千葉県袖ケ浦市にあるテーマパーク、「東京ドイツ村」。この場所でかつて行われた発掘調査では、奈良~平安時代にかけての集落跡や寺院らしき建物跡が見つかっており、永吉台遺跡群と呼ばれている。
永吉台遺跡群では、文字が書かれた墨書(ぼくしょ)土器や信仰に関わる道具が出土している。土器には「寺」「佛」など仏教に関係する文字や、「万(まん)得(とく)」などのおめでたい言葉が書かれている。ほかにも硯や硯に水を差す水滴などの文字に関係する道具や、役人が身に着けていたベルトの飾り、仏教を中心とした信仰に関連する資料が発見されている。
これらの資料は、文字の普及と日常的に文字を扱う知識層の存在を示し、仏教受容の実態を知る上で重要なもの。寺院と見られる建物跡の発見と合わせて、8~9世紀代の地方集落内まで仏教信仰が普及していたことが分かり、「村落内寺院」の名称が提示されるきっかけになった資料でもある。古代日本の宗教史だけでなく、古代史全般を考える上でも重要な資料として文化財の指定に至ったという。9月23日(火・祝)まで、袖ケ浦市郷土博物館で展示されている。