◆「ファンデーションとウィッグで隠しちゃえばいいじゃん!」がきっかけに
――SNSには、「めちゃくちゃ好みのイケメン爆誕」」「毎回毎回素敵すぎて目の保養」「ドストライクのタイプ」などと反響が寄せられています。メイクを始めたきっかけを教えてください。
「メイクを始めたのは、19歳の頃です。当時は肌荒れがひどかったのですが、『ファンデーションを塗って隠しちゃえばいいじゃん!』と思ったのが、最初でした。その頃に薄毛も気になっていて、毛量の多い友人がウィッグをかぶって隠していたのを見て、『薄毛もこれで隠しちゃえばいいじゃん!』と思い、ウィッグもほぼ同時期に始めました」
――メイク技術はどのように習得したのでしょうか?
「基本は独学です。YouTubeのメイク動画を観て真似をしたりして、自分なりに研究をしてきました」
――メイクを始めてプラスになったことは?
「メイクをして自分の変化を実感するに連れて、自信がついたり、人目を気にせずに出かけられるようになり、行動範囲が広がりました。また、動画を通じて人との交流が増えたり、今回のようにインタビューをしていただけるようになったりもして、プラスのことしかないです」
――メイクをする上での自分流の秘策はありますか?
「ウィッグとメイクを組み合わせて『変身レベルまで変える』ことです。特に、もともとのコンプレックスである肌については、色味やカバー力が高いものを選んでいます。それと『恐れずにいろいろなものを使う』ことで、メイクの幅が広がり続けている気がします」
◆この顔と髪なら何をやってもどうせ無理…メイクで変わった人生観
――メイクをするようになり、周囲の反応はどのように変わりましたか?
「周囲からの反応は大きく変わりました。メイクをしている自分を見て、久々に会った同級生に『誰かわからなかった』と言われたり、動画でも『別人すぎる』といったコメントをいただいたりすることが多いです」
――メイクをする前は、どういったところにコンプレックスを感じていたのでしょうか?
「当時は肌の汚さや顔立ち、髪の薄さなど、外見全般に対して強いコンプレックスがありました。特に肌に関しては、悩みすぎたゆえに、肌にかけてはいけないであろうスプレーをついかけてしまったり、自傷に近いほど悩んでいたりした時期もありました」
――メイクを始めて、ご自身の生活や仕事、心境に変化はありましたか?
「メイクを取り入れてからは、コンプレックスを隠せることで安心感を持てるようになりました。
――コンプレックスを昇華し、現在の思考に至るまで、どのような葛藤があったのでしょうか?
「最初から前向きに考えられていたわけではなく、むしろ逆でした。ニキビも薄毛も、容姿にまつわる全てのコンプレックスを隠すことに必死でした。ただ、メイクとウィッグを始めて、自分の弱点を『笑い飛ばせる』ようになりました。それがきっかけとなり、自分の全てを肯定できるようになり、隠してイケメンに変身できることで、素の自分が存在しても問題なくなりました。そこからは、ネガティブな部分を活かして『遊ぶ』という考え方が定着していきました」
――メイクをすることで、人生はどのように変わりましたか?
「以前は、『この顔と髪なら何をやってもどうせ無理だ』と思っていました。でも今は、『いくらでも変われる』と実感しています。それは大きな自己肯定につながり、生き方そのものに影響しています」