地裁に次いで高裁も解散を命じた。教団の法人格が失われ、清算手続きが始まる。
被害救済に確実につなげたい。
 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する文部科学省の解散命令請求を巡り、東京高裁は教団側の即時抗告を退ける決定をした。
 宗教法人法に基づく解散命令は高裁決定で効力が生じる。オウム真理教などに続き3例目。民法上の不法行為を理由にした解散は初めてとなる。
 教団を巡っては2022年の安倍晋三元首相銃撃事件で、献金被害などの問題が改めて注目された。
 文科省は被害者へのヒアリングなど実態調査に基づき翌23年に解散命令を請求。25年の東京地裁決定では寄付被害が少なくとも計1500人超、約204億円に達すると認定した。
 しかし、教団側は即時抗告。高裁では教団がコンプライアンスの徹底を宣言した09年以降も被害が続いていたと言えるかが主な争点だった。
 高裁決定では、教団の献金収入が宣言後も減っておらず22年度はむしろ増加したと指摘。「信者らの不法行為を防止する対策を自発的に取ることは期待しがたい」として「憲法上の権利を考慮してもなお解散を命ずることが必要でやむを得ない」と断じた。
 
 教団の役割の一つは韓鶴子総裁を頂く「韓国家庭連合」への送金である。献金はその原資であり、不法行為を止めるには解散しかないという司法判断は当然と言える。
 教団は決定を重く見るべきだ。
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 東京地裁は清算人の弁護士を選任した。1千億円超とされる教団財産の調査・管理や、献金被害者への弁済が始まる。
 オウム真理教のケースでは財産隠しが露見したことなどで、強制力のある破産手続きに移行した。今回も不当な財産処分には目を光らせる必要がある。資産の流出や散逸を防ぐ法整備は不可欠だ。
 教団の法人格が剥奪されると税制上の優遇措置も失うが、宗教団体としての活動は継続できる。献金被害についても引き続き監視が必要だ。
 教団による被害については「宗教2世」の問題も顕在化している。多額の献金による家庭崩壊などの被害が長年放置されてきたことを考えれば、公的な支援の拡充も求められる。

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 安倍元首相の銃撃事件では、教団と自民党との密接な関係も明らかになった。事件をきっかけに、当時の岸田文雄首相は「教団との関係断絶」を表明したが、議員個人の問題として片付けるべきではない。
 自民との関係については、教団の内部文書「TM特別報告」が報じられている。韓総裁への活動報告で、幹部が政治家との関係構築を「成果」として報告する内容だ。
 安倍氏ら歴代首相との関わりもまだ分かっていないことが多い。解散命令を機に教団と政治の関係についても検証すべきだ。
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