「4月からは死なないことを目標に生きていくわ」親友に宛てた手紙にこう記したおよそ5ヶ月後、彼は22歳の若さで自ら命を絶った。
北海道立江差高等看護学院で起きた教師によるパワーハラスメント。道の第三者調査委員会は自殺した男子学生への3人の教師による4件のパワハラを認定し、学校の学習環境と自殺との相当因果関係を認めた。鈴木直道知事も遺族に謝罪した。しかしその後、北海道は一転して賠償を拒否、裁判ではパワハラ自体を否定するという二転三転の対応に終始する。同級生たちはカメラの前で証言する。「パワハラは絶対にあった」と。なぜ、彼らの叫びは届かなかったのか。
実は、江差高等看護学院への苦情は少なくとも2012年から北海道に寄せられていた。2021年には12人の学生が35件のパワハラを受けたと認定されているにも関わらず、長年問題は放置されてきた。関係者の証言から、行政の沈黙の背景に迫る。
一方、江差高等看護学院は運営体制を一新し、ハラスメント対策を徹底して再出発を誓う。