「STAY YOUNG総合研究所」とは……
いつまでも若々しい男でありたい。そんなウェルネスライフを志すオーシャンズ世代にとって、ED(勃起不全)は30~50代でぶつかる大きな壁のひとつ。
「年だから仕方がない……」とあきらめるその前に、近年目覚ましい進歩を遂げるED診療に頼ってみては?
教えてくれたのは
プライベートケアクリニック東京 東京院院長 泌尿器科医
小堀善友先生
1975年、埼玉県生まれ。医学博士。専門は男性性機能障害、男性不妊症、金沢大学医学部卒業後、獨協医科大学越谷病院泌尿器科、米国イリノイ大学シカゴ校留学、獨協大学埼玉医療センター泌尿器科准教授を経て現職。プライベートケアクリニック東京はセパレートタイプの待合室やオンライン診療などプライバシー管理にも配慮した人気クリニック。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)など。https://pcct.jp/repro
勃起の硬さをグレード別にチェック!
[グレード1]こんにゃく:陰茎は大きくなるが硬くはない
[グレード2]みかん:大きくなるが、挿入には不十分
[グレード3]グレープフルーツ:挿入には十分硬いが完全には硬くない
[グレード4]りんご:完全に硬く、硬直している
こちらはアメリカで開発されたEDの簡易チェック方法、EHS(勃起の硬さスケール)をベースに開発された日本語版EHS。
勃起の硬さの目安をこんにゃくや果物(果肉部分)に例えているため、セルフチェックがしやすいのが特徴だ。早速あなたのグレードを調べてみては!?
ED正しく知るべきKEYWORD 10
[KEYWORD 1]勃起のメカニズム
まずは勃起のメカニズムを知ろう。勃起は脳の視床下部という部分が視覚や聴覚などによって、性的興奮を感じるところからスタートする。
脳はその興奮を指令に変え、脊髄を通して腰のあたりにある勃起中枢という神経に伝える。するとペニスの海綿体というスポンジ状の組織の空洞に血液が流れ込み、その血圧によって硬く勃起するのだ。
[KEYWORD 2]ED
EDとは勃起障害のこと。EDを大別すると器質性ED、心因性ED、その両方の混合性EDの3タイプが存在する。
器質性EDとは、カラダに何らかの原因があって物理的に勃起が阻害されるもの。心因性EDはトラウマやストレス、うつ病などによる心理的、精神的な要因から起こる症状。このうち、最も多い器質性EDのおもな原因は血管と神経にある。
勃起に関係する動脈が詰まって血流が確保できなくなったり、糖尿病などで勃起を司る神経がダメージを受けることで、勃起に悪影響が出てしまう。
[KEYWORD 3]動脈
勃起には心臓から送り出される血液を全身に運ぶ動脈が深く関わっている。ペニスの動脈の血流が阻害されると、海綿体に血液が流れ込むことができなくなり、EDを引き起こす。
「ただ、陰茎動脈は(1~2mm)。大腿動脈(6~8mm)や内頸動脈(5~6mm)といった他の動脈と比べて非常に細い。つまり、男性のカラダの中で、最も最初に詰まりやすい血管がペニスの動脈なのです」(小堀先生)。
[KEYWORD 4]病のサイン
動脈の血管が硬くなって弾力性が失われると、血栓やプラークなどによって血管が詰まりやすくなる。これがEDの原因のひとつにもなる動脈硬化だ。
「動脈硬化が起きる場合は、ペニスだけでなくカラダのあちこちで同時進行しているケースがほとんど。
[KEYWORD 5]勃起改善薬
ほとんどの場合、ED治療は勃起改善薬による投薬治療のみ。その効果は目覚ましく、「私の経験では、不妊治療に訪れたED患者の実に8~9割の症状が改善しました」と小堀先生は語る。
「勃起改善薬が狙うのはペニスの海綿体に存在するPDE5。この酵素は血液の流れを悪くしたり、海綿体に血液が貯まらないようにしたりする働きを持っている。EDの一因になるこの酵素の働きをブロックすれば、血管が拡張され、勃起も促進されるという仕組みです」(小堀先生)。
[KEYWORD 6]糖尿病
糖尿病によって高血糖状態が続くと、血管や神経を痛め、動脈硬化や神経障害にもつながる。もちろんペニスの組織にもダメージを与えるため、EDの原因にもなってしまう。
「糖尿病とEDの関連を調べた調査によれば、糖尿病患者のED有病率は71~86%と報告されています(一般社団法人日本性機能学会『ED 診療ガイドライン』参照)。つまり、糖尿病患者のほとんどが、程度の差こそあれ、EDを患っているといっても過言ではないのです」(小堀先生)。
[KEYWORD 7]シアリス
バイアグラ、レビトラ、シアリスは、いずれもPDE5の働きを阻害するというメカニズムについては同じ。
「食事の影響を受けないため、食後すぐに飲んでもOK。何より作用時間の長さがずば抜けていて、金曜日の夜に飲めば、土、日曜日の旅行中まで効き目が持続するほど。3種類のうちでも、圧倒的なシェアを誇ります」(小堀先生)。
ちなみにバイアグラの特徴は知名度の高さ、レビトラはペニスの硬さに定評があるという。なお、それぞれにジェネリック医薬品も存在する。ドクターと相談して、マイベストを選ぼう。
[KEYWORD 8]ED診療
現在のED診療では5問のアンケートからなる IIEF5という国際勃起機能スコアが広く使われている。診断にはこのアンケートが使われているため、時間もかからない。では、病院に行く基準は?
「ED の定義は満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続、または再発すること(『ED 診療ガイドライン』参照)。要するに、満足を得られない時点でEDの可能性があります。
[KEYWORD 9]副作用
「ほてりや頭痛といった一過性の副作用がまれに起こる場合はありますが、多くの人にとっては、全身の血行を促進する、むしろ『カラダにいい薬』だと知ってほしいです」(小堀先生)。
実際、 こんな調査結果も。約2万人を対象にバイアグラを服用するグループと、薬効成分を含まない偽薬を服用するグループに分け、年間の心筋梗塞の発生率を調べたところ、医学的に優位といえる差は認められなかったという(『ED 診療ガイドライン』参照)。
[KEYWORD 10]勃起の限界
「何歳まで勃起できるのか?」とは男が抱く永遠の疑問。小堀先生によれば、「理論的には死ぬまで勃起はできます」という。そのために欠かせないのが肥満予防と運動不足の解消だ。
事実、40~70歳の男性2万2086名を対象にしたアメリカの医療従事者フォローアップ研究では、肥満とED悪化の関連と、運動強度の増加による勃起障害のリスク低下が明らかにされている。ただ、長時間のサイクリングは避けたほうが無難。前述のアメリカの研究でも、サドルで会陰部の血管や神経が圧迫されることでEDリスクが高まると報告されているとか。
「STAY YOUNG総合研究所」とは……加齢とともに気になりだした体型の変化や衰え……。俺たちを取り巻く体の悩みは山積みだ。
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山本雄生=写真 押条良太=編集・文