その人気ぶりは日本だけでなく世界各地で話題となり、1年以上の納車待ちが噂される新型のランドクルーザー。

モータースポーツから得た技術をフィードバックさせたGRスポーツモデルも注目の新型ランクルを、識者たちが解説!

新型「ランドクルーザー」の尽きない魅力。世界に誇るSUVを、...の画像はこちら >>

TOYOTA LAND CRUISER トヨタ ランドクルーザー
実に14年ぶりのフルモデルチェンジ。

悪路走破性や耐久性といったこの車の本質は先代から継承・進化させつつも、「運転しやすく、疲れにくい車」を意識して開発されたことが乗ると実感できる。つまりオフロード、オンロードともに世界最高峰の走行性能を獲得。全長4950×全幅1980×全高1925mm。510万円~。


トレンドのデザインも面白さ

オフィスは都内にあるのですが、自宅は長野県内の都市部に近い場所と自然環境に恵まれた場所にふたつ持ち、平日と週末で使いわけています。

もともとは家族で移動できる四駆として、ランドクルーザー プラドの78(ランドクルーザーよりやや小さな’90年代のモデル)を探していたのですが、2年かけて探してる間に子供が増え、なおかつ犬も増えたので「プラドじゃ何も載らない……」となり、ランドクルーザー80に行き着きました。

ランクル80は、クラシカルなビジュアルでありながら十分実用的にも使えるという、絶妙な線にある車。

最初はランクル80の“スタイル”が好きでしたが、長野の山で乗っているうちに、その走破性の高さがもたらす素晴らしさも知りました。キャンプ道具や薪を運ぶので車内は木屑だらけですが、ランクルは汚れているぐらいのほうが逆に格好いい。

新型のランドクルーザーはGRスポーツのデザインが人気で、標準モデルのほうはちょっと……みたいに思われてるようですが、僕は必ずしもそうは思いません。個人的には前の200系より好きなデザインですし、トレンドというか時代感が色濃く表れていて、この時代にしか出てこないデザインだと感じます。

僕自身は、80をEV化してでも乗り続けたいと思っていますが、これからランドクルーザーに乗ろうという人であれば、この300系はアリな選択だと思いますね。

新型「ランドクルーザー」の尽きない魅力。世界に誇るSUVを、識者6人が語り尽くす

「noru journal」編集長
村松 亮

プランナー兼プロデューサー。
人と移動をテーマとする「noru journal」の編集長でもある。都内から長野県御代田町および伊那谷に移住し、妻と子供たち、そして2頭の犬と暮らしている。

 

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性能を考えれば破格値

ひと口にランドクルーザーといってもそのモデルレンジは3つの柱があります。

ひとつは本気も本気のプロユースである70系、もうひとつはそれよりもややライトデューティなプラド系、そして信頼性と快適性、走破力の比類なき融合を目指したフラッグシップ系と。この300系ランクルはフラッグシップ系に相当するモデルです。

メカニズムの完全刷新という視点で見れば、かれこれ四半世紀ぶりくらいの新型ということになる300系は、エンジンも一新してディーゼルも追加されるなどトピックも盛りだくさんです。

でも、トヨタ十八番のハイブリッドはありません。

その理由は明確で、いかなる環境でも生きて帰ってこられるということがランクルの大前提になっているからです。

そのためには世界の過酷な環境での整備維持が可能な車でなければならない。しかし緻密な電子部品で構成されるハイブリッドをはじめとした電動化パワートレインは、そこまでのタフネスを望むにはまだいたらないというのが実情というわけです。

並のSUVとは一線を画するヘビーユースを想定していながら、静粛性や乗り心地は劇的に進化。サイズを厭わなければファミリーユースもOKと十分実用たるベースグレードの価格は、その能力からすればさすがトヨタの破格値です。

今頼んでも納車は随分あとになりそうですが、やすやすとモデルチェンジはしないので待つ価値はあると思いますよ。

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自動車ライター
渡辺敏史

出版社で自動車/バイク雑誌の編集に携わったあと、独立。自動車誌での執筆量が非常に多いジャーナリストのひとり。車の評価基準は、市井の人の暮らしにとって、いいものかどうか。

 

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最も大事な“安心感”がある

もともとはヨーロッパの小型車が好きだったのですが、独立した際にランドクルーザー80を買ったのは、妻が「車を買うならランクルじゃないと嫌!」と言ったからなんです。

というのも妻は白馬村の育ちで、彼女のお父さん、つまり私にとっての義父も白馬で代々のランクルを乗り継いでいた関係で、「車といえばランクル」みたいな刷り込みがあったようなんです。

で、ある意味宿命的に出会ったランクル80は、思いのほか運転しやすい車でした。アイポイントが高いので前方を見渡しやすいし、ノロノロ走っていても煽られません(笑)。

運転に自信がない人こそ、ランクルは向いているのかもしれませんね。

2018年からは長野県松本市に家族で移住し、仕事の拠点である東京と松本、そして妻の実家がある安曇野市をランクル80で行き来してますが、燃費が悪いこと以外は文句なしですね。

移動距離が長いと事故のリスクは必然的に高まるわけですが、ランクルであれば、万一事故に巻き込まれたとしても大きなケガはしないと思われますので、その安心感は何物にも代えがたいものがあります。

新型の300系ランドクルーザーは、顔に「TOYOTA」というエンブレムが付いているGRスポーツのほうのデザインが、スゴく好み。もしも今の80がダメになったら、買い替える可能性は十分にありますね。

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ご機嫌代表/GOEN 共同代表
今井洋一

イベントプロデュースやPRサポートなどを手掛ける。
また、信州発のクラフト製品を全国に届ける、オンラインサイトを立ち上げる。移住してから、J2の松本山雅FCを応援する楽しみができたとか。

 


ランクルは自動車業界の野茂英雄

大谷翔平選手、ハンパないっすね。本稿執筆時点では2ケタ勝利と本塁打王の行方は見えていませんが、ここから先の細かい数字なんてどうでもいいじゃないですか。

で、大谷選手のスゴさが際立つほど、思い出されるのが野茂英雄投手の存在。1995年に海を渡った彼が、日本人もメジャーで活躍できるのを証明したことで、イチロー選手や大谷選手もあとに続くことができたのだ。

自動車業界で野茂投手にあたるのが、トヨタのランドクルーザー。’50年代に輸出が始まったランクルは、山奥や砂漠のど真ん中の命がけの現場で、信頼を獲得したのだ。

生きて帰って来られるという、ある意味、車で最も大事な性能を持つランクルは「日本人が車なんて造れるのか?」という欧米人の疑念を吹き飛ばし、世界中にオーナーズクラブができるほど愛された。「日本車は壊れない」という評価が世界的に確立したのは、ランクルのおかげなのだ。

そして新型ランクルは、この車の根幹であるタフでヘビーデューティな性能をさらに磨き上げた。その一方で、基本骨格やサスペンションを刷新することで、欧米のプレミアムSUVと遜色のない乗り心地の良さや静粛性も手に入れている。また、GRスポーツという、やんちゃ走りができる仕様まで取り揃えた。

頼りがいがあるだけでなく、プレミアムでスポーティ。自動車界の野茂英雄は、“三刀流”に進化したのだ。

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モータージャーナリスト
サトータケシ

フリーランスのライター/エディター。今、一番エバれる車は新型のランクルだと断言。理由は「みんなが納車1年待ちなのに、即納させることでパワーを誇示できるから」だとか。

 

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シティ派のラグジュアリーSUV

先輩たちからの教えもあって、昔から大きいサイズの車に憧れていました。それこそ海外のHIPHOPアーティストやスケーターにとって、車は実用性も兼ねたステータスの象徴。そうした原体験による影響も大きいです。

ただし大きいといっても、街が生活拠点の僕にとって、スポーティなテイストやアウトドアシーンに適したデザインよりも、街でこそ映えるラグジュアリーなSUVが断然好みだったんです。

そして2年前くらいに家族も増えて、趣味に費やせる時間も増えたことから、マイカーを購入しました。それこそ当時の現行(200系)のランドクルーザーを検討していて、見積もりまで出していたんですけど、近く300系となる今回の新作が出るという情報を噂で聞き、そのタイミングで現行に乗ろうと思い、一旦は今の100系に落ち着きました。

僕の周りだと60や80などのランクルは結構いるのですが、どうしてもアウトドア好きな人が乗るイメージが強く、デザインはもちろんクールで格好いいんですが、シティ派な僕にとっては、やっぱり現行により近いラグジュアリーなデザインがしっくりくるなと思っています。

ただ趣味で家族や友人たちとキャンプをしたり、遠方にスケートボードの撮影をしに行くときは、荷物も多いので、SUVとしての走破性や積載力には助かってますし、ランクル本来の魅力を十分感じています。次乗り換えるなら、それこそこの新型に乗りたいですね。

新型「ランドクルーザー」の尽きない魅力。世界に誇るSUVを、識者6人が語り尽くす

「ヘルレイザー」ディレクター
渥美智春

ヘルレイザーのディレクターとして活動しながら、その旗艦店やギャラリーも運営。プライベートでは、スケートとキャンプをこよなく愛する1児の父である。現在の愛車はランドクルーザー100。

 


世界のランクル。買って間違いなし

コロナ禍前にドバイへ行ったときのこと。せっかくだからと砂漠のドライブツアーを申し込んでみれば、ホテルに迎えにきてくれたのがランクルだった。

スタート地点に着くと、そこには100台以上のランクルが! 砂漠のオアシスのような中継地点ではもはやランクルが佃煮のようになって溜まっていた。担当のドライバーに聞くと、「世界中のクロカン四駆を試したけれどランクルが一番。つまり世界一だ」。スゴく誇らしい気分になった。

世界のランドクルーザーである。フルモデルチェンジに熱狂しているのは日本人だけではないだろう。それにしても人気ぶりは凄まじく、新型の試乗テストをしていると若い人から声をかけられることも多かった。特にハイグレードモデル、GRスポーツのクラシックな顔つきがみんな気になっているらしい。

乗ってみての印象はというと、いかにも硬派なクロカンらしい従来のライドフィールがほとんど消え失せた。昨今のラグジュアリーSUVにも負けない乗り心地で、特にGRスポーツのアシがいい。

ガソリン、ディーゼルともにエンジンフィールが少々古くさく感じてしまうことと、60km/h前後で少し乗り心地がザラつくことは玉に瑕だったが、それ以外は申し分なし。2列目のシートも快適なようで女性陣からの評判(乗り心地や静粛性)も上々。

この大きさを乗りこなす自信があれば、買って間違いなし。すぐ買えたら、の話だけど。

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モータージャーナリスト
西川 淳

フリーランスの自動車“趣味”ライター。得意分野は、スーパースポーツ、クラシック&ヴィンテージといった趣味車。愛車もフィアット500(古くて可愛いやつ)やロータス エランなど趣味三昧。

 

谷津正行、野村優歩=文