン タンセイ」に到着。

十条のホルモン焼肉屋で、肉好きの看板娘が絶品の賄いに感動していた
10種類のホルモンをリーズナブルな価格で楽しめる。

店内は46席、最大16人の宴会スペースもある。

十条のホルモン焼肉屋で、肉好きの看板娘が絶品の賄いに感動していた
もちろん、看板娘もいます。

さあ、飲むぞ。おすすめのお酒を聞くと「私は“キンキン冷え冷え”の塩レモンサワーが好きです。ほかのお店のより飲みやすくて、お肉にも合いますよ」。473円。いただきましょう。

十条のホルモン焼肉屋で、肉好きの看板娘が絶品の賄いに感動していた
「お待たせしました〜」。

こちらは4月生まれの桜子さん(20歳)。

山梨県の南アルプス市で生まれ育った。

十条のホルモン焼肉屋で、肉好きの看板娘が絶品の賄いに感動していた
主役のお肉メニューも拝見。

これは迷うな……。桜子さんが言う。

「とにかく、全部美味しいんですよ。個人的にはA5炙りユッケ、上タン塩、金モモ、上ハラミが好き」。

十条のホルモン焼肉屋で、肉好きの看板娘が絶品の賄いに感動していた
芝浦の肉卸し問屋から鮮度が良いものを仕入れる。

なるほど。では、「金モモ」(1650円)をいただこうかな。

一方で、ホルモンは丁寧に下処理を行い、部位によって保存方法を変えるというこだわりぶり。「濃厚ホルモン」のハーフ(528円)も注文した。

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「ホルモンの王様!」という惹句が素晴らしい。

かくして、役者が出揃った。

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当連載、約50日ぶりのアルコールです。

看板娘が絶賛するお肉は、まず見た目が美しい。

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「金モモ」はサシの入ったやわらかい肉質の上ロース。

これは「両面を3秒ずつさっと炙って食べてください」とのこと。

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焼肉界の“3秒ルール”か。

これだけでも十分美味しいのだが、なんとトリュフ入りの卵黄ダレが添えられている。

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最後に飲み干しました。

続いて「濃厚ホルモン」。

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牛の大腸部分で自家製のタレがかかっている。

さて、桜子さんは大学2年生。しかし、コロナ禍の影響で授業はオンライン。大学にはほとんど登校していないという。

「上京したのも去年の8月。このお店は店頭の求人チラシを見て応募しました。店長をはじめ、みんな優しくてすっごい楽しいです」。

その店長、大森 直さん(24歳)が言う。

「人当たりがいいから飲食業、接客業に向いていますね。お客さんには常に笑顔で対応してくれるし、人と喋るのが好きなんでしょう。面接? 即採用ですよ。

その場でシフトを組みました(笑)」。

十条のホルモン焼肉屋で、肉好きの看板娘が絶品の賄いに感動していた
身長差に注目。

桜子さんは140cm、大森さんは180cm。じつに40cm差の相棒だ。しかし、桜子さんいわく、「今年2mm伸びたんですよ。ふふふ」。その調子で行けば、50年後には150cmになりますね。

じつは桜子さん、大の肉好き。この職場を選んだのも美味しい賄い目当てでもある。

十条のホルモン焼肉屋で、肉好きの看板娘が絶品の賄いに感動していた
本人いわく「好きな賄いランキング1位説が強い」というユッケ丼。

子供の頃の写真も見せてくれた。

十条のホルモン焼肉屋で、肉好きの看板娘が絶品の賄いに感動していた
家族でプールに行ったときの記念写真。

「小学生時代は、おじいちゃんとおばあちゃんがやってる駄菓子屋さんに通っていたんです。AKBにハマっていて、とくに篠田麻里子が好きで、くじ引きのカードを毎日買っていました」。

南アルプス市といえば富士山のお膝元。

当時は当たり前の風景だったが、上京してからは、帰省するたびに「富士山っていいな」と思って写真を撮るそうだ。

十条のホルモン焼肉屋で、肉好きの看板娘が絶品の賄いに感動していた
常にそこにある荘厳な山。

勉強は苦手だったが、「制服がかわいいから入りたい」という理由で猛勉強。甲府市内の県立高校を受験し、みごと合格した。軽音楽部に所属し、女子6人組のバンドを組んだ。

「バンド名は『Twinkle』で、キーボード担当でした。子供の頃からずっとピアノを習っていたんですよ。演奏するのは、ワニマとかいきものがかりとかのコピー曲です。たまに、合いの手とかは入れてました」。

合いの手というか、いわゆるコーラスですね。

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高校2年生のときの学校内でのライブ。

高校時代の楽しかった思い出のひとつに修学旅行もある。

「沖縄に行ったんですが、ソーキそばやアイスのブルーシールが美味しくて感動しました。どっちも、甲府にないので」。

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女子高生、ジャンプしがち。

では、最後に読者へのメッセージをお願いします。

十条のホルモン焼肉屋で、肉好きの看板娘が絶品の賄いに感動していた
右上は店長の大森さんだそうです。

【取材協力】
ホルモン タンセイ
住所:東京都北区十条仲原1-25-13
電話:03-5948-9330
www.yakiniku-tansei.com/jujo/

「看板娘という名の愉悦」Vol.157
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。
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石原たきび=取材・文

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