「私だったらすぐに飛びつく対バンなんですけど、イベントむずっ!って思いました。BiSHのお客さんはバンド好きな人も多いけど、そういう人が圧倒的多数ではなくて。BiSHの出演時間は短いし、今回はいいかなと思っている人も多いみたいで。かなり奇跡的な日だと思うんですけどね。1回目の開催だし大切にしたくて。絶対自分が出てほしいと思う3組に、自分で手紙を書いたり、電話をしたり、直接会いに行ってお話をしたり、いろいろ頑張りました」
自ら歌を歌う一方、プロデューサーやイベント主催者もでき、色々と選択肢が多い彼女。その中で一番やりたいことは何なのか?
「あくまで自分で歌ったり音楽をやりたい。それは絶対的な根本にあります。それがはじまりで音楽を好きになっているので、プロデューサーになりたいとかまったく思ったことはないです。人の生きる糧になるために音楽を伝えたいと思っている。自分のために自分の好きな音楽をやるのが根っこにあって、それが誰かのために繋がると私は思っているから。絶対に自分で音楽をやるということが第一ですね」
BiSHの活動に関しては「不安だらけ」と語るチッチだが、グループは順調に成長している。
「やりたいことをやって、それに共感してくれたり、好きだなと思ってくれている人が、今私を応援してくれている人たちなのかなと思うんです。私のやっていることが誰かの生きる糧になったり、日々の吐き出し口でもいいしオアシスでもいいし、活力になっていたらいいなと思います。
例えば、明日が来るのが怖い人がBiSHの曲を聴いて、明日も頑張ってみようって思えるような存在になっているのであれば、それは成功というか。寄り添えていたらいいなって。自分が音楽に救われてきたから。それが一番理想かな」
売れることで魂を失うアーティストもいるが、チッチに関してはそういった心配は無用なよう。イベントのキュレーターなど、また新たな活動を経験することで、もう一段上のステージへと進むことになりそうだ。
◆『クイック・ジャパン』vol.144(2019年6月26日発売/太田出版)