これからの時代に求められるスキルとは何か。法人営業で月1000万円の利益を生んだ実績を持つReverent社長の吉村恭平さんは「電話を使ってアポイントを取る営業手法『テレアポ』は一生モノの武器になる。
なぜなら、声だけで相手の心を動かすスキルは、AIには真似できないからだ」という――。
※本稿は、吉村恭平『3分だけ会う時間を僕にください 成果ゼロから月一千万の利益を生み出したトップ営業マンのテレアポ術』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
■テレアポを極めたら一生ごはんが食べられる
毎日、テレアポの電話をかけては断られて心が重くなる。
「もう辞めたい……」
そんなふうに感じたこと、ありませんか?
実は僕自身、かつては会社帰りにカレーを食べながら泣いたことがあります。
新人時代、1カ月まったくアポが取れず、毎日がゆううつでした。
でも、あることに気づいてやり方を変えたら、状況が一変し、アポ獲得率が一気にあがりました。気づけば他業種の会社からも「ウチに来ないか?」とヘッドハンティングされるようになり、どんな会社でも必要とされる存在になっていたんです。
テレアポは、誰でもチャンスをつかめる仕事です。
この記事では、僕が実際にやってきたことをそのままお伝えします。
やることはシンプルです。
書いてある通りに、順番にやっていくだけで、自然と成果がついてきます。
電話口では、あなたが何者かなんて相手にはわかりません。

営業歴も、学歴も、年齢も、顔すら見えない。
だからこそ、ちょっとしたやり方の工夫だけで、結果がまったく変わる。テレアポがうまくなるだけで、将来の選択肢が一気に広がるんです。
私は、いつも社員に言っています。
「テレアポを極めたら、一生ごはんを食べることができるよ」と。
この記事を読んで、テレアポで成果をあげ、営業に自信をもって取り組めるようになってほしい。
テレアポができれば、会社員なら会社で大事にされるようになるし、起業している人にも役立ちます。
その先に、思いもよらないチャンスや出会いが待っているはずです。安定した収入もついてきます。
それが冒頭でもお伝えしたセリフにつながります。
「テレアポを極めたら、一生ごはんを食べることができるよ」
テレアポは決裁権者とつながることができ、人脈も築け、さらには実践的なビジネスノウハウまで手に入れられるのです。
■どの会社でも大事にされる「最強スキル」
テレアポにはあと2つ、成果に対するご褒美があります。

1つは、「成果が収入や評価に直結しやすい」ことです。
私の場合は「固定給+出来高」だったため、アポが増えるほど収入も増えました。このように、ボーナスや昇給など、努力が目に見える形で評価されやすいのも、営業の魅力の1つです。テレアポができる人はどんな会社でも大事にされます。
もう1つは、「世の中のサービスを広げることに貢献できる」ことです。
たとえばスマートフォンが日本で普及した背景にも、無数の営業マンの努力があったはずです。
自分の仕事が社会に役立っていると実感できることは、営業という仕事にたずさわる者にとって大きなやりがいです。日本経済を動かしているのは営業マンです。
テレアポは、ただの電話営業ではありません。
あなたの声が、新しい価値を世の中に届け、人々の暮らしを便利にし、未来を変えるのです。
■自社商品・サービスを理解できているか
テレアポ前にやっておきたいステップがあります。
最初のステップは「自社商品・サービスへの理解」。
これは、一番基本でありながら、多くの営業担当が甘く見てしまう部分です。
商品の「説明」はできても、「価値」を伝えられる人は意外と少ないのが現実です。
商品の特徴やスペックを知っているだけでは、テレアポでは成果につながりません。
「この商品は、誰に、どんなすばらしい未来をもたらすのか?」、それを理解してはじめて価値を伝えることができます。
考えられるものを紙に書き出して、「見える化」しておくのがおすすめです。
たとえば私が営業していた、お客様の順番待ち番号を発券できるサービスの“価値”を言葉にすると、次のようになります。
例:【発券サービスの主な価値】

・順番待ちのストレスを減らし、お客様が満足する

・お客様の家族や友人の大切な時間をムダにせずに済む

・お客様はシンプルな操作で済み、お店はデータが取れてお客様の求めているものがわかる
どんな未来を人々にもたらす商品かどうかを考えておくと、価値が伝えやすくなります。
■「弱点」まで言える営業が信頼を勝ち得る
テレアポで結果を出すためには、「他社との違い」を明確にすることが重要です。
今はほとんどの商品・サービスに競合があり、「どれも同じようにスペックが高い」と思われがちです。
だからこそ、「ここが他社と違う」「ここが自社の強みです」と、自信をもって伝えられるよう準備しましょう。
実は、機能などが追いついていない面なども把握しておくことが大切です。
たとえば「価格は高めですが、操作は簡単です」など、短所を強みに変える切り返しを準備しておけば安心です。

実際のテレアポで「他社との違いって何ですか?」と聞かれることもよくあります。そのときに「えーっと」と考え込まず、はっきり答えられるようにしておきましょう。
商品やサービスは、日々進化していくものです。
だからこそ「商品価値・差別化・改善点」の3つは、定期的に見直す習慣をつけておきましょう。
■結果を出す「テレアポリスト」はこうつくる
作成手順① 知りたい企業情報をリスト化する
まずは、どんな情報が必要かをリストアップします。
ここでは、例として私が実際に使っていたテレアポリストを紹介します(図表1)。取り扱う商品やサービスが違っても、収集しておくべき基本情報は変わりません。
ただし、商品・サービスによって必須情報は多少は異なります。
たとえば、私の場合、「混雑している店舗に向けたサービス」だったので、「店舗数」や「業態」「主要ブランド」なども、かなり重要性の高い情報でした。
調べられる項目は多くありますが、最初からすべて完璧に集める必要はありません。
【このリストを使うポイント】

★印は、特に重要な基本情報です。最優先で収集しましょう。


・リストにない情報(業種特有の項目)は、必要に応じて追加してください。

・調べられない情報は空欄でかまいません。テレアポ中に聞き取り、追記しましょう。
作成手順② 主なターゲット条件を絞り、情報を集める
ターゲットをしっかり絞ることで、テレアポの成果は大きく変わります。まずは「業種」や「地域」でネット検索をします。
私の経験を例にすると、広い意味でのターゲットは、「九州地方」で「飲食店を経営している企業」でした。
さらに、「回転ずし」や「焼肉店」など店舗形態を絞り、行列のできる飲食店に注目しました。行列の有無は、口コミサイトやレビューなどからも推測できす。
【例】私が販売していたサービスの主な検索条件

・九州地方

・飲食店を経営している企業

・飲食店の種類(例:回転ずし・焼肉店)

・行列のできる飲食店
私はネット検索だけでなく、可能な範囲で現地調査も行っていました。「このお店は行列ができている」と聞けば、実際に足を運び、自分の目で確かめました。
実際のテレアポではこう伝えていました。
「私も現地に足を運びましたが、御社の店舗は行列ができていました。

そのうえでお伝えできる情報があり、お電話させていただきました」
これは強力な説得材料になります。
一方で、企業によっては「行列=人気の証」ととらえて改善を望まないこともあります。
そうした場合はムリに営業せず、別の企業にアプローチしたほうが成果につながります。
現地に行って初めてわかることも多いので、余裕があるときはネットに頼らない情報収集も検討してみましょう。
■従業員数100人以下の企業は「チャンス」
作成手順③ 見込みのある企業を①のリストに記入する
集めた情報の中から、「売上高」や「従業員数」「店舗数」などの項目で、よりアプローチしやすい企業や成果につながりやすい企業を見極めて、①で用意したリストに記入していきます。
特に、「売上高」と「従業員数」で企業の規模感は必ずチェックしてください。たとえば従業員数が100名以下の企業であれば、社長が電話に出る可能性が高く、アポも取りやすくなります。
また、自分が扱う商品・サービスが高額になるほど、企業の規模は重要になってきます。特に高単価の商品であれば、しっかりとした財務体力がある企業でないと、契約まで至らない可能性が高いからです。
私の場合、「店舗数」もあわせてチェックしていました。
店舗数が多い企業は、提案の幅が広がります。
「このお店にはこれが合いそうだな」「あの店舗には違う角度から話してみよう」と、考えるのが楽しく、いつもワクワクしながら準備していました。
また、導入店舗が多くなればその分、貢献度や売上もあがるため、成果につながりやすいという実感もありました。
一方で、たとえ行列のできる人気飲食店であっても、単店舗・小規模経営であれば、こちらからの提案に対するニーズが低いこともあるため、優先度はさげていました。
このように、まずは「自社の商品・サービスに合った規模感の企業か」をしっかり見極めたうえで、リストに加えるようにします。
もし「純利益」がわかるのであれば、より情報の精度はあがります。
いくら売上高が高くても、純利益が出ていなければ、その会社は赤字ということです。長期的な取引を考えるなら、企業の経営状態が健全かを確認しておくことも大切です。
ただし、純利益まで開示している企業は少ないため、より詳しい情報が必要なときは、調査会社からデータを購入するのも1つの手です。

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吉村 恭平(よしむら・きょうへい)

Reverent代表取締役社長

1989年、福岡県京都郡苅田町生まれ。大学卒業後、大手上場飲食企業に入社。すぐに店長に抜擢されるも、「社内の営業職に就きたい」との強い思いから、わずか4カ月で退職。その後、営業の最前線である大手通信営業会社に転職。入社3カ月で「これで九州を任せる」と電話1本を渡され、テレアポによる法人営業を開始。最初は失敗続きだったものの、アポが取れる時間帯や決裁権者への突破法など独自のノウハウを確立。その結果、大手企業の社長と面談を重ね、24歳にして月1000万円の利益を達成。九州支店の最年少所長に就任。その後、ヘッドハンティングを受けて外資系大手生命会社へ転職。前職で培ったテレアポ術を活かし、入社2年で年収1000万円、3年目にはプレイングマネジャーとして年収2000万円を達成。2023年、株式会社Reverent(リバレント)を設立。保険代理業を中心に業績を伸ばすかたわら、テレアポ術を伝える講師としても活動。

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(Reverent代表取締役社長 吉村 恭平)
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