※本稿は、須田慎一郎氏のYouTubeチャンネル「ただいま取材中」の一部を再編集したものです。
■高市政権の危機
世論調査で69%という高い支持率を誇る高市内閣が、水面下で危機的状況に陥っている。
一体何が起こっているのかというと、現在、高市内閣は「経済対策を最優先課題とする」方針の下で、総合経済対策の策定中である。この総合経済対策は、物価高騰への対応、成長投資・危機管理投資、安全保障も含めた広範な経済政策パッケージとして位置づけられたものである。
この総合経済対策を支える財政的・予算的な裏付けは「2025年度補正予算」となる。この予算編成について、強い権限を持つ財務省が、高市政権が望むような予算にはならないよう、激しく動いていることが取材で明らかになった。
このような動きは、まさに「面従腹背」と言えるものだ。具体的には財務省が各省庁、特に会計課などの予算編成窓口を通じて、担当官を呼び出し「要求するな」、または「要求しても通らない」といった恫喝を行っているのだ。
こうした事実について新聞やテレビといったオールドメディアでは一切報じられていないので、本稿で皆さんに詳しくお伝えしていきたい。
■「予算が通らない」
具体的には、どのような項目が認められていないのか。
それは、高市政権の看板政策である「AI革新・科学技術投資」や「中小企業成長投資」、「供給能力強化」など、また日本維新の会が強く求めていた「生産性改革」「地方経済の成長」などの政策項目である。
これらの政策を実現するための予算を要求しても通らず、数分の一に大幅な減額査定されたり、場合によっては「ゼロ査定」、つまり要求しても一切認められないという結果になっている。各省庁上層部にはあきらめムードが漂っているが、特に中堅・若手の職員たちは憤りを感じている状況である。
昨年度の石破政権下の補正予算は、歳出規模で13兆円9000億円。今回の補正予算も現時点では前年度の規模に対して、わずかに1000億円程度、あるいは数百億円程度の上積みにとどまり、財務省はこれを押し通そうとしている。
表面上は、財務省はあたかも高市政権に協力する姿勢を見せているが、実際には各省庁に対して恫喝的な態度を取り、政策要求自体を控えさせたり、仮に要求が出されても大幅に削減するなど、強硬な対応を取っているのだ。
■石破政権と同じ“緊縮予算”となるか
このような状況が続けば、日本維新の会から「高市政権は一体何をしているのか」という批判が高まり、連立にも亀裂が入りかねない状況である。
さらに、補正予算案が公表された際には、国民から「石破政権時代と同じ規模ではないか」「内容も変わらないのではないか」といった批判の声が上がるだろう。期待が大きいだけに失望が広がる可能性が高い。
ただし、この補正予算案はまだ確定したわけではない。これから政治主導によってどこまで上積みできるかが問われている段階である。
■いま問われている政治主導
実際に政治主導によって、予算が倍額されたケースもある。
2025年1~3月期の電気・ガス代支援、つまり物価高騰対策の補助金についても、当初は石破政権と同様に「3カ月で3000円、1カ月あたり1000円」とされていた。
財務省の「面従腹背」に歯止めをかけるためには、これを適切に制御していく政治的な力が必要である。特に、片山さつき財務大臣の役割は極めて重要だ。私は、個人的に片山大臣に大きな期待を寄せている。
たとえば、先ほど申し上げた電気・ガス代に対する補助金の増額については、首相補佐官である遠藤敬氏の強い働きかけがあった。だからこそ、高市総理がその重要性に気づき、政治的判断をもって1カ月あたり2000円以上への増額を実現した。
しかし、全ての政策項目で同様の対応をするのは現実的ではない。根本的な課題は、財務省の姿勢に対して、いかに財務大臣がブレーキをかけるかという点にある。高市政権の看板政策に泥を塗るわけにはいかない。
■日本の未来がかかっている
これは決して「メンツ」の問題ではなく、国家の未来にかかわる重要なテーマである。
例えばAI分野への投資については、今このタイミングで資金を投入しなければ、日本がこの分野で大きく後れを取る可能性が極めて高い。
また、日本維新の会が重視する知的財産政策についても、財務省はほとんど関心を示していないようである。これを放置すれば、日本が国際社会で知的財産権において後れを取り、国内の知的コンテンツが権利侵害の被害を受けるリスクが高まる。
こうした分野には、予算をしっかり投じるべきである。繰り返しになるが、これは国家の戦略的判断の問題である。
このような状況に対して、政治主導によってしっかりと対応していかなければ、高市政権が大きなダメージを受けるだけでなく、日本の将来を担うべき産業や技術、AIなどの分野が、スタートの段階でつまずき、取り返しのつかない状況を招きかねない。
それは、日本の未来に深刻な影を落とすことになりかねないのである。
今後、政権が安定的に運営されていくためにも、この補正予算はまさに「一丁目一番地」と言える重要課題である。ここはぜひ、高市総理と片山財務大臣のラインで、政治主導の力を発揮し、この難局を乗り切っていただきたいと強く願っている。
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須田 慎一郎(すだ・しんいちろう)
ジャーナリスト
1961年東京生まれ。日本大学経済学部を卒業後、金融専門紙、経済誌記者などを経てフリージャーナリストとなる。民主党、自民党、財務省、金融庁、日本銀行、メガバンク、法務検察、警察など政官財を網羅する豊富な人脈を駆使した取材活動を続けている。週刊誌、経済誌への寄稿の他、TV「サンデー!スクランブル」、「ワイド!スクランブル」、「たかじんのそこまで言って委員会」など、YouTubeチャンネル「別冊!ニューソク通信」「真相深入り! 虎ノ門ニュース」など、多方面に活躍。
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(ジャーナリスト 須田 慎一郎)

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