江戸時代の男性の髪型として知られる「ちょんまげ」を令和の時代に続けている男性・とりにく(@tarakosan114)さんがネットで話題を集めている。前額から頭の中央にかけて髪をツルツルに剃った“月代(さかやき)”にしている姿が凛々しいが、その髪型のまま飲食店のアルバイト面接に行き、合格したという。
バイト先での反応やちょんまげにしたきっかけなど、本人に聞いてみた。

■ちょんまげ姿でバイト面接、まさかの一発合格に“衝撃&硬直”

 「うそだろ、、、!???受かったよバイト...しかも丁髷のまま接客でなんら問題ないと」とつづった投稿は644万件表示を記録。「おめでとうございます」という声のほかに「どこの接客か分からないが見かけたら5度見する自信がある」と、ユーザーからはちょんまげへの関心が高まっていた。

――今回沖縄料理店でバイトが決まったということが話題になりました。「この頭でも普通に働きたいという無理が叶った」ともおっしゃっていましたが、バイトに受かった時の気持ちを改めてお聞かせください。

【とりにくさん】衝撃。
その一言に尽きます(笑)。失礼な話まさか受かるとは思わず、本気では挑みましたがダメ元の部分が大きかったので『採用』の言葉を聞いた時。硬直してしまいました。

――バイトは飲食店が希望だったんですか? ほかのお店も受けられたんでしょうか?

【とりにくさん】今回は採用いただいた沖縄料理店が1軒目です。一度で受かるとは思っていなかったので、候補はたくさん考えておりましたが、いずれも接客業でした。当然、初めは頭を隠すことも考えていました。
飲食にこだわりがあるというよりは、“人とコミュニケーションをとる”とか“人を笑顔にする”ということが好きなので、裏方ではなく接客を選びました」

――順調にバイトされているようですが、ちょんまげ姿で働いてみての感想やお客さん、一緒に働くスタッフさんの反応は?

【とりにくさん】スタッフは『慣れたと思ったけど改めて見るとやっぱすごい光景だよな、ちょんまげっていうか、武士が普通に働いてるって』『初めは当然腰抜かしたけど慣れると意外と普通だよね、むしろかっこいい』という反応でした。

――お客さんはどうですか?

【とりにくさん】意外にも普通の反応でした。中にはとても驚く方が数名いらっしゃいましたね。後々気がついたのですが、まさか本物のちょんまげの人が店員をやってるとは思わないから見間違いだろうと言い聞かせるか、何かしらのフィルターがかかって見えていたのでしょう。実際『まさかちょんまげとも、(ちょんまげが)本物だとも思わないから、ただのお団子ヘアーだと思っていた。近くに来たらガチのちょんまげだった。
見間違いじゃなかったのか! ってほんと驚きだよ』という反応をいただきました」

■現代ファッションに馴染めず和装に目覚め、ちょんまげまで突っ走り

――普段からちょんまげ、和装をしているとりにくさんですが、きっかけを教えてください。

【とりにくさん】もともと趣味が古く、周囲のキラキラとした現代的ファッションに馴染めず、歳に見合わない古い服装をしておりました。そんなこんなで高校生のある時『日本人なら一着は和服を持っておきたい』と買いに行ったのですが、これが大正解。『なんで今まで無理に洋服を着ていたのだろう、和服でいいじゃん!』となり以降、完全和服の生活になりました。

――初めてちょんまげをしたのは?

【とりにくさん】月代(さかやき)を剃ったのは、2年半ほど前になります。ある時床屋に行くのをややサボりまして、髪が鬱陶しくなりました。
それを殿様風にひとまとめにしてみたところ『そうか! 和服着てるんだしちょんまげにしちゃえ』と…そこからちょんまげに突っ走って行きました。

――ご家族やお友達の反応はいかがでしたか。この髪型にする前に誰かに相談しましたか? 

【とりにくさん】家族や親戚はあきれ半分諦め半分といった感じでした。母には『剃ってもいい?』と確認を取ったのですが『やりたきゃやれば、辞めたくなったら坊主にすればいいんだし』と返ってきました。

――まげの手入れで大変なことは? 寝る時はこのままなんでしょうか?

【とりにくさん】まげ自体はあまり大変と思ったことがないのですが、全体で言えばやはり月代を美しく保つことですね。端まで綺麗に剃ろうと気合いを入れすぎると長い毛を剃り落としてしまって月代が広がってしまいますし、頻繁に剃らないとだらしなくなってしまうので気を使うと言うか、やや面倒ではあります。
入浴やシャワーを翌朝に見送る時は高枕でまげを結ったまま寝ます。ただ入浴を済ませた日でも、落武者スタイルか一つ結びの状態で、日常的に高枕で寝ております。

――これまでにちょんまげだったことで困ったことはありますか?

【とりにくさん】全くございません。ただ強いて言うならばお葬式ですね。この髪型や服装で出るわけにいかないので、カツラを被ったりと手間がかかりますし常に被り物をしている状態なので鬱陶しいなと思います。

■ちょんまげでも変わり者扱いせず“普通”に暮らせるように

――ちょんまげにしてみて、何か変化はありましたか?

【とりにくさん】やはり内面を見てくれる人達は離れず、外見や何か下心があってそばにいた人たちは離れていきましたね…。


――今回のバイト合格の件で、様々なメディアで取材を受けたかと思います。周りの対応や反応での変化はありましたか?

【とりにくさん】卒業以来何年も連絡をとっていなかった学友などから『どこかで見たことある顔だと思ったんだけど、まさかこのニュースの人って君?』『噂は聞いてたんだけどほんとなんだ。ちょんまげ、すげえな…でもめちゃめちゃ似合ってる』という声がたくさん寄せられました。

――最後に、とりにくさんの目標や夢を聞かせてください。

【とりにくさん】人を笑顔にする、あるいは何かしら日本文化を支える。ぼんやりとしていますが、この二つを叶える形で将来仕事に就きたいと思っています。また少し無理のある話ですが、ちょんまげだから特別扱い、変わり者扱い、ではなくただの髪型としてごく普通に暮らせたらと思っています。