不動産投資で狙うべき国やエリアはどこか。大手証券会社のプライベートバンキング部門で数多くの富裕層を担当していたZUU代表の冨田和成さんは「人口・経済規模ともに世界最大の不動産市場は東京である。
これだけ人が集まる場所であれば、何かしらお金を生む手段はある」という――。
※本稿は、冨田和成『世界の大富豪が実践しているお金の哲学』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■不動産投資は長期的な視野に立ったインカム目的がメイン
不動産投資は
一般人は、

高くてできないと思っている
小金持ちは、

転売目的で買う
大富豪は、

長期収入源として買う

不動産投資の目的は2つに大別されます。
・物件の値上がりを期待して買うキャピタルゲイン目的

・月々の家賃収入を期待して買うインカムゲイン目的
投資家が不動産屋に行くと、どちらが目的なのか最初に聞かれます。
まずキャピタルゲイン目的ですが、短期で利益を出せる可能性を秘めているものの、値上がりしそうな物件をいち早く見つけることがまず大変ですし、物件自体の建物価値は時間とともに下がる運命にあります。
さらに、不確定な情報(怪しい情報)をもとに判断するケースもあるので、難易度はかなり高いです。
ということで、実際、不動産投資の中心となるのは、より長期的な視野にたったインカムゲイン目的の投資になります。
家賃収入が目的であれば、物件がある程度値下がりしても収益が上げられる前提で物件を選ぶので、よりリターンが見えやすくなります(実際は税金対策としても人気なのですが、それは本書の別の項目で解説しています)。
不動産投資目的で銀行から融資を受けるときの金利は、固定の場合、1~2%前後が相場。一方の賃貸収益は5%前後のものが多いので、投資の利回りは3%前後ということになります(売買手数料、管理費・修繕費、税金などを除く)。
■空き家リスクも東京なら回避しやすい
不動産投資のリスクは、入居者がいなくなることです。
今後人口が減る地方では起こりうることですが、東京ではよほど劣悪な条件ではない限り、家賃を下げるか、設備を新しくするか、仲介会社に販売コミッションを払うかなどの手立てを打てば、空き家の状態が長く続くことはあまり考えられません(賃貸住宅の全国平均空き家率は13.8%なのに対して東京は11%。
2023年総務省調べ)。
むしろ、一番のネックは出口戦略(どのタイミングでどうやって物件を処分するか)になるでしょうから、そこさえ専門家のアドバイスをもらうなり自分で勉強するなりして対策を練っておけば、不動産投資は金融商品による投資に比べると比較的手堅いと言えます。
それに不動産投資なら、想定していた利ざやが取れないときには物件を売ってローンを返済してしまえば、深手を負う前に身を引くことができます。
銀行で不動産ローンを組むときは、銀行側の調査による物件の担保価値までしか融資しませんから、物件を売ってその分を返せば大惨事にならないことがほとんどです。
原資が少ないうちは中古のワンルームマンションくらいしか買えないので、いきなりマンション成金になるのは難しいですが、資産運用の選択肢のひとつとして検討する価値はあります。
投資金額の大きさに

惑わされるな
■100年たっても需要がありつづける土地
不動産投資をするとき
一般人は、

新興住宅地を買う
小金持ちは、

東海道線沿いを買う
大富豪は、

山手線の内側を狙う

先ほど少し触れたように、不動産投資は物件の立地選びが勝負です。
大企業の工場が近くにあるから単身住宅の需要があるだろうと見込んで新築のアパートを建てたら、工場が閉鎖になって誰も住んでくれないといった類の話はよく聞きます。
また、最近ではインバウンドの需要が高まり、名古屋を中心とした東海道線沿線が期待できるという話も聞きますが、どこまでの需要なのかは不確定です。
ただ、今後、100年たっても需要がありつづける土地があります。
それが東京の心臓部である山手線の内側。とくに駅近です。
日本全体では2010年から人口が減りつづけていますが、東京圏の人口は増えつづけています。

都庁の報告によると、東京都の世帯数は総人口のピーク後も増加を続け、2035年を迎えたのちに減少過程に移行すると予想されています。
現在、日本の首都圏(グレーター東京)の人口は約4400万人(令和2年国勢調査を参照)。世界でもダントツで、2位のジャカルタの約3500万人を大きく引き離しています(Demographia「World Urban Areas」より)。
■東京は世界最大の不動産市場
また、経済規模で見ても世界一で、GRP(域内総生産)は1兆6千億USドルもあり、ニューヨーク(1兆4千億ドルで2位)よりも大きいのです(ブルッキングス研究所による2015年の発表値)。
つまり、東京は世界最大の不動産市場でもあるわけです。
そのコアである山手線内の需要が今後も高いことは明白です。
どれだけ老朽化した建物であっても、都心部で家賃の安い物件を探し求める人は必ずいますし、若干手を入れればAirbnbなどでの活用も残っているでしょう。これだけ人が集まる場所であれば、何かしらお金を生む手段はあるのです。
円安の影響で海外投資家の目が向いているという側面もあるでしょう。実際、私の知り合いのシンガポールの大富豪と何年か前に東京で再会したとき「日本はまるでバーゲンセール中だな」と言われました。
ただ、そのような短期的な需要がなくても、東京の市場は構造的に値下がりしにくいのです。「需要があって値下がりしにくいのであれば、多少高くても買う」というのが大富豪の考え方です。

社会変革の狭間に

チャンスが隠れている

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冨田 和成(とみた・かずまさ)

ZUU社長兼CEO

神奈川県出身。一橋大学在学中にIT分野で起業。2006年大学卒業後、野村證券株式会社に入社。本社の富裕層向けプライベートバンキング業務、ASEAN地域の経営戦略担当等に従事。2013年3月に野村證券を退職。同年4月に株式会社ZUUを設立し代表取締役に就任。

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(ZUU社長兼CEO 冨田 和成)
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