■プロフィールで重要なのは趣味
結婚相談所とは、必ずしも結婚できないモテない、イケてない人たちだけが婚活する場所ではない。
「えっ、なんでこの人が結婚できないの?」と思うようなプロフィールが並んでいるのを見て、驚く会員さんも少なくない。
婚活する手段はいくらでもあるのに、なぜ多くの方々が、結婚相談所でご縁を求めるのか。理由はさまざまあるが、マッチングアプリ等とは違い、仲人をはじめとするスタッフによる婚活支援や、身分証明や収入証明などの制度が整っているからではないか。
結婚相談所で婚活を始めると、システム上にプロフィールが掲載される。
ずらりとライバルが並ぶ中で、見た目の印象から相手を選ぶ方は少なくないため、写真は第一に重要で、その次に重要なのはプロフィールに記載された内容である。
性格や仕事の概要、休日の過ごし方や趣味が主な内容だが、これは、ルックスの良し悪しに関わらず、婚活者全員に平等に与えられた「武器」だと言える。この「武器」をどんなものにするかで、婚活の結果は大いに違ってくる。
お見合いを申し込んだり、申し込まれて受けるかどうかを検討したりする際、プロフィールには目を通すもの。なかでも、相手の「趣味」欄は、必ず読まれると思った方がよいだろう。
「趣味」であるから、当然自分の好きなことを記載すれば良いのであるが、お見合いでは「趣味」から会話が広がることが少なくない。
だからこそ、婚活のプロフィールにおいて、「趣味」欄の記入はとても重要だ。
では、どんな「趣味」が婚活のシーンではウケが良いのか?
また、どんな「趣味」は、結婚相手に歓迎されないのであろうか?
■「交流のきっかけ」と捉えたほうがいい
「趣味」は、お見合いでの会話の要になることが多いため、スペースが許す限り、書けるだけ書いたほうがいい。また、お見合い相手と共感できるものであることが好ましい。
プロフィールでよく見る趣味としては、街歩きやグルメ探訪、映画鑑賞やスポーツ観戦、美術館巡り、などがある。テニスやスキー・スノボ、ゴルフなど取り組んでいるスポーツは、その方の生活スタイルが伝わるので、記入したほうがよいし、共通の趣味があれば、会話が盛り上がる。
一方、婚活の場で「趣味」によっては、印象が下がると言われるものもある。
たとえば、「海外旅行」や「ショッピング」と女性が書くと、「お金がかかる」と思われたり、「ゴルフ」と男性が書くと、結婚してからも、休みはゴルフに出かけて1日不在にすると考える女性もいる。
旅行やゴルフといった趣味は、二人で楽しめる素晴らしい趣味なのに、「旅行=お金がかかる」という考えはやや行き過ぎな印象を受けるし、ゴルフが家事放棄にはならないとは思うが、人の考え方は様々である。
となれば、一般ウケ、つまり多くの方から見て好感を持たれ、共通の会話ができる趣味がベターなのは言うまでもない。さきほど紹介したプロフィールでよく見る趣味を見返してみると、相手と一緒に楽しめるものや、お互いの好みがはっきりと出やすいものが並んでいることに気づくでしょう。
プロフィールにおける趣味欄というのは、自分が好きなものを相手にアピールするためのものではなく、趣味の合いそうな相手、もっと言えば結婚相手になってくれそうな相手との交流を深めるためのきっかけを掴むものだと理解したほうがいい。
■「サウナが好きです!」では話は広がらない
最近の男性の趣味に多く見受けられる「サウナ」、また女性に人気の「ヨガ」は、どうだろうか。
結婚相談所で出会い、交際となったとしても、デートで二人が一緒に楽しめるものではない印象が強い。異性と一緒に入れるサウナ施設は限られているし、ヨガも女性専用の施設のほうが目につく。「サ活」も「ヨガ」も、人気とはいえ、結婚相談所のプロフィールにおいては、これらより、相手との共感点を得られそうな趣味を優先して書いたほうが良い。
以下は実際に、婚活の場面で、趣味にまつわることに寄せられた声である。
たとえば、ジムで身体を鍛えて、その後サウナをルーティーンとしている男性が多いためか、趣味に「ジム、サウナ」と記載されるかたも多い。だが、ある女性からは「サウナって裸で入るところですよね。サウナではなく、岩盤浴だとしても、ノーメイクでゆるっとした岩盤浴着を着るんですよ。スパ施設にデートで行くには、かなり深い関係でなければ無理」とおっしゃる通りの意見が聞けた。
■「外車好き」という男性を女性はどう見ているか
ヨガと同様に、近年女性に人気の趣味である「ピラティス」についても「趣味にピラティスって書いてある女性は多いんですが、男からするとピラティスってなんだかよくわからないんですよね。ここからは会話が広げられない」と男性からは評判が良くない。
ほかにも、趣味に「車」と書いていた男性がいて、年収600万円くらいで、古いベンツを所有していた方に、「お見合いで、結婚後も車を手放す気はないとおっしゃっていました。
「ゲーム」と趣味欄に記載する男性は多いのだが、まったく興味がない女性の会員のなかには「ゲームと婚活のプロフィールに書いてる人とは、お見合いしたくありません。結婚後も暇さえあれば、ゲームをするつもりでしょうから」と語る人もいる。
■「趣味:街歩き、読書、深夜ラジオ」が結婚の決め手に
たかが趣味、されど趣味。
プロフィールからお見合い結婚の相手を知るための一つに、「趣味」欄は誰もが参考にするのである。
ざっくり言えばアウトドアなタイプか、インドア中心の方かは趣味欄から想像もつく。一緒に体験できそうな趣味や、会話が広がる趣味は良いが、お金がかなりかかるような趣味や、結婚後の生活に影響が出そうな趣味なら、婚活者には歓迎されない。
また、特別な趣味が、結婚のきっかけになるケースもある。
31歳、女性、大卒、金融機関勤務。
どちらかといえば、学生時代から目立たないタイプのインドア派。自らを「陰キャ」と名乗る女性で、流行を追いかけるタイプではなく、自分がよいと思ったものには強いこだわりがある。地味なタイプではあるが、芯がしっかりした女性で、彼女の結婚相手への希望は「頭がよい男性」であった。
休日には、軽い運動を兼ねて、散歩しながら少し遠くの書店に行く。気に入った本があればそれを買って帰る。物静かで思慮深く、真面目を絵に描いたような女性だ。
自宅では、ラジオを聞きながら本を読む時間が、彼女の癒やし。特に気に入っているのは、バナナマンの深夜ラジオで、毎週欠かさず聴いている、ハードリスナーでる。彼女の趣味欄には、「街歩き、読書、深夜ラジオ」と記載されていた。
この彼女の「趣味」が、意外にも結婚の決め手となったのだ。
■ハイスぺ男性との共通点になった「深夜ラジオ」
どちらかといえば、ずらりと並ぶプロフィールの中では、目立たず、見逃されてしまいそうな女性であるにもかかわらず、彼女は東大卒で1歳年上のハイスぺ男性とのご縁をあっという間に掴んだのだ。
この理由は、趣味欄にあった「深夜ラジオ」である。
お相手男性も、同ラジオ番組のリスナーであり、お見合いの席からその話で盛り上がった。あれよあれよという間に、真剣交際となり、彼の海外転勤が決まったタイミングと重なったこともあり、お見合いからわずか2カ月半で、プロポーズされたのである。
彼女も、会話上手な女性ではないし、お相手男性も真面目で、恋愛経験の少ないタイプだったが、二人のデートでは毎回、深夜ラジオから会話が広がっていった。
「あれ食べた?」とか、「あそこに行ってみたいね」とか、「ずっと前の回で言ってたあれさあ」など、ラジオから流れるバナナマンの軽妙なトークが、二人の共通の話題。出会う前から、ずっと聴いてきた二人だからこそ、分かち合える話が尽きなかった。
コミュニケーション能力が高いタイプとは真逆な二人が、「深夜ラジオ」を会話の媒体として、ずっと前からの知り合いのようなデートを重ねた。
■“ニッチさ”が武器になり幸せを掴んだ
彼の結婚カウンセラーからは、「二人の相性はぴったりのようで、彼女以外の方とは結婚は考えられないと申しております」という報告が3回目のデート後には届いた。
彼女も同じ気持ちで、彼となら、「日々の小さな幸せや楽しみを共感できる」と感じた。
東大卒のお相手は、彼女の希望「頭がよい男性」にぴったりだったばかりか、優しく思いやりある彼との出会いで、彼女はみるみる綺麗になり、成婚退会手続きでやってきた彼女からは、陰キャなどとは無縁の、聡明でキラキラと輝くようなオーラを放つ女性に変身していた。
人を好きになると、こんなにも見た目から変わっていくのだと驚かされたのは言うまでもない。
彼女が、婚活で成功したたった一つのキーワードは趣味欄にあった「深夜ラジオ」。
全員がプロフィールで持てる「趣味という武器」に、ニッチな「深夜ラジオ」と記載したことで、彼女の理想の相手にぶっ刺さる「最強兵器」としたのである。
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大屋 優子(おおや・ゆうこ)
結婚カウンセラー
1964年生まれ、株式会社ロックビレッジ取締役。ウエディングに特化した広告代理店を30年以上経営のかたわら、婚活サロンを主宰。世話好き結婚カウンセラーとして奔走。
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(結婚カウンセラー 大屋 優子)