東京都大田区に暮らす住人(アルジ)は、建築家として独立した夫と会社員の妻。
元建設会社の同僚として出会ったアルジ夫妻。結婚後、埼玉の社宅から東京都心へ1時間以上かけて通勤していたが、家を建てることに決めた。満員電車が苦手な妻は通勤を考えて都心の家を強く要望。そこで見つけたのがアクセス抜群の大田区の土地だった
建坪はわずか9.5坪のため、コンクリートを選び、加えて床の高さをずらして配置する「スキップフロア」を取り入れた。ワンルームに5層の床をずらして配置することで空間を広く使えるようにした。「柱をあまりたてたくなかった」という夫の考えから柱はゼロ。
スキップロアの3層目にある天井高5メートルの大空間は夫妻がくつろぐリビングダイニング。段差をいかして、リビングの床を家事の作業台やテーブルとして使うなど、空間をあますところなく活用している。5層目の最上階は水回りを集約した。部屋を見下ろすガラス張りの浴室は、妻が「露天風呂みたいなお風呂を」とリクエストしたものだという。浴室やトイレなど水回りのすべてを最上階に配置できたのも、強度があり、防水性も高いコンクリートだからこそのメリットだ。
狭小住宅でも大空間を実現した家。夫は、「一見、不便そうには見えますけど、それに代わる豊かさがある。自分たちでちょっとずつ手を加えながら楽しく住んでいます」と語る。