ピアニストのフジコ・ヘミングさんが4月21日に死去した。92歳だった。
2日、一般財団法人フジコ・ヘミング財団が公表した。

 公式サイトで「フジコ・ヘミング(本名:ゲオルギー・ヘミング・イングリット・フジコ、GEORGII HEMMING INGRID FUJIKO)は、2024年4月21日未明、92年の生涯を終え、永眠いたしましたことを謹んでご報告申し上げます」と発表。

 昨年11月に自宅で転倒、今年3月にはすい臓がんと診断され、療養を続けていたところ、容態が急変し、帰らぬ人となった。葬儀は近親者のみで執り行ったとし、「とても美しく穏やかな表情での旅立ちでした」と伝えた。

 復帰を目指し、病院内でもピアノを弾いていたという。同財団は「奇蹟の『カンパネラ』を再び弾ける日が来ることをフジコ・ヘミング本人ともども切に祈っておりましたが、もう叶えることはできません。
しかし、これから先も、フジコ・ヘミングの魂の演奏の思い出が皆さまの心の中で奏で続けられることを願っております」とつづった。

 「尚、献花、ご芳志等はご遠慮いただいておりますので、なにとぞご理解の程お願い申し上げます」とし、「『フジコ・ヘミングお別れの会』につきましては、現在、検討中となっております。詳細については改めてご案内申し上げます」とした。

 ベルリン生まれで東京で育ち、ベルリン国立音楽学校を卒業。ショパンやリストの演奏で高く評価され、指揮者のブルーノ・マデルナやレナード・バーンスタインからも才能を認められるなど、ピアニストとして世界的に成功を収めた。アルバム『奇跡のカンパネラ』『憂愁のノクターン』などがヒットし、菅野美穂が主演したドラマ『フジ子・ヘミングの軌跡』など、広く愛された。


■発表全文

ファンの皆様ならびに関係者の皆様へのご報告

フジコ・ヘミング(本名:ゲオルギー・ヘミング・イングリット・フジコ、GEORGII HEMMING INGRID FUJIKO)は、2024年4月21日未明、92年の生涯を終え、永眠いたしましたことを謹んでご報告申し上げます。

2023年11月に自宅で転倒した後、一日も早い復帰を目指し治療とリハビリに励み順調な経過をたどっていたところ2024年3月におこなった検査の結果すい臓がんと確定診断され療養を続けておりましたが、4月21日に容態が急変し、神の御許に旅立たれました。

葬儀はフジコ・ヘミング本人及び親族の遺志により、近親者のみですでに執り行い、とても美しく穏やかな表情での旅立ちでした。

診断後は、皆様に心配をかけたくないという本人の希望により公表は差し控えさせて頂いておりました。公演を楽しみにして頂いていたファンの皆様、主催者様等には、多大なるご迷惑ご心配をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。

フジコ・ヘミングは、昨年も精力的な演奏活動を続けていたところでした。

怪我をしてからは、思い通りにならない身体にもどかしい思いを抱えながらも、直前まで、復帰してピアノを弾きたいという強い意思をもって治療とリハビリに励み、病室や病院内でピアノを弾いたこともありました。
3月に予定していたニューヨークのカーネギーホールでの公演や日本での公演を楽しみにしておりました。

皆様へこのようなご報告をしなければならなくなったことは、誰よりもフジコ・ヘミング本人にとって本当に残念であったと思います。

フジコ・ヘミングは、聴力を失っても魂でピアノを弾き続ける強さを持ちつつも、動物愛護を実践して保護猫を多数引き取り、また被災者や大変な思いをしている人達へのチャリティコンサートを積極的に行うなど、慈愛の心に満ちあふれた人でした。

奇蹟の「カンパネラ」を再び弾ける日が来ることをフジコ・ヘミング本人ともども切に祈っておりましたが、もう叶えることはできません。
しかし、これから先も、フジコ・ヘミングの魂の演奏の思い出が皆さまの心の中で奏で続けられることを願っております。


尚、献花、ご芳志等はご遠慮いただいておりますので、なにとぞご理解の程お願い申し上げます。

「フジコ・ヘミングお別れの会」につきましては、現在、検討中となっております。詳細については改めてご案内申し上げます。

今まで応援してくださったファンの皆様、共演者・主催者・メディア関係・懸命に尽くして頂いた医療従事者の方々・その他関係者の皆様には、心より深く感謝し御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

2024年5月2日 一般財団法人フジコ・ヘミング財団