放送100年を迎える2025年は、日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築き、ときに“お上”に目をつけられても“面白さ”を追求し続けた人物“蔦屋”こと、蔦屋重三郎が主人公。
西村まさ彦が演じる西村屋与八は、宝暦の頃(1750年代)から錦絵を手掛け、鈴木春信などの有名な絵師ともつながりを持ち、一代で江戸を代表する地本問屋となる。蔦屋重三郎(横浜流星)と、現代の「ファッションカタログ」の先駆けとなる吉原の遊女をモデルに呉服屋とタイアップした錦絵のシリーズ「雛形若菜の初模様」を共に手掛けることになる。その後、鳥居清長らの「美人画」を数多く手がけ、二代目も含めて蔦重のライバルとして江戸の出版界を共に牽引していくことになる。
尾美としのりが演じる平沢常富(朋誠堂喜三二)は、出羽国久保田藩(秋田藩)の藩士で、江戸城の留守居(いまでいう外交官)を務める。役職柄、情報交換の場として吉原に出入りすることが多く、「宝暦の色男」の異名をもつ。一方で、奇想天外な大人の童話、歌舞伎の筋書きをもじったパロディなど洒落、滑稽、ナンセンスを盛り込んだ戯作を数多く発表し、また手柄岡持(てがらのおかもち)という名で狂歌も発表。流行作家として一時代を築く。のちに蔦重にとって最高かつ最大の協力者となる戯作者。
橋本淳が演じる北尾重政は、本屋の息子として生まれ、本に囲まれた環境に育ち、絵師としての才能を開花させる。
芹澤興人が演じる小泉忠五郎は、蔦重が吉原細見の改め(最新の情報を収集し、それを元に原稿の編集作業を行うこと)の仕事を始める以前から“改めの仕事を請け負っていた。その後、版元として吉原細見「松のしらべ」などを出版する。蔦重が吉原細見の仕事を担うようになってからも競い合うように改めの仕事を続けることになる。
水沢林太郎が演じる留四郎は、蔦重の義父・駿河屋(高橋克実)は身寄りのない男子を集め、店の若い衆として奉公させている。留四郎はとあることがきっかけで、次郎兵衛(中村蒼が主の五十間道の“蔦屋で蔦重とともに働くことになる。
里見浩太朗が演じる須原屋市兵衛は、日本橋の中心地に店を構え、漢籍や学術書、辞典などを扱う大手本屋の商人でありながら、平賀源内や杉田玄白などが書いた新しい本を数多く出版する個性的で革新的な版元(出版人)。幕府の弾圧を逃れながらも「解体新書」や「三国通覧図説」など“世の中を変える本”を次々と出版する挑戦的な版元であった。