密着したのはけいこ初日から本番初日までのおよそ2ヶ月。座長を務める安田は、けいこだけでなくテント劇場の設営も志願し、連日朝から晩まで参加したという。仲間とともに汗をかき、自分たちが立つ舞台や客席を作りあげていく安田の姿をカメラが追う。そして、数万人を埋め尽くす会場でライブを行うトップアイドルが、泥臭い作業をして数百人規模の“アングラ演劇”のテントに立つ理由を語る。
安田が初めて挑戦する花園神社・テント劇場での公演は、アングラ演劇の巨匠・唐十郎が旗揚げした劇団(のちの状況劇場)によって1967年に始められた。この移動式テント劇場での公演は、当時の社会を鋭い視点で描き、若者から絶大な支持を集めた。そして60年近く経った今も続くひとつの「文化」となっている。
10年ほど前、唐十郎作品をテントで観劇したことをきっかけにこの世界に魅了され、その舞台に立つことに憧れていたという安田。テントの舞台にアイドルが立つのは異例のことだが、その熱意で今回の実現に至った。
挑むのは、唐十郎の初期作品『アリババ(1966年初演)』『愛の乞食(1970年初演)』の2作品連続上演。『アリババ』では、貧しいアパートに暮らす夫婦の夫・宿六(やどろく)、『愛の乞食』では気弱なサラリーマン田口と戦時下の満州を生きる伝説の憲兵の2役を演じ、安田は1回の公演で全くタイプの違う3つの役を舞台上で演じ分ける。
今回安田が参加したのは、演出家・俳優・映画監督としても広く活躍する金守珍(キム・スジン)率いる演劇集団「新宿梁山泊(しんじゅくりょうざんぱく)」。
自ら作った舞台に立ち、念願をかなえた安田は、公演後カメラに何を語るのか。貴重な素顔と裏側をとらえた映像を届ける。
同番組は放送後、YouTubeチャンネル「日テレ NEWS カルチャー【公式】」で配信される予定。