ひと昔前に比べると、アラサー、アラフォーならぬ、アラ還の人って、若々しい印象があるが、実際に還暦を迎える人の意識ってどうなのだろう。 毎年、還暦人(かんれきびと)がどう考えているか調査を行っているPGF生命(プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険・東京)は今年も、「2025年の還暦人に関する調査」を実施(3月19日~3月21日)した。

対象は、2025年に還暦を迎える1965年生まれの男女2000人(男女とも1000人ずつ)の「還暦人」。

 まずは、老後を強く意識する年頃でもあるので、今年の還暦人の現段階の貯蓄額をみると、「100万円未満」が30.0%と調査開始以来最も高い水準に達した。だが、「3000万円以上」は昨年が18.0%だったので、今年の19.7%は増加しながらも、2年連続で20%未満となった。

 次に、今の若い世代の人たちを見ていて自分の若いころと比べて「うらやましいな」と思うことを聞くと、1位「スマホ・携帯電話がある」(46.1%)、2 位「インターネットが普及している」(45.0%)、3 位「情報を入手しやすい」 (42.0%)という結果に。必要かつ有益な情報を手早く、簡単に入手できる現在の通信環境をうらやましく思う人が多いようだ 。また、女性では「子育て支援が手厚い」が5位となるのが目を引く。現役の子育て世代が受けている公的サポートが、自分の子育て時にもあったらと思うのかもしれない。

 還暦を迎えるという実感がわかないかと聞いたところ、「そう思う」は83.2%、「そう思わない」は16.9%と、昨年と同水準だった。また、還暦を迎えたことを他人に知られたくない人は15.0%で、男女別の割合では、男性が10.9%だったのに対し、女性は19.0%と大きく差が開いた。心と体の実感年齢を聞くと、精神年齢の平均は46歳、肉体年齢の平均は55歳。また、トシを取っておびえるのは「記憶力の衰え」だが、男性では6割、女性では7割、それを感じているようだ。

 他方、還暦のお祝いについて聞いてみると、イベントごとや体験では「一緒に旅行に行く」(34.6%)、「食事会を開く」(28.2%)、「プレゼントをもらう」(24.7%)などが上位で、プレゼントでは1位「現金」(27.6%)、2位「旅行券」(20.6%)、3位「おしゃれな洋服・小物(バッグ・腕時計など)」(14.2%)の順だった。

反対に、嫌だ・遠慮したいと感じる還暦祝いを聞いたところ、昔は還暦を迎えた際に定番のお祝いだった「赤いちゃんちゃんこを着る」(58.4%)が突出して高くなった。

 おそらく、自分が時代の流れに取り残されていないか心配に思う還暦人も多いと思われるが、実は還暦人は時代の流れにうまく乗れているかも。その一例が買い物の決済だ。、現金決済よりキャッシュレス決済をすることが多いかを聞くと「多い」が73.7%、「多くはない」が26.4%でキャッシュレス決済が多数を占めている。

 就労意欲に関しては、60歳以降、働きたいと思うかと聞いたところ、働きたいと思う人は87.1%、働きたいと思わない人は12.9%。働きたい人は2022年以降、上昇傾向にあり、2025年は調査以来の最高水準に。まだまだ還暦は老け込む年齢ではない、そう言っているようでもあるが、働きたい理由の1位は「働かないと生活費が不足するから」(56.6%)、2位が「健康を維持したいから」(43.0%)で、3位が「その歳までは元気に働けると思うから」(41.3%)だった。さらに、何歳まで働きたいかについてだが、65歳以降も働きたいと思う人(65歳以降の年齢を回答した人)の割合は80.8%、70歳以降も働きたいと思う人(70歳以降の年齢を回答した人)の割合は44.0%となった。

 全回答者(2000人)に、これまでの人生に満足しているかと質問したところ、「満足している」は52.2%、「満足していない」が47.8%ときっ抗。人生に満足している人は半分強にとどまっている。また、自身の“今までの60年”を表す漢字(1字)を聞いたところ、1位「楽」(193)、2 位「苦」(167人)、3位「忍」(123人)、4位「幸」(91人)、5位「生」(58人)という結果になった。

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