ゆで太郎で期間限定提供されている「倍盛りかつ丼セット」。そばにセットでついてくるかつ丼は、丼ではなく鍋に入って出てくるというから驚きです。
体重110キロ、脂肪と好奇心は人一倍の大食い記者が挑みました。
今回訪れたのは、JR総武線 錦糸町駅北口から歩いて5分ほどの場所にある「ゆで太郎 錦糸公園前店」。もつ定食が楽しめる「もつ次郎」も併設されており、そばのみならずバラエティ豊かな食事を楽しめます。

店頭には「期間限定特別メニュー」と銘打って、「倍盛り鍋かつ丼セット」と「倍盛り鍋カツカレーセット」のポスターが掲示されています。鍋カツカレーにも惹かれますが、今回は「倍盛り鍋かつ丼セット」を注文。なお、一部の店舗ではメニューが異なる場合があります。

券売機では「今月のイチ押し」欄に表示されていました。「倍盛り鍋かつ丼セット」は1500円。温かいそばと冷たいそばが選べます。ちなみに鍋かつ丼のみの単品も、1300円で注文できるようです。

店内を見回すと、なんと製麺室がありました。

■ 熟成三元豚のロースが旨い! 贅沢で、穏やかで、途方もなく大きな背中の「鍋かつ丼」
注文から3~4分ほどして、「倍盛り鍋かつ丼セット」が運ばれてきました。
そばの隣に鎮座した鍋は、直径18センチ、深さ10センチほど。一人用の手鍋よりも大きく、一般的な家庭サイズよりもやや小さめです。成人男性が頭にかぶったらちょうどジャストフィットするくらいでしょうか。しませんが。

「アタマ」と呼ばれる具材の部分は、通常のかつ丼セットの2倍。鍋の表面を卵とじされたかつ丼がごはんを覆い尽くしています。

かつをわずかにどかして、下のご飯を見てみると、これまた底が見えないほどにみっちりと詰まっています。お茶碗3~4杯分といったところでしょうか。盛り付けるときにしっかり固めているようで、そのボリュームは見かけ以上であることが伺えます。

いつものかつ丼セットを頼むときはかつの量を気にしながらペース配分する記者ですが、今日は一切気にせず、欲望のままに食事を楽しめそう。

熟成した三元豚のロース肉をぜいたくに使ったかつは、ふっくらとしていて食べ応え抜群。具材はかつと卵だけ、という徹底ぶりに頭が下がります。
箸とれんげを駆使して、ひとつかみ1人前くらいの勢いでいただきます。残りの量なんて気にしなくて大丈夫。だって倍あるんですから。「俺はいまかつ丼の海を泳いでいるぞ、ウオオ!」そんな気分で無心に食べ進めていきます。

だしは甘めで穏やかな味付けになっており、バクバク食べても飽きのこない食感なのが嬉しいところ。ボリュームとは裏腹に胃もたれ感はまったく感じず、すいすいと食べていくことができます。
いつもニコニコ、なんでも笑って許してくれる、懐の大きな先輩の背中を借りているよう。まさに大船にのったつもりで楽しめる、素晴らしきメニューです。限定といわずレギュラー化してくれませんでしょうか、ゆで太郎さん。
■ そばつゆのシャープなキレ味が、「鍋かつ丼」の山の霧を晴らす
……なんて調子のいいことを言っていましたが、時計を見ると、入店から25分が経っていました。鍋かつ丼の3分の2を食べ終え、五合目を突破したあたりから、知らず知らずのうちにペースが落ちていたようです。
こんなところでバテていては大食いの名がすたる。しかし軽めの味付けとはいえ、同じ味が連続すると、やはり味を変えたいと思ってしまうのが正直な気持ち。美味しい、とても美味しいのですが、この日常を変えたい。どうにか手はないものか……
そんな折、鍋の隣にあるそばが目に入りました。まだ手つかずのそば猪口には、辛めのそばつゆがなみなみと入っています。

そうだ、そばを一種の“チェイサー”として食べれば、残りのかつ丼も美味しく食べ切れるのでは……?
とっさの思いつきは見事に当たりました。凛と透き通ったそば、キリリと醤油のきいたそばつゆが頭の中の霧をサーッと切り開き、いっきに視界がクリアに。味覚のバロメーターもリセットされ、改めて新鮮な気持ちで鍋かつ丼と出会い直すことができました。

まろやかなかつ丼、キリリとしたそば、かつ丼、そば、かつ丼…… いつも漫然と食べていたかつ丼セットですが、実は味覚のコントラストをしっかりと考えた設計になっていたのですね。「倍盛り」になったことで、それをより強く感じることができました。

食べ始めから30分、「倍盛り鍋かつ丼セット」を無事完食しました。回転が命の混雑時は避け、空いている時間帯に訪れたほうが、心配を最小限にしてより食事に没頭できるかもしれません。

いずれにしてもゆで太郎のポテンシャルを再発見できる神メニュー。食べ終える頃には他のメニューにも思わず目が向いてしまいました。
(天谷窓大)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 天谷窓大 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025090702.html