弟のジョナサンは、アメリカの人気TVシリーズ『ウェストワールド』の脚本家として知られ、兄のクリストファー・ノーランと共同で『ダークナイト』や『インターステラー』などの脚本も執筆。
そんなジョナサンは、兄の人生に大いなる転機をもたらした人物でもあります。自主制作の初長編『フォロウィング』が評判となり、次回作の構想を練っていた兄に、作家を志望していたジョナサンは、執筆中の短編小説について話しました。
それは大学時代に心理学の講義で聴いた「見聞きしたことをすぐに忘れてしまう症例」にヒントを得たストーリー。そこにいままでになかったサスペンス映画のアイデアを感じ取った兄は、弟の許可を得て、これを新作映画の脚本として膨らませます。
同作はわずか11館の上映で始まったものの、口コミから人気が爆発。アカデミー賞にもノミネートされました。この成功を受けて、ついにノーランは次作『インソムニア』でメジャーデビューを果たしました。ノーラン躍進のきっかけは、兄弟の絆からもたらされたのです。
◆ケトルVOL.56(2020年10月15日発売)