同書は、二宮が2023年10月に前事務所から独立後、問い合わせフォームに長く付き合いのある担当編集者・野呂望子氏からの一本のメールで始まった。毎月一日、ある四字熟語をテーマに沿って1年間話した十章と100つの質問をもとに構成。ビジネス論や人付き合いなどときに赤裸々に、そして二宮流の哲学が詰まった一冊となった。
独立当初はすべて自分でメールのやりとりもしていた二宮。同著のなかでは、環境の変化についても多く触れているが、改めて「より責任を持つようになった。依頼された仕事を自分で見るので、断ることも仕事のひとつだと42歳で初めて知るといいますか」と苦笑しつつも実感を込める。
「事務所にいるときには二宮和也に、ミートするものはなにかを、今まではプロの人達が考えてくれて自分のところにきたものを読みこみ、理解して表現する。今はお受けするものもお断りするものにもすべて平等に時間をかけて向き合うということは、仕事に対して唯一変わったところです」とあくまで“平等”に考えることに重きをおいているそう。
それでも「時間に追われることはあるんですが、お断りするものをスケジュール上どうしても物理的に難しいというものも『スケジュールがないのでごめんなさい』という前に、一読させてもらって、他に誰かいるんじゃないかとか自分がやるならどうしたら豊かになるか、平等に考えて、伝えた上でお断りすることがむずがゆいものをやっていただいていたんだな、と感じたことは変わったことです」と周囲への感謝ものぞかせた。
その上で「僕は共演者運とスタッフ運が強い。良い人たちにケアしてもらいながらできている。やりとりすら自分でやったのは初めて。