■刑事として、父として。揺れる正義の行方
――脚本を読んでどんな印象を受けましたか?
僕が演じる戸倉は、捜査一課の刑事として家族思いで仕事熱心、陣内のことも同期で親友という、すごく大事なポジションを担ってきました。戸倉にとってすごく大きな存在となっている娘。そんな娘を守ることが彼の正義で、全てなんです。だからこそ、自分の行為を正当化してしまうというか、悪いことも「これが正しい」と思い込んでしまうところがあったのだと思います。
香織を殺してしまったという事実があったとしても、それでも娘を救うためだった…というところに、ある意味“異常”な愛がある。そこがすごく切なくて、かわいそうな人物だなと思いました。そういうブレない思いをどう演じるか、プロデューサーの長谷川(晴彦)さんとも相談しながら、戸倉を作っていきました。
――戸倉はDOPEに対してどんな思いを持っていたと思いますか?
特捜課のメンバーは先天的に異能力を持っているんですよね。
■中村倫也と語り合った、ドーパーになる決断の重さ
――戸倉と陣内は同期で親友という設定でした。中村さんとは親交はありましたか?
がっつり芝居で絡むのは初めてでした。共通の知り合いを介して会ったことはあったけれど、きちんと話す機会はなかったので、「ようやくだね」と話をしました(笑)。良いタイミングでご一緒できたなと思います。
――2人の関係性を築く中でお話されたことはありますか?
戸倉も実はドーパーだった、という流れがあるので、「いつ飲むんだろう?」とずっと考えていたんです。僕は後天的に異能力を得た設定なので、飲むと死亡率が高い中で、娘のために飲む決断をするのは、どれだけ切羽詰まっていたかが分かります。
その中で倫也くんとは撮影現場で、娘が病気という状況で「ヒーリング(治癒)という異能力に頼りたくなるのも分かる」、「きっと戸倉はジウ(井浦新)にその異能力が得ることができると、そそのかされたんだろうね」みたいな役についての話をしつつも、世間話もよくしていました。
――高橋海人さんの印象は?
ふわっとしていて、かわいらしい方ですよね。僕はその姿をニコニコしながら見ていますし、朝は眠そうにしていることもあるので「頑張れー!」と影ながら応援しています(笑)。以前、(永瀬)廉くんと共演したことがあったので話をしたら、「この前、廉と徹平さんの話しましたよ」と言われて、すごくうれしかったです。
■小池が欲しい異能力は便利なものより体力!?
――小池さん自身が欲しい異能力はありますか?
無限の体力! 寝なくても大丈夫とか、ずっと元気でいられるような異能力が欲しいです(笑)。異能力って便利そうですが、大変そうじゃないですか。目が良すぎても頭が痛くなりそうだし、力が強すぎるのは気を使って生活しなくてはいけないだろうし、火や電気が出るのも制御が大変そうだなと。瞬間移動もいいですが、目的の場所までの移動時間が楽しかったりするじゃないですか。どこかへ出かける時に家族や仲間内に「先に行っているね」と言うのは嫌ですし、空を飛べたとしても、上空は寒いですから、着込まなくてはいけない。それなら、いつも元気というのが最高かなと思いました。
――この第7話は小池さんにとってどんなお話になりましたか?
戸倉は、陣内の元同期で付き合いも長く、過去に起こった“五億円盗難事件”をきっかけに変わってしまった彼のことを、ずっと気にかけている人物です。実直で義理堅く、誰に対しても分け隔てなく接することができるので、捜査一課だけでなく他の課からの信頼も厚い。そういう戸倉が、娘を救いたいという一心で正義を踏み外してしまう。その背景にある“家族への思い”をどう受け取ってもらえるかが、大きなポイントだと思います。そんな戸倉の決断や最期の裏にあった苦悩や覚悟にも注目して、今一度ストーリーを見てもらえるとうれしいです。
――最後に本作の魅力を教えてください。
異能力アクションが派手で見応えある一方で、登場人物の悩みや家族との関係、正義とは何かを問いかけてくる人間ドラマとしても深みがある作品です。DOPEというドラッグが出回る世界で、それぞれがどんな正義を掲げて生きるのか。その描き方が本当に丁寧で、僕自身読んでいて面白いと思いました。ぜひ最後まで目を離さずに見ていただきたいです。