依頼は、当時52歳で兵庫県で暮らす大上直美さんからのもの。
番組スタッフが、全国屈指のラグビー部名門校「ヒガシ」こと東福岡高校に連絡すると、バラエティー番組の取材は通常は断っているという。しかし、依頼文を読み、特別に承諾。
そして、夫と娘と共に高校を訪れた依頼者。ユニフォームに着替え、「リョウスケ」として部員たちに迎えられた。
ラグビーのパスにはじまり、走り込みやタックルなど容赦ないハードな練習に息を切らしながらも「楽しいです」と笑顔を見せる。仲間とともにボールを前へ前へと運ぶラグビーの楽しさに触れ、息子がなぜ、あれほどまでにラグビーを愛し、東福岡高校を愛したのかを理解できた瞬間だったと語る。
■大上直美さんコメント
――入部に至る経緯について
去年の夏、東福岡高校が関西で試合を行いました。記念撮影にリョウスケを加えていただきました。その後、藤田監督とコーチがリョウスケの墓参りにお越しいただきました 。「リョウスケはもうウチの子やからね」と言っていただき、記念の額と、芦屋と東福岡高校のユニフォームを着たクマのぬいぐるみをいただきました。
11月、福岡県大会の決勝戦で東福岡高校を現地で応援しました。試合後の記念写真撮影の際、リョウスケを迎えに来てくださり、公式の記念写真を撮っていただきました。後から聞いた話によると、部員の中で「リョウスケがいるから連れてきて」となったとのことです。スタンドの私たちのところまで、満面の笑みで「リョウスケー」と呼びながらダッシュで来てくれた光景が忘れられません。
3月半ば、「リョウスケも来月になったら東福岡高校に行っているのかな」と家族で話していたところ、上杉先生から電話がありました。監督が各所に取り計らい、正式に部員にする手続きをすでに進めてくださっていました。新チームの皆さんにもリョウスケを正式に部員にしていいか尋ね、全員一致で了承されたとのことです。
――ナイトスクープのロケを振り返って…
やっとリョウスケのために何かしてあげられたのかなと思います。実は生前、東福岡高校への進学に対して家族は「本当に言ってるの!?」と、いろんな理由で反対していました。不器用で何も自分でできないのに親元を離れること、極度の人見知り、メンタルの弱さ、本当についていけるのか…でも、ラグビーも勉強も頑張ること、寮に入っても一人で生活できるように努力すること、東福岡高校でやっていく覚悟を持つこと…中学生になってから必死に一つ一つクリアしていく姿を見て、「もういいか、行かせてあげようか」となった直後に亡くなってしまいました。あんなに頑張っていたのに、何のご褒美もあげられないまま終わってしまったことが悔しくてたまりませんでした。番組を通じて、東福岡高校の方々をはじめ、たくさんの人にリョウスケのことを知ってもらえたこと、そして東福岡高校の皆さんがリョウスケと一緒に戦っていってもらえることが本当にうれしいです。私たちも東福岡高校の保護者にしていただけて、一緒に応援させていただけるのが大変ありがたいです。
入部を一緒に喜んでくださり、私たちに代わって東福岡高校にお礼を言ってくださる方も大勢いらっしゃいました。本当にありがとうございます。