■秋のかかと、乾燥、体重、摩擦の“三重苦”に注意
――秋冬は特にかかとがガサガサになりがちですが、なぜでしょうか?
「かかとや手のひらには皮脂腺がないので、油の蓋ができず水分が蒸発しやすいのです。さらに手のひらと違い、かかとには体重がかかり、靴を履いて歩く摩擦もあります。水分がない枯れ木がバキッと折れやすいのと同じで、乾燥、体重、摩擦という三重苦が重なって、ひび割れやガサガサが起こりやすくなります。夏場にサンダルを履いていた物理的な刺激のダメージもありますね」
――「ただの乾燥」だと思って放置していたら、実は水虫(カビの一種)だったというケースもあると聞きます。
「これは珍しいことではありません。CMなどのイメージで『水虫は猛烈にかゆい』と思われがちですが、意外にも水虫患者のうち約半数はかゆみを伴いません。かゆみがなくても、かかとの亀裂に沿って白い線が入っていたり、皮むけがあったりする場合は水虫の可能性があります。水虫かどうかを確認するには、皮膚科で患部の皮膚を少し採取し、顕微鏡で白癬菌を確認する必要があります」
――自分では判断できないということですね。
「ただの乾燥だと思い込んで保湿し続けると、水虫菌が好む蒸れた環境となり、悪化してしまうこともあるので注意が必要です。ちなみに、たとえば家族間での感染を気にされる方もいますが、菌が付着してもすぐに感染するわけではなく、しっかり洗っていれば過度な心配はいりません」
■かかとケアの正解は? 「皮膚をカミソリでスライス」してきた患者も
――ガサガサが気になってやすりなどで削ってしまう人もいますが、削るとさらに硬くなるというのは本当ですか?
「削ることで逆に硬く、分厚くなるということはないですが、削りすぎるのは危険です。
――SNSなどでは「ワセリン+ラップ」といった自己流のかかとケアを見かけますが、効果はありますか?
「これは良いと思います。密封療法(ODT)と言って、医療レベルでもラップを使うことはあり、成分が浸透しやすくなります。ラップを貼って歩くと取れてしまう場合は、その上から靴下を履いておくのもおすすめです。ただ、もしも水虫が隠れていた場合は、これも菌にとって好ましい蒸れた環境になってしまいます。改善が見られず悪化しているような場合は、皮膚科を受診してください」
――本格的にツルツルのかかとを取り戻すには、皮膚科ではどのような治療が受けられますか?
「市販では手に入らない『サリチル酸ワセリン』や、濃度の高い尿素クリームなど、角質を柔らかくする保湿剤を処方できます。ひどいガサガサに悩んでいるなら、こうしたお薬を使って治療していただくのが良いと思います」
【監修】
圓山 尚(えんやまたかし)
ナチュラルスキンクリニック院長兼クリニックフォア監修医。金沢医科大学医学部卒業後、日本医科大学附属病院皮膚科に入局し皮膚科・皮膚外科・レーザーを中心とした診療を行う。その後、湘南美容クリニックでの勤務を経て、2019年にクリニックフォア新橋院を開院。現在はクリニックフォア監修医と永福スキンクリニック(現ナチュラルスキンクリニック)の院長を務め、“美のかかりつけ医”として活動している。
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