労働組合の連合沖縄元会長の渡久地政弘さん(85)=那覇市=はこのほど、自分史「全国初の県民投票」を発刊した。米軍基地の整理縮小、日米地位協定見直しの是非を問うた1996年の沖縄県民投票を軸に据え、約40年間にわたる労働・社会運動の軌跡を新聞記事と写真で振り返った。
 条例制定を求める署名活動や投票を通して県民が参加したこと、県道104号越え実弾砲撃の県外移転という成果につながったことを挙げて再評価した。 渡久地さんは「変化の激しい現在の難しさはあるが、県民の共感を呼ぶ取り組みを展開し、社会問題を解決する運動のヒントにしてほしい」と後進に託した。 自分史はA4判298ページ。前半は新聞記事、後半は新聞に掲載された314編の投稿で構成されている。新聞記事編は、郵便局の120時間ストライキ(72年4月)から始まる。琉球政府職員である郵便局員を郵政省職員とすること、その時点の給与を保証することなどを求めていた。
 新聞投稿では、中央組織の役員が120時間を120分と誤解して了承した裏話を披露。渡久地さんが「米軍の弾圧下にあった沖縄の労組が闘争で賃上げを獲得するうちに沖縄の方が賃金が高くなった。本土の『与えられた労働運動』と沖縄の『勝ち取った労働運動』の違いが現れた」と述懐するように、沖縄の労働運動、社会運動を知る資料にもなっている。 「全国初の県民投票」は沖縄タイムス社が編集協力、日本郵政グループ労働組合(JP労組)沖縄地方本部が発行協力して出版した。問い合わせはJP労組沖縄地方本部、電話098(861)1047。
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米軍弾圧下 沖縄の労組が勝ち取った賃上げ「社会問題解決のヒントに」 1996年の県民投票を軸に労働運動振り返る 連合沖縄元会長の渡久地政弘さん、自分史発刊
渡久地さんが出版した「全国初の県民投票」