健康に長生きするためには、お金をどのように使うべきか。精神科医の和田秀樹さんは「健康のために人間ドックにお金をかける人が多いが、人間ドックは受けない方がいい。
※本稿は、和田秀樹『どうせあの世にゃ持ってけないんだから 後悔せずに死にたいならお金を使い切れ!』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
■「もっとお金を使えばよかった」と死ぬ前に後悔する人たち
60代半ばから70代にもなると、定年退職や子どもの独立によってライフスタイルが大きく変わります。それまでに必要だった子どもの教育費が要らなくなったり住宅ローンの返済がようやく終わったりして、支出も大きく変化するはずです。
子育てにお金も手間もかかる間は、自分自身のことはいつも後回しにしてきたでしょう。しかし義務や義理から解放される老後は、自分のためにお金を使えるとっておきの季節です。もう老後のために無理して蓄える必要もありません。
ところが、老後になってもお金を貯め込んだりチマチマと節約したりする人が圧倒的に多い。
私はこれまで老人医療の現場で数千人の高齢者を見てきましたが、死期が近づくと「もっとお金を使えばよかった」「一生懸命に貯金して損をした」と後悔する人が少なくありません。
足腰が弱って歩けなくなったり、認知症がひどくなったり、寝たきりになったりすると、旅行に行きたくても行けず、好きな外食もできない。お金が山ほど残っていても、もう使えないのです。そのときの後悔の深さは計り知れません。
死を前にして、どんなに悔いても、もう遅いのです。
だからこそ、年を取ったら「お金は使うもの」と考え方を切り替えて、元気なうちにお金を使って自分の残りの人生をうんと楽しんだほうがいい。自分が稼いだお金です。誰に遠慮することもありません。
とはいえ野放図に使うわけにもいかないでしょうから、まずは、いまの生活費全般を見直して無駄な支出を減らすことから考えましょう。そして、年金などの収入から必要経費を差し引いて、残りはできるだけ自分を幸せにするものに使うことです。
つまり、死に金を生きたお金に変えるのです。
■子どもが独立したら保険を見直したほうがいい
日本人は保険好きだと言われます。
生命保険文化センターが行った「2024年度生命保険に関する全国実態調査」によると、2人以上世帯の年間払込保険料(個人年金保険の保険料を含む)は平均35.3万円となっています。
これを30年間払い続けたとすると合計1059万円、40年間だと1412万円になります。そう聞けば、保険にかける金額の大きさに驚かれる人も多いのではないでしょうか。
生命保険には、亡くなった場合に備える「死亡保険」や病気またはケガに備える「医療保険」、がんに備える「がん保険」など、さまざまな保険があります。
死亡保険は契約者が亡くなったときに残された家族の生活保障を得るためのものですから、子どもが成人して働き始めたら大きな保障は必要ないでしょう。葬式代くらいは残したいという人は、その程度の保障がある保険に乗り換えればいいと思います。
高齢者の医療費は公的な医療制度が充実しているために思ったほどかかりません。それでも心配なら、自分の不安な点をカバーしてくれる医療保険を見つければいいでしょう。
■ある一定の年齢になると、人間は必ずがんになる
がん保険も、個人の考え方によるのではないでしょうか。私はがんと診断されても治療を受ける気はさらさらないので、がん保険に入る気はまったくありません。
でも、治療を受けたい人は入るのもいいと思います。がん保険もうまく使えば得することもあるでしょう。
実は、ある一定の年齢になると、人間は必ずがんになります。私が高齢者専門の浴風会病院に勤務していた当時、年間100例の病理解剖の結果を見ていましたが、85歳をすぎてがんのない人はいませんでした。
しかし、そのうち、死因ががんだったのは3分の1にすぎません。
いずれにしても、がんと診断されたら、治療を受けなくても保険金は入ってくるはずですから、その金を使って温泉旅行に出かけるとか美味しいものを食べるとか、ちょっと贅沢して楽しく過ごせばいい。
高齢者のがんは進行が遅いし、がんは積極的な治療をしなければ、死ぬ少し前まで普通の暮らしができる病気ですから。
■「自分へのメリットがあるか」を見極めることが大切
ただ一つ、確実に言えることは、保険会社というのは儲かるから成り立っているわけです。だから医療保険であろうが、がん保険であろうが、安いと思う商品があるかもしれないけれど、統計学的な確率を考えたら、保険は一般的には損をします。
それでも自分にとってメリットがあるのかどうか、しっかり見極めて選択することが大事です。最近は保険の無料相談窓口も多く、商品はいくらでもあります。インターネットでも情報を集められますから、比較検討してみてください。
私は、がん以外の病気になったときの手術代くらいはとっておきたいなと思っているのですが、それすら大して貯めていません。
ただ、私が死んだらビルのローンを払えなくなるからと、ずいぶん前に妻が保険に加入していたそうで、それを使えば、仮に入院しても「病院の最低の個室ぐらいには入れるかな」と思っています。入院するときに、豪華な特別個室がいいなどとは、さらさら思っていません。
■人間ドックは受けても老後の楽しみが減るだけ
言うまでもありませんが、充実した老後を送るためにはやはり健康が大事です。
健康のためにいま一番お金が使われているのは、たぶん人間ドックでしょう。特定健診や高齢者健診は、料金が安い代わりに検査項目は大した数ではありません。
はっきり言えば、検査数値の異常を見つけて、「薬を飲んでください」、「塩辛いものや脂っこい食事は控えてくださいね」などと言われる程度のものです。そういう健診ではちょっと頼りないなと思って、人間ドックを受ける高齢者は決して少なくありません。
結論から言うと、人間ドックは受けない方がいいと私は思っています。受けて異常が見つかったときに、よくわからない薬を飲まされたり、医者からうるさいことを言われたりして、老後の楽しみが減るだけですから。もし、がんが見つかったら慌てることにもなります。
腫瘍マーカーで異常値が出ると、またあれこれと検査を受ける羽目になります。腫瘍マーカーの値が高いからといって必ずしも特定されたがんがあるとは限りませんが、かなりの確率でがんが早期発見されるか、もうすでにかなり悪い状態で発見されます。
■がん治療に対する耐性は年齢によって大きく異なる
そうなったときに、多くの患者さんは手術を受けたり、あるいは化学療法を受けたり、放射線治療を受けたり、その中の複数を受けたりする。
40代、50代であれば、まだ体力がありますから、がんを取り除くことができれば仕事に復帰することも可能ですし、以前のように生活をすることもできます。
しかし、私の経験から言うと、高齢の患者さんの場合、手術や治療を受けても、その多くがせいぜい1年か2年くらいしか寿命を延ばさないわりには活力を奪われて、体がヨボヨボになってしまう。
がんが治っても体が衰弱して寝たきりになったり何の楽しみもない毎日になってしまったりしたら、果たしてその治療に何の意味があったのか? ということになります。
一方、がん検診を受けずに気がついたら手遅れという結果になったとしても、進行の遅い高齢者のがんであれば、たいてい苦しむこともなく数年間はいままでどおりの生活ができます。
だから、私はがんを早期発見して、手術したり治療したりすることにはあんまり賛成しないのです。
また、人間ドックは一般的なものよりもより精密な形で血液検査をしますし、胃や腸の内視鏡検査などもやるのですが、心臓の冠動脈造影CT検査はほとんど行いません。
■突然死を避けるために心臓ドックを受診
心臓の冠動脈造影CT検査というのは、造影剤とCTスキャンを使って心臓を取り巻く冠動脈に狭窄がないかどうかを調べる検査です。
血流検査のデータが全部正常でも、冠動脈に狭窄が見られる場合もあるし、検査データが異常でも狭窄していない人もいますから、撮影しないとわからないのです。
私などその検査で引っかかってステント手術を受けたのですが、狭窄しているところにステントという器具を入れて血管の壁を内側から押し広げれば、心筋梗塞にならないですむわけです。
そういう意味で、人間ドックなるものは、「いろんな検査をするわりには、あんまり役に立たないんじゃないか」と私は思っています。
ちなみに私は、糖尿病があるので半年に1回の眼底検査と3カ月に1回の腎機能検査を受けています。糖尿病は、合併症として網膜と腎臓と神経に障害が起こりますから。
神経の障害はしびれなど自覚症状でわかりますが、腎臓と網膜は調べておいたほうがいいので、その結果が悪くなった時点で糖尿病のコントロールを変えるつもりです。
それから3年から5年に1回心臓ドックで、さきほどの冠動脈造影CT検査を受けています。基本的に私は突然死はしたくない。やりたいことをやり残したまま死ぬことになるし、恥ずかしいものを残して死ぬかもしれませんから。
心臓の場合、血管が詰まったら突然死の可能性があります。だから心臓ドックを受けて、血管が狭窄していたらステントを入れることにしているわけです。
脳ドックでも、MRIによって脳の血管を見ることができます。私はちょっと前に受けて、動脈瘤がないことを確認していますから、しばらくは受けなくてもいいかなと思っています。
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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。国際医療福祉大学教授(医療福祉学研究科臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。川崎幸病院精神科顧問。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。2022年総合ベストセラーに輝いた『80歳の壁』(幻冬舎新書)をはじめ、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『老いの品格』(PHP新書)、『老後は要領』(幻冬舎)、『不安に負けない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』(SBクリエイティブ)、『60歳を過ぎたらやめるが勝ち 年をとるほどに幸せになる「しなくていい」暮らし』(主婦と生活社)など著書多数。
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(精神科医 和田 秀樹)
受けて異常が見つかったら、老後の楽しみが減るだけだ」という――。
※本稿は、和田秀樹『どうせあの世にゃ持ってけないんだから 後悔せずに死にたいならお金を使い切れ!』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
■「もっとお金を使えばよかった」と死ぬ前に後悔する人たち
60代半ばから70代にもなると、定年退職や子どもの独立によってライフスタイルが大きく変わります。それまでに必要だった子どもの教育費が要らなくなったり住宅ローンの返済がようやく終わったりして、支出も大きく変化するはずです。
子育てにお金も手間もかかる間は、自分自身のことはいつも後回しにしてきたでしょう。しかし義務や義理から解放される老後は、自分のためにお金を使えるとっておきの季節です。もう老後のために無理して蓄える必要もありません。
ところが、老後になってもお金を貯め込んだりチマチマと節約したりする人が圧倒的に多い。
私はこれまで老人医療の現場で数千人の高齢者を見てきましたが、死期が近づくと「もっとお金を使えばよかった」「一生懸命に貯金して損をした」と後悔する人が少なくありません。
足腰が弱って歩けなくなったり、認知症がひどくなったり、寝たきりになったりすると、旅行に行きたくても行けず、好きな外食もできない。お金が山ほど残っていても、もう使えないのです。そのときの後悔の深さは計り知れません。
死を前にして、どんなに悔いても、もう遅いのです。
だからこそ、年を取ったら「お金は使うもの」と考え方を切り替えて、元気なうちにお金を使って自分の残りの人生をうんと楽しんだほうがいい。自分が稼いだお金です。誰に遠慮することもありません。
とはいえ野放図に使うわけにもいかないでしょうから、まずは、いまの生活費全般を見直して無駄な支出を減らすことから考えましょう。そして、年金などの収入から必要経費を差し引いて、残りはできるだけ自分を幸せにするものに使うことです。
つまり、死に金を生きたお金に変えるのです。
■子どもが独立したら保険を見直したほうがいい
日本人は保険好きだと言われます。
生命保険文化センターが行った「2024年度生命保険に関する全国実態調査」によると、2人以上世帯の年間払込保険料(個人年金保険の保険料を含む)は平均35.3万円となっています。
これを30年間払い続けたとすると合計1059万円、40年間だと1412万円になります。そう聞けば、保険にかける金額の大きさに驚かれる人も多いのではないでしょうか。
生命保険には、亡くなった場合に備える「死亡保険」や病気またはケガに備える「医療保険」、がんに備える「がん保険」など、さまざまな保険があります。
いま契約中の保険の保障内容を見直して、これからの生活に必要な保障のみに変えることで無駄をなくしましょう。
死亡保険は契約者が亡くなったときに残された家族の生活保障を得るためのものですから、子どもが成人して働き始めたら大きな保障は必要ないでしょう。葬式代くらいは残したいという人は、その程度の保障がある保険に乗り換えればいいと思います。
高齢者の医療費は公的な医療制度が充実しているために思ったほどかかりません。それでも心配なら、自分の不安な点をカバーしてくれる医療保険を見つければいいでしょう。
■ある一定の年齢になると、人間は必ずがんになる
がん保険も、個人の考え方によるのではないでしょうか。私はがんと診断されても治療を受ける気はさらさらないので、がん保険に入る気はまったくありません。
でも、治療を受けたい人は入るのもいいと思います。がん保険もうまく使えば得することもあるでしょう。
実は、ある一定の年齢になると、人間は必ずがんになります。私が高齢者専門の浴風会病院に勤務していた当時、年間100例の病理解剖の結果を見ていましたが、85歳をすぎてがんのない人はいませんでした。
しかし、そのうち、死因ががんだったのは3分の1にすぎません。
つまり、3分の2は知らぬが仏でがんと共存して生き、最終的にはがん以外の原因で亡くなられた、ということです。
いずれにしても、がんと診断されたら、治療を受けなくても保険金は入ってくるはずですから、その金を使って温泉旅行に出かけるとか美味しいものを食べるとか、ちょっと贅沢して楽しく過ごせばいい。
高齢者のがんは進行が遅いし、がんは積極的な治療をしなければ、死ぬ少し前まで普通の暮らしができる病気ですから。
■「自分へのメリットがあるか」を見極めることが大切
ただ一つ、確実に言えることは、保険会社というのは儲かるから成り立っているわけです。だから医療保険であろうが、がん保険であろうが、安いと思う商品があるかもしれないけれど、統計学的な確率を考えたら、保険は一般的には損をします。
それでも自分にとってメリットがあるのかどうか、しっかり見極めて選択することが大事です。最近は保険の無料相談窓口も多く、商品はいくらでもあります。インターネットでも情報を集められますから、比較検討してみてください。
私は、がん以外の病気になったときの手術代くらいはとっておきたいなと思っているのですが、それすら大して貯めていません。
ただ、私が死んだらビルのローンを払えなくなるからと、ずいぶん前に妻が保険に加入していたそうで、それを使えば、仮に入院しても「病院の最低の個室ぐらいには入れるかな」と思っています。入院するときに、豪華な特別個室がいいなどとは、さらさら思っていません。
■人間ドックは受けても老後の楽しみが減るだけ
言うまでもありませんが、充実した老後を送るためにはやはり健康が大事です。
だからこそ健康長寿のためにせっせと金を使っている高齢者が大勢いますが、お金のかけかたを間違っている人が多いと思います。
健康のためにいま一番お金が使われているのは、たぶん人間ドックでしょう。特定健診や高齢者健診は、料金が安い代わりに検査項目は大した数ではありません。
はっきり言えば、検査数値の異常を見つけて、「薬を飲んでください」、「塩辛いものや脂っこい食事は控えてくださいね」などと言われる程度のものです。そういう健診ではちょっと頼りないなと思って、人間ドックを受ける高齢者は決して少なくありません。
結論から言うと、人間ドックは受けない方がいいと私は思っています。受けて異常が見つかったときに、よくわからない薬を飲まされたり、医者からうるさいことを言われたりして、老後の楽しみが減るだけですから。もし、がんが見つかったら慌てることにもなります。
腫瘍マーカーで異常値が出ると、またあれこれと検査を受ける羽目になります。腫瘍マーカーの値が高いからといって必ずしも特定されたがんがあるとは限りませんが、かなりの確率でがんが早期発見されるか、もうすでにかなり悪い状態で発見されます。
■がん治療に対する耐性は年齢によって大きく異なる
そうなったときに、多くの患者さんは手術を受けたり、あるいは化学療法を受けたり、放射線治療を受けたり、その中の複数を受けたりする。
40代、50代であれば、まだ体力がありますから、がんを取り除くことができれば仕事に復帰することも可能ですし、以前のように生活をすることもできます。
しかし、私の経験から言うと、高齢の患者さんの場合、手術や治療を受けても、その多くがせいぜい1年か2年くらいしか寿命を延ばさないわりには活力を奪われて、体がヨボヨボになってしまう。
がんが治っても体が衰弱して寝たきりになったり何の楽しみもない毎日になってしまったりしたら、果たしてその治療に何の意味があったのか? ということになります。
一方、がん検診を受けずに気がついたら手遅れという結果になったとしても、進行の遅い高齢者のがんであれば、たいてい苦しむこともなく数年間はいままでどおりの生活ができます。
だから、私はがんを早期発見して、手術したり治療したりすることにはあんまり賛成しないのです。
また、人間ドックは一般的なものよりもより精密な形で血液検査をしますし、胃や腸の内視鏡検査などもやるのですが、心臓の冠動脈造影CT検査はほとんど行いません。
■突然死を避けるために心臓ドックを受診
心臓の冠動脈造影CT検査というのは、造影剤とCTスキャンを使って心臓を取り巻く冠動脈に狭窄がないかどうかを調べる検査です。
血流検査のデータが全部正常でも、冠動脈に狭窄が見られる場合もあるし、検査データが異常でも狭窄していない人もいますから、撮影しないとわからないのです。
私などその検査で引っかかってステント手術を受けたのですが、狭窄しているところにステントという器具を入れて血管の壁を内側から押し広げれば、心筋梗塞にならないですむわけです。
そういう意味で、人間ドックなるものは、「いろんな検査をするわりには、あんまり役に立たないんじゃないか」と私は思っています。
ちなみに私は、糖尿病があるので半年に1回の眼底検査と3カ月に1回の腎機能検査を受けています。糖尿病は、合併症として網膜と腎臓と神経に障害が起こりますから。
神経の障害はしびれなど自覚症状でわかりますが、腎臓と網膜は調べておいたほうがいいので、その結果が悪くなった時点で糖尿病のコントロールを変えるつもりです。
それから3年から5年に1回心臓ドックで、さきほどの冠動脈造影CT検査を受けています。基本的に私は突然死はしたくない。やりたいことをやり残したまま死ぬことになるし、恥ずかしいものを残して死ぬかもしれませんから。
心臓の場合、血管が詰まったら突然死の可能性があります。だから心臓ドックを受けて、血管が狭窄していたらステントを入れることにしているわけです。
脳ドックでも、MRIによって脳の血管を見ることができます。私はちょっと前に受けて、動脈瘤がないことを確認していますから、しばらくは受けなくてもいいかなと思っています。
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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。国際医療福祉大学教授(医療福祉学研究科臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。川崎幸病院精神科顧問。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。2022年総合ベストセラーに輝いた『80歳の壁』(幻冬舎新書)をはじめ、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『老いの品格』(PHP新書)、『老後は要領』(幻冬舎)、『不安に負けない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』(SBクリエイティブ)、『60歳を過ぎたらやめるが勝ち 年をとるほどに幸せになる「しなくていい」暮らし』(主婦と生活社)など著書多数。
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(精神科医 和田 秀樹)
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