自然災害を前に人間の力の小ささを思い知らされることは多いが、それでも新しいテクノロジーがいざという時の危険を少しでも減らしてくれるのは頼もしい。千葉県一宮町に導入された「津波避難広報ドローンシステム」(ブルーイノベーション・東京)は、7月30日に発生したカムチャツカ半島沖の地震に伴う津波注意報・津波警報下で初めて稼働、職員を危険にさらすことなく、避難広報と状況確認が実現した。
このシステムは、ブルーイノベーション社の「BEPポート|防災システム」を基盤とし、全国瞬時警報システム(Jアラート)と連動している。7月30日午前8時25分に津波注意報が発令され、防災無線が鳴った時、屋上へ駆け上がった職員はポートのカバーが開き、ドローンが自動で飛び立つ瞬間を目にしたそうだ。防災担当者にとって、現場に職員を派遣せずとも状況確認や避難広報を行えることの安心感は大きかったという。
その後、午前9時40分に津波警報が発令され、2度目の自動飛行を開始。さらに、海岸利用者の避難状況を確認するため、手動での飛行も実施した。役場にいながらドローン搭載カメラで海岸の様子をリアルタイムに確認。「人が近づけないエリアをドローンで確認できたのは良かった」と、防災体制の底上げに期待が集まっている。