会場であるモリコロパークはSKY STAGE、LAND STAGEと2ステージで構成されており、物販スペースや飲食スペースも含め会場全体も例年とは異なるレイアウトながら感染対策を徹底しつつ、集まった人が安全かつ快適に過ごせるような導線、会場作りがされていたことにメンバーは勿論全てのスタッフにまずは敬意を表したい。YON FESがYON FESとして何も変わらない為に変わらないといけない。あの頃に戻るのではなく、先に進む、進めるということが、言葉で言う何倍も難しいことは安易に想像出来る。ライブが出来なくなったあの頃、少しずつ前に進む中で試行錯誤しながら行ったYON EXPO、そしてツアーと、描いては消し繰り返す手探りの先に新しい歩幅で進めた今年のYON FES。あの光景をまたモリコロパークで観れたことが溜まらなく嬉しい。
初日である4月2日にはHump Back、Track’s、SHANK、Suspended 4th、go!go!vanillas、Age Factory、Vaundy、ENTH、MAN WITH A MISSION、TOTAL FATが出演。それぞれのやり方、在り方で04 Limited Sazabysでバトンを繋ぎながら3年ぶりのYON FESを作り上げていく。快晴のモリコロパーク、初日の開幕宣言では04 Limited Sazabysのメンバーと共に愛・地球博公式キャラクターであるモリゾー、キッコロ、そしてユリイカくん、キャブくん、さらにKEYTALKのタケマサくんといったキャラクターたちがステージに登場。あれ、ひとり誰か混ざっている?そう、YON FESに出演予定のなかったKEYTALKの小野武正が急遽乱入してメンバーと観客を驚かすというサプライズも飛び出し、YON FESがスタート。
トップからギア全開で青春を歌い上げたHump Back、YON FES初登場で独自のチル&メロディックパンクを提示したTrack’s、皆勤賞の貫禄を見せつけたSHANK、同郷名古屋の音楽野生児っぷりを叩きつけたSuspended 4th、永遠のティーンエイジャーであることをロックンロールで証明したgo!go!vanillas、青空の下で轟音と激情を響かせたAge Factory、普遍的な愛のメッセージを最新の在り方で届けたVaundy、ライフスタイル直系の散らかしまくりライブで魅せたENTH、野生のオオカミの野性でモリコロパークを高く飛ばせたMAN WITH A MISSION、ゲストにKEYTALK武正も交えポジティブなパンクロックを連打したTOTALFATと、計10バンドが繋いだバトンを受け取ったのは勿論04 Limited Sazabysだ。
初日、04 Limited Sazabysが1曲目に選んだのは「Buster call」だった。
もう何度も色んなところで言っているが当たり前が当たり前じゃなくなった今、それでもなんとか前に進んでいくためにはトライ&エラーは付き物だ。
2日目である4月3日はハルカミライ、四星球、Crossfaith、SPARK!!SOUND!!SHOW!!、東京スカパラダイスオーケストラ、Wienners、My Hair is Bad、ハンブレッダーズ、WANIMA、Saucy Dogが出演。ステージぎりぎり最前まで躍り出て強烈なメッセージを放ちまくったハルカミライ、笑顔をクリエイトすることで涙腺を刺激する四星球、圧倒的世界観でモリコロパークをマッドマックス化させたCrossfaith、純度180パーセントの音楽火炎瓶をYON FESに投げ込んだSPARK!!SOUND!!SHOW!!、ハッピーでポジティブなヴァイブスを極上のSKAサウンドで届けた東京スカパラダイスオーケストラ、こんな世界だからこそポップを連打する意味をまざまざと感じさせたWienners、YON FES皆勤賞であるが由縁を絆で感じさせたMy Hair is Bad、マイノリティであることに誇りを持てるような弱者の気持ちを代弁してひっくり返したハンブレッダーズ、5年振りにYON FESに帰還しモリコロパークに笑顔の花を咲かせたWANIMA、メロディとアンサンブルの美しさで初登場ながらLAND STAGEのトリを務めたSaucy Dogと熱演が続く。そしてYON FES 2022全ての想いを受け取ってSKY STAGEに登場したのは我らが04 Limited Sazabysだ。モリコロパークにSEが響き渡る中、沢山の仲間に見送られステージに走っていく4人の姿は紛れもなくヒーローそのものだった。
「monolith」のイントロが鳴り響いた瞬間、何かが弾けて何かが大きく変わる感覚がした。
そして「hello」だ。新型コロナウイルス以降、ライブハウスシーンやフェスシーンには厳しいルールが生まれた。それは安全安心の為には仕方ないことであるのは理解している。だけどルールがルールとしてある中でどう抗っていくか。この時期に何も考えていないアーティストはいないと思うけど、その一歩を踏み出すことって本当に勇気がいることだと思うし、何をするにも躊躇してしまうのも仕方ないと思っている。そこでYON FESでの「hello」だ。明言はしないが、この日の「hello」はライブハウスシーンにとって、フェスシーンにとって、大きな一歩を踏み込んだ瞬間だったと思う。新しい歩幅で進むこと。それを自ら体現したのが今年のYON FESだったと思う。「新しいものを作り出すために一度壊してまた作り直す」と語り「Buster call」を演奏した4人の姿はライブハウスを、フェスを、音楽ファンを先導する者として強烈に頭にこびり付いた。最低な世界のままで良い訳ない。この世界をもう一度愛するために何が出来るか。ラストナンバー「Terminal」を全身で浴びながらこの世界を取り戻して先に進めるために、アーティストが、僕らが、何をするべきか、何が出来るか、ずっと考えていた。アンコールでは「midnight cruising」「message」を披露してYON FES 2022は幕を下ろした。3年ぶりのYON FESで04 Limited Sazabysが提示したもの、受け取った僕らが掴みかけたもの。それはひかり、それは希望、それは声。この先何が起きたって、04 Limited Sazabysがいるから大丈夫。そうはっきりと言い切れるほど、今年のYON FESで確信したのは、彼らの周りには沢山の仲間がいて、みんながみんなそれぞれのやり方で戦いながら、YON FESの名のもとに集結し大きなパワーを生むことを実感したから。04 Limited Sazabysとみんなで作り上げたYON FES 2022。まだここから何が起きるか分からないけれど、何が起きたって大丈夫。耐えて耐えて超えて来た景色をまたモリコロパークで4人は見せてくれるだろう。彼らは知っているから。立ち上がる以外方法はないことを。
Live photo by ヤオタケシ、藤井拓、鈴木公平、藤川正典、ヤマダマサヒロ
Text by 柴山順次(2YOU MAGAZINE)