■いますぐ不登校問題を解決できる魔法がある
はじめまして、そたろうと申します。
不登校やひきこもりの専門カウンセラーとして、多くのご家庭をサポートしてまいりました。今回はその経験から、不登校ひきこもりの問題をいますぐに本質的に解決する方法についてお伝えしたいと思います。
不登校の子どもが朝、なかなか起きてこない。スマートフォンやゲームばかりしていて、ただ見守っているだけでは動き出す気配がない――このようなお子さんの様子に、頭を抱える親御さんも少なくありません。
かといって、「学校には行けそう?」「どうして行けないの?」と背中を押そうとしても、うまくいかないことがほとんどです。
見守っても動かない、背中を押しても動かない――。
この狭間で、どうすれば良いのか分からず、苦しんでいる方は非常に多くいらっしゃいます。このような状態が10年、20年、30年と続いてしまうのではないかという不安を抱えている親御さんも決して少なくないのです。
でも、大丈夫です。これまでのカウンセリング経験で断言できるのは、そうした悩みがまるでウソのように消えてなくなる方法があるということです。
それは、決して「我慢」や「耐え忍ぶ」「無理をする」といった努力によって成し遂げられるものではありません。
むしろその逆です。
親御さんご自身が、自分の心と体を大切にし、自分の意思を尊重していくこと。それによって、親御さんの心にゆとりが生まれて、ラクになり、自由になっていきます。その安心感がお子さんにも伝わり、やがてお子さん自身が、自らの意思で人生を選び取るようになるのです。
「そんな魔法のようなことが本当にあるのだろうか?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際に僕が関わってきた多くのご家庭では、親御さんの内面の変化がきっかけとなって、子どもたちの状況も大きく改善していきました。そして皆さん「本当に魔法みたいですね」と言ってくださいます。
本稿ではその“魔法”をどうすれば使えるようになるのかについて、詳しく説明していきたいと思います。
■不登校の子どもの親は頑張りすぎている
まず、「親御さんが自分自身を大切にすること」と、「お子さんが学校へ通うようになったり、社会とつながりを持ったり、自分の人生を主体的に歩んでいくこと」とが、どのようにつながっているのかについて考えてみましょう。
不登校のお子さんを持つ親御さんが自分を大切にできていないというのは、例えば次のような状況です。
仕事では強い責任感を持ち、日々頑張っている。
一方で、仕事が終わって帰宅すれば、家事や家庭のことに追われる日々。
そして、お子さんがなかなか動き出せない状況が続く中、精神的な負担はさらに大きくのしかかってくる。
このような状況を「自分を大切にしていない」と表現するのは、残酷に聞こえるかもしれません。親御さんは「自分が頑張らなければ」という想いで、真剣に日々を生きていらっしゃるからです。
その姿勢を否定したいわけではありません。
ただし、そうした日々の中で、「これは本当に“自分を大切にすること”につながっているのだろうか?」という問いを自分に向けてみたときに、「実は無理をしていたかもしれない」「頑張りすぎていたのかもしれない」と、気づかれる方も多くいらっしゃいます。
■「疲れた親」が子どもに与えるメッセージ
親御さんが自分自身を大切にできない状態にあるとき、子どもたちはどう感じるのでしょうか。
子どもにとって親は、最も身近な人間関係であり、社会とのつながりそのものと言える存在です。
そのため、子どもが将来のことを考えたり、自分の人生を想像したりするとき、無意識のうちに親の姿を自分の未来の延長線として見るようになります。
たとえば、僕の父は非常にストイックに仕事へ取り組む人でした。
仕事においては一定の成果を上げていたものの、強いストレスを抱え、それが家庭内にも影響し、ピリピリした雰囲気を生んでいました。
僕自身がそうだったように、僕たちは知らず知らずのうちに、親から大きな影響を受けて育ちます。そして同様に、今、あなたのお子さんも、親であるあなたの在り方から多くの影響を受けているのです。
たとえば、あなたが仕事で無理をしていたり、責任感の重さに押しつぶされそうになりながらも、家のことにも一生懸命取り組んでいたり、さらにお子さんのことで心を痛め、心労が溜まっているとしたら――お子さんの目には、「人生は苦しいもの」「人間関係は負担が多いもの」「働くことは辛いもの」という印象が映ってしまうかもしれません。
そうなると、子どもは「我慢して頑張っても報われないんじゃないか?」「学校に行く意味ってなんだろう?」と考え、ついには「だったら、もう頑張らなくていいや」と、人生そのものに対して投げやりになってしまうこともあるのです。
■「人生は楽しい」と伝えよう
しかし、この逆のことをしたらどうなるでしょうか。
親御さんが自分を大切にするようになったとき――子どもは自然と、「人生って、楽しんでいいものなんだ」「人と関わるって、素敵なことかもしれない」と感じるようになります。
新しいことに挑戦すること、自分の好きなことをすることが、「幸せにつながる」ということを、理屈ではなく肌感覚で感じられるようになるのです。
たとえば、これまで僕が関わってきたクライアントさんの中には、
・仕事の役職を降りて、心に余裕を取り戻した方
・思い切って仕事を辞め、新たな環境に踏み出した方
・逆に、一度辞めた仕事を「やっぱり私は働きたい」と思って再び始めた方
など、さまざまな道を選ばれた方がいらっしゃいました。
大切なのは、「自分は、本当はどうしたいのか」という問いに向き合い、それに沿って行動することです。その姿を見て、お子さんもまた「自分はどうしたいのか?」と考え、社会や人間関係とつながるようになっていくのです。
■自分を大切にするとはどういうことか
日常の中でも、小さな「自分を大切にする行動」は可能です。
たとえば、毎日家族のために食事を頑張って作っているけれど、正直それが大変に感じることもある。そんな時は、思い切ってテイクアウトを利用する日を作ってみたり、メニューを少しシンプルにしてみたり。あるいは、「今日は自分の好きなおかずを作ってみよう」と、自分のための一品を用意するのも素敵な選択です。
自分に優しい言葉をかけてあげることも有効です。まずは今日の自分をねぎらってあげましょう。
親御さんはお子さんのことを考えて一生懸命になんとかしようとしたり、ときにやきもきしたり、生活のために仕事を頑張っていたりしますよね。
そうした自分に「今日もお疲れさま」「本当によく頑張っているよね」「ゆっくり休んでね」とねぎらいの言葉をかけてあげてみてほしいのです。自分の頭を撫でながら言うのもいいですし、お風呂に入りながら腕をさすりながら言うのもいいでしょう。自分で自分のことを抱きしめてあげながら言うのもおすすめです。
心地いいな。うれしいな。ほっとするな。
仮に子どもから言ってもらえなくても、パートナーから言ってもらえなくても、あなたが頑張っていることには変わりない。だとしたら、ねぎらいの言葉を自分で自分にかけてあげる。それだけでも心が緩んで涙が溢れてきたり、力を抜くことができます。
■子どもは親の変化に敏感
こうしたことを続けていくと、親御さんは心に余裕が持てるようになっていきます。
すると、それが子どもに自然に伝わります。親御さんが思っている以上に、お子さんは本当によく、親御さんのことを見ており、感じ取っているのです。
お子さんの表情がなんだか穏やかになったり、会話の量や幅が増えたりしていきます。親御さんもお子さんのことを受け入れるゆとりを持ちやすくなるので、家の中の雰囲気が安心で穏やかなものになっていきます。
それほどまでに、「親」という存在は、お子さんにとって非常に大きな影響力を持っているのです。
■「自分を優先できない親」が抱える心の傷
ただ、「自分を大切にする」というのは、ポジティブなことばかりではありません。
こうして自分を大切にしていこうと思うときに「母親としてそんなことをしていていいのか? 無責任なのではないか?」と罪悪感が出てくることがあります。
不登校に悩む親御さんの多くが真面目で、「○○すべき」「○○せねば」という思考を持っていて、それで自分を苦しくしてしまっていることがあります。こうした思考の背景に、親御さんの成育歴やトラウマが隠れていることもあります。
大事なのは、「罪悪感を持ってしまうよね」「責任感が強いからだよね」と、そういう自分もまた受容していくことなのです。
■「親御さんが使える10の魔法」
「自分を大切にする」「自己受容をする」と言われて頭で理解しても、なかなか実践できないのが僕たちです。そこで、さまざまな方法をYouTubeチャンネル「不登校ひきこもり解決そたろう」の中で発信しています。
今回、僕がクライアントさんにやっていただいている、「親御さんに使える10個の魔法」というワークをご紹介して終わりたいと思います。
これは、不登校ひきこもりの問題がなくなって、自分を大切にできているときをイメージしてもらい、そのときにやっていることや感じているものを10個書き出してもらうところから始まります。
・ヨガを習いに行っていて心身ともにリフレッシュしている。
・やりがいのある仕事に集中して充実感で満たされている。
・友達と日帰りで温泉に行って楽しい気分になっている。
などなど。
自分を大切にするというのは、自分の好きなこと、夢や憧れだったことを自分にさせてあげるということでもあります。
こうして書き出したことを、一つひとつやっていただきます。
今すぐにできないと思う方もいますが、たとえば、それでもヨガを習える場所を探してみる。友達をまずはお茶に誘ってみるなど、できることは見つかってきます。
そうして実際に行動に起こしていくと親御さんの気分が変わったり、心が満たされるということが起きていきます。
仕事のことに家事に子どものことまで、色々なものが山積みになっているように感じて、それどころではないと思う方にこそ、おすすめの魔法です。いきなり大きな行動でなくてもいいんです。少しずつでも行動に起こしていくと、その魔法の威力を体験できるはずです。
騙されたと思って、ぜひ、やってみてください。
----------
そたろう(そたろう)
不登校ひきこもり専門カウンセラー
20代の頃、理学療法士として働く傍ら、夫婦関係や仕事に行き詰まったことをきっかけに自分が心の問題を抱えていることに気づき、心理学を学び始める。その過程で自己受容の大切さを知る。2019年、子どもを受容する声かけなどを指導する「不登校ひきこもり専門カウンセラー」今野陽悦さん〔今野陽悦『学校に行けない子どもに伝わる声がけ』(WAVE出版)〕に出会い、仕事を手伝いはじめる。2022年に独立。累計300人、約8000回(2025年9月末時点)のカウンセリング実績のなかで、不登校を本質的に解決する具体的なメソッドを構築。自身のYouTubeチャンネル「不登校ひきこもり解決そたろう」で発信を行っている。クライアントの9割が自分自身を大切にすることを学ぶなかで、家族関係が改善し、子どもが再登校をしたり、社会復帰するなど問題解決を果たしている。著書に『親が変わると、世界が変わる 不登校・引きこもりを本質的に解決したある母の物語』がある。
----------
(不登校ひきこもり専門カウンセラー そたろう)