※本稿は、大愚元勝『愚恋に説法 恋の病に効く30の処方箋』(小学館)の一部を再編集したものです。
■大人になっても「恋は盲目」な人
付き合ってはいけない人は確実に存在します。
人間は、知的レベルや道徳レベルが違うと話も合わないし、一緒にいてもどこか違和感があるはず。好きだと、そういう違和感に目をつぶってしまいます。
子どもは感情で好き嫌いを判断しますよね。それが大人になると、感情丸出しではなく、理性を育てて人を見極められるようになります。好きも大事、でも理性も大事、そのバランスで共に生きる相手を選んでいくのです。とはいえ、これが巧みにできない人もいます。
好きな人のことを考えると胸が高鳴り、好きを力強く実感するものです。会いたくて震えるほどに。付き合うだけならそれでいいでしょう。
でも、もし彼とずっと一緒にいる、ゆくゆくは結婚をして子どもを持つという前提になると、好きの感情だけで相手を選んでしまう人生は大変危ういです。
■人を見極める10のチェックポイント
では、「付き合ってはいけない人」をジャッジするにはどうしたらいいのでしょうか。あるんです! 2600年前にブッダが作った最強の見極めチェックシートが‼
これは仏教用語で〔十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)〕といいます。
十重禁戒
仏教において絶対に守るべき10種の戒。戒とは、罰則はないが守ったほうがいいルールで、破り続けていると人生が台無しになり、大きな罰が自分自身に返ってくる。
簡単に言えば「十重禁戒を破りまくっている人」と付き合うと、自分の人生にもかなり悪影響を及ぼすということです。
■酒乱、時間泥棒はやっぱり嫌だ
付き合っている時は「好きな人なら許せる! ダメなところもむしろかわいい!」となることも多々あると思います。でも冷静に考えてみてください。
お酒を浴びるほど飲んで、飲酒運転だって平気でしちゃう人を友人に紹介できますか?(不酤酒(ふこしゅ))
結婚の話を持ち出したら「考えてるって!」と不機嫌になる彼に、大事な時間を奪われ続けても大丈夫ですか?(不偸盗(ふちゅうとう))
ブッダは「自分の感情ほど信じられないものはない」という前提を説いています。いかに自分の感情を殴り倒して生きるか、これが仏教の修行です。じゃじゃ馬のような感情は時に〔御する〕必要があるのです。
御する
騎士が馬を調教し制御するように自分をコントロールすること。
十重禁戒を参考に好きな人を冷静に見極め、暴走する気持ちを御すること。
この2つを実行できた先には、きっと巧みな恋愛が待っています。
■浮気する確率が高い人、低い人
十重禁戒の一つが「不邪淫(ふじゃいん)」、つまり快楽至上主義者で浮気性な人です。
大前提として、浮気性の人は「浮気ができる」んです。魅力的だから。
浮気性の悪い男ほどかっこよく見えるのは、このためです。魅力に溢れた人は当然チャンスや誘惑の機会が多いので、浮気の可能性が膨れ上がります。
半面、浮気しない人は、ひょっとしたらたまたまモテないので「浮気ができない」だけかもしれません。
私に言わせれば、誰でも浮気をする可能性があるわけですが、実はこれって確率論です。
① 浮気できるだけの魅力がある
② 浮気できる相手がいる
③ お互いの気持ちが近づくタイミングがあった
②と③が揃ってしまうと、①がなくても浮気はできます。逆に①があっても、同性のみの職場で家と職場の往復しかないのだったらチャンスはありません。
■どんな人にも浮気性の素質がある
ただ、人間関係は流動的なので、この確率は常に変化していきます。
②「浮気できる相手がいる」は相手が転職したり、部署が変わったりすれば、これから出会ってしまう可能性がある。③「お互いの気持ちが近づくタイミングがあった」は今の恋人に飽きていたり、仕事で疲れていたり、嫌なことがあったりする時、突然タイミングがやってきます。
一番慰めてほしい時にふと優しい声をかけてくれる人がいたら……。そりゃ、浮気も起こるわけです。
男性も女性も社会に出ての活動が許される現代において、出会いのチャンスは溢れ返っています。すれ違う交差点が増えれば増えるほど、交通事故の発生確率は上がるのです。
人間には、そもそも浮気性の素質があります。
あなただって、美容室、めちゃくちゃ浮気しますよね? ちょっと気に食わないことがあったり、新しいサービスが出たりしたら、すぐに乗り換えるじゃないですか。
人間は飽き性なのです。新しいものを求めるし、とにかく刺激を求める。
■人生も恋愛も「無常」である
本当に長いこと関係を続けようと思ったら、恋人とぶつかったり、心が一時期離れたり、揺れたりすることは必ずあります。恋愛は、これを繰り返しながら「やっぱり、この人が大切だな」と、揺れたからこそ再確認して戻ってくる部分もあるのではないでしょうか。
人生も恋愛も、ずっと右肩上がりとか、一定の状態が続くことはありません。これこそ「無常」なのです。
生きていると、良い時もあるし、そうでない時もあります。お互い大好きだから盛り上がる時もあれば、熱が入りすぎて苦しくなり「もうやめよう」となる時もあるのです。
目に見えない小さな波を繰り返しながら、気がついたら、無事になんとか一緒にいられたという感じで、恋人や夫婦なんて、みんな危ういバランスの上に関係が成り立っています。
■「私、浮気されてる?」と思ったら…
浮気が許せないのは、あなたのエゴのせいです。
「浮気をされて嫌だ!」と思うのは、「この自分」をバカにされ、「この自分」を否定されたという感覚が強烈に襲ってくるから。「この私を差し置いて!」というのが裏の心理としてあるのでしょう。
でも、感情をこじらせて「1秒たりとも、一瞬たりとも、もう私から心をずらしたら許さない」という態度でいると、逆にうまくいかなくなります。
例えば、カマをかけたり、隠れてスマホをチェックしたりする。常に疑っていなければならない関係って辛くないですか?
気になるのなら、ストレートに聞くのが一番。カマをかけるなんて性格が悪い! 姑息なことをすると、人としての魅力が半減してしまいます。
「浮気の素質は誰にでもある」なんて脅してしまいましたが、その中にも「絶対僕は浮気しない」という安心感、安定感のある人っています。
モテる人ばかり追いかけて、カマをかけるスキルを上げるより、自分が心穏やかに過ごせる人を選ぶことに目を向けてみてください。
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大愚 元勝(たいぐ・げんしょう)
佛心宗大叢山福厳寺住職、(株)慈光グループ代表
空手家、セラピスト、社長、作家など複数の顔を持ち「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。僧名は大愚(大バカ者=何にもとらわれない自由な境地に達した者の意)。YouTube「大愚和尚の一問一答」はチャンネル登録者数57万人、1.3億回再生された超人気番組。著書に『苦しみの手放し方』(ダイヤモンド社)、『最後にあなたを救う禅語』(扶桑社)、『思いを手放すことば』(KADOKAWA)、『自分という壁』(アスコム)、『愚恋に説法: 恋の病に効く30の処方箋』(小学館)などがある。
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(佛心宗大叢山福厳寺住職、(株)慈光グループ代表 大愚 元勝)