1966年に登場した初代「ブロンコ」。

当時のライバルは「ジープCJ」で、全長約3848mmに2.8L~4.9Lのエンジンを搭載し、屋根やドアのないオープンモデルやピックアップ、ワゴンモデルなどのバリエーションが販売されていた。

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1978年に2代目へとモデルチェンジした際フルサイズピックアップトラックのFシリーズがベースとなったため、サイズは一気に大きく(全長約4580mm)なり、以降Fシリーズベースで代替えを繰り返したが、1996年の4代目の生産終了をもって姿を消した。


よりワイルド&タフになり、電撃のカムバック!

フォード「ブロンコ」がカムバック! 最新のワイルド&タフを纏った“野生馬”の兄弟
新型(左)と初代(右)のツーショット。

あれから24年。2020年7月13日、フォードは新型「ブロンコ」の概要と、同時に予約開始を発表した。

現代においての野生の馬(ブロンコの意味)のライバルは、「ジープCJ」の末裔となるカウボーイ(ジープ「ラングラー」のラングラーはカウボーイの意味)だ。生産開始は2021年初頭、春には全米のディーラーの店頭に並ぶ予定で、2ドアのベースモデルで2万9995ドル(約320万円)だという。

本格派オフローダーとして再び現れた「ブロンコ」のラインナップは、伝統の2ドア(4人乗り)と、ブロンコ史上初の4ドア(5人乗り)。

見た目は“アーリー・ブロンコ”と呼ばれて親しまれている初代に非常によく似ている。

それもそのはず、デザインチームは初代のデジタルスキャンをすることから仕事に取りかかったという。

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2ドアのサイズは全長約4412mmだから2代目「ブロンコ」より少し短い程度。一方写真の5ドアの全長は約4811mm。ライバルの5ドアとほぼ同じサイズだ。


自由なスタイル、見逃せない弟分

しかもスタイルが変幻自在。

ルーフパネルやリアのサイドパネル、ドアはそれぞれ簡単に取り外し可能で、気軽にオープンエアのワイルドなSUVに変身可能だ。

さらに200種類以上の純正オプションパーツが用意されるので、自分だけの「ブロンコ」に仕上げることもできる。

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取り外したパネルは専用ケースに入れて車内に載せられる。

搭載されるエンジンは2.3L直列4気筒ターボと2.7L V型6気筒ターボのガソリンエンジン。どちらも7速MTか10速ATが組み合わされる。

4WDシステムは本格派オフローダーらしく2WD/4WDを切り替えるパートタイム式。オプションで2WDと4WDを自動で切り替えられるシステムが用意されている。

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一部モデルには洗浄可能なゴム製フロアや、ビニールシートが採用され、さらにダッシュボードのスイッチ類にも防水処理が施されているので、汚れたら車内をガンガン洗える仕様。

初代のコンセプトだった「どんな所でも乗り越えて行ける(Go Over Any Type of Terrain)」は、新型「ブロンコ」に用意された最新の走行システムの名称に「G.O.A.Tシステム」として宿された。

ノーマル/エコ/スポーツのほかに、スリッピー/サンド(砂地)/マッド(泥濘地)&ラッツ(轍)、ロッククロール(岩場)、そしてBaja(バハ)がある。ちなみにバハとはメキシコのバハ・カリフォルニア半島のことで、ここで行われていたオフロードレース「バハ1000」で、初代は優勝している。

ほかにも急な下り坂を一定速度で降りていける「トレイルコントロール」機能や、岩場などを走行する際に便利な360度カメラなど、あらゆる地形に対応できる最新の走破機能を備えている。

そして今回「ブロンコスポーツ」という弟分も発表された。

全長は約4387mmだから兄の「ブロンコ」よりもちょっぴり短い程度だが、搭載されるエンジンはぐっと小さい1.5L直列3気筒ターボか2L直列4気筒ターボ。こちらはベースグレードで2万6660ドル(約286万円)。

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同時に発表された「ブロンコスポーツ」。最低地上高は約198mm、最大渡河深度は約450mm。「ブロンコ」ほどではないが、並みのSUVよりも悪路走破性は高い。

4ドアの5人乗りで、新型「ブロンコ」のようにドアパネルやルーフパネルを取り外すことはできないが、4WDで「G.O.A.Tシステム」を搭載するなど高い悪路走破性を備える。

排気量が小さい分、燃費が良さそうなので、普段の街乗りなども気軽に使えそう。もちろんキャンプに行く程度なら十二分過ぎるほどの能力を備えている。

残念ながらフォード・ジャパンが2016年に撤退したため、現在日本では正規輸入は見込めないが、何しろこの魅力的なスタイルだ。歴代のファンはもちろん、SUVファンもきっと気になるはず。

この新たに生まれた野生馬が、いつか日本でも走ることを期待しよう。

 

籠島康弘=文