※本稿は、髙木拳斗(けんとのダイエット講座)『「モリモリ食べたい!」「運動嫌い」でもなんとかなる 40代からのゼロリバウンド・ダイエット』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■糖質とは何か?
糖質は炭水化物の一部。タンパク質、脂質、炭水化物は三大栄養素と呼ばれ、それぞれ体のエネルギー源であり、3つのうち、最もエネルギーに利用されやすい栄養素が糖質です。
この本では炭水化物を糖質として説明していますが、炭水化物を食事で摂取すると、消化・吸収できる糖質、消化できない食物繊維に分かれ、体のエネルギーになるのは炭水化物の中で糖質だけだからです。
糖質を含む食べものはたくさんありますが、砂糖を除くと、お米、麺類、パンなどの主食のほか、いも類、くだものなどに多く含まれます。この糖質は消化されるとブドウ糖に変換され、体や脳を動かすエネルギーとして利用されるのです。
ブドウ糖は脳の重要なエネルギー源。一般的に、1日に約120gのブドウ糖を消費するといわれ、脳だけでこの量が必要なんですよ! 白米のご飯100gあたり約36gの糖質が含まれているので、茶碗1杯のご飯が160gとして……茶碗約2杯分のご飯を食べて、やっと1日分の脳を働かせる糖の消費量がまかなえます。
■糖質は優秀なエネルギー源。不足すると太りやすい
さらに心臓や筋肉など、全身のいろんなところで糖が必要です。「やせたいから白米は食べない」「摂取カロリーは1200kcal以下」「空腹時間を長くする」「ファスティング」「1日1~2食」などなど、これらはぜ~んぶ糖質が不足しがち。
糖質はエネルギー源として最も使いやすく、摂取から供給までのスピードが断然速い! だから、優先的にエネルギーとして消費されるんです。要は仕事ができるヤツなんです、糖質は(笑)。
そんな糖質が不足すれば、大げさでなく体にとっては危機! 生命維持のためにエネルギー消費を節約して、その分、脂肪はつきやすくなり……結果的に太りやすい体に。
つまり、摂り過ぎても不足させても太ってしまうのが糖質。悪者と抑えるよりも、人間のメインエネルギーの糖質は、必要量をしっかり食べる! そのほうが、日常を元気で活動的に過ごせ、ダイエットの効率も上がります。
■イチオシの糖質は「お米」
糖質は体のエネルギー源のメイン。では、何から糖質を摂るのがいいでしょう?
ダイエットですから、砂糖や甘いお菓子はいうまでもなくNG。僕の一番のおすすめは、そう、お米です。
ご飯茶碗1杯160gの白いご飯に含まれる三大栄養素は、タンパク質4g、脂質0.5g、炭水化物59.4g。ほとんどが炭水化物=糖質です。そのため、お米を食べると太ると思われがちですが、これは思いこみ。
実に脂質の半分以下で、例えば、ご飯茶碗1杯160gの白いご飯が250kcal。オリーブオイル大さじ2をドレッシングなどで摂っても250kcal。お腹の満足感からも、お米のカロリーは高くないといえます。
お米で糖質を摂れば、甘いものも減らしやすく、空腹をそれほど感じずに摂取カロリーを下げられます。理由は、食欲が安定するから。食欲が乱れるおもな原因は、低血糖です。
血糖値って安定して緩やかに上下すれば、それほど空腹感はないのに、低血糖の状態で何か食べると、急激に上がって急激に下がってジェットコースターのよう! 低血糖になると、空腹感がめっちゃ強くなります。お米で日常的に糖質を補えば、低血糖にならず食欲も安定。食べ過ぎや爆食を防げるというわけです。
■お米は食物繊維も豊富。茶碗1杯でキャベツ1袋と同等
また、お米には食物繊維も多く含まれます。食物繊維は便通をよくするほか、脂質の吸収を防いだり、腸内細菌のエサになって腸内環境を改善することもわかってます。
白いご飯の場合、ご飯茶碗1杯160gに含まれる食物繊維量は2.4g(AOAC食物繊維総量)。千切りカットキャベツ1袋130gの食物繊維量とほぼ同等で、僕はキャベツより、ご飯のほうがラクに食べられます。
しかも、糖質制限をすると体の水分や筋肉が落ちやすいのですが、お米を食べてやせると、体重はいきなりガンと下がらなくても、脂肪がちゃんと減るといえます。それに、糖質をしっかり補充できるので、糖新生(※1)で筋肉が削られることも防げて、筋肉量を維持できるのもメリット。つまり、見た目の体型が、きれいに整いやすいのです。
くり返しになりますが、お米のカロリーはみなさんのイメージより、実際は低いのです。自分にとってのお米の適量(本書第2章で解説しています)を守れば、お米で太ることはあり得ませんし、むしろ、お米をしっかりと食べた人のほうが、糖質がどんどんエネルギーに変わって消費され、結果的にやせてリバウンドしません!
(※1)体内の糖が不足すると、血糖値を一定に保つために筋肉などを使って糖を作り出すこと
■ダイエット成功に導く! お米の選び方
糖質を毎日、バランスよく摂るには、食事でお米を食べること! これはけんと式ダイエットの基本ですが、いまだに「お米を食べたら太るのでは……」と思う人もいるでしょう。ここでは安心してお米を食べられるよう、やせる「お米の選び方」についてお話しします。
前置きしておくと、GI値(※2)でいえばもちろん、より低GIのお米のほうがおすすめです。食後の血糖値が急上昇・急下降すると空腹感が増して食べ過ぎも増えてしまいがち。なるべく血糖値が緩やかに上がる、低GIのお米のほうが太りにくいわけです。
ただし、カロリーをはじめ、消化・吸収のよさ、食べやすさなど、続けるためにはいろんな選ぶ基準が。
(※2)その食品の食後の血糖値が、どれだけ急上昇するかの指標にされている数値
〈白米〉
何より入手しやすく、食べやすいのはやはり白米。カロリーは茶碗1杯160gで250kcal。特に、お腹が張る、ガスが溜まる、便秘になりやすいなど、腸内環境があまりよくないときは、食事のご飯を白米にするのがおすすめです。
というのも、白米は外殻や胚芽、ぬかを取り除いている分、消化しやすいのが特徴なんです。しかも、栄養が吸収されやすいので、素早く簡単に体のエネルギーになりやすい!
GI値は約73とやや高めなので、玄米より血糖値は上がりやすいですが、消化がよくないお米で腸内環境が悪化すると、ほかの栄養素の吸収も妨げられ、それだけで代謝が下がってしまいます。
白米のメリットである消化・吸収のよさを優先したほうが、玄米や雑穀などを無理に食べるより、むしろやせやすくなると断言します。
■食後に強い眠気やだるさがある人は「玄米」
〈玄米〉
僕自身、ダイエット中に食べていたのは玄米。茶碗1杯160gで243kcalと、カロリーは白米とほぼ変わりません。ただし、精製されていない分、ビタミンB群、不溶性食物繊維が多く、体内でエネルギーを作るときに必要な鉄は、白米の5倍も含まれています。
ビタミンB群というのは、糖質に脂質、タンパク質も含めて体のエネルギー代謝を高めてくれるので、玄米ご飯とおかずを一緒に食べれば、栄養の効率もよくなってとてもおすすめ!
玄米はGI値も約68と白米ほど高くないので、食後の血糖値がパーンと急上昇しにくく、満腹感も持続します。特に、食べて2時間後にはお腹が減ってしまう人や、食後に強い眠気やだるさがある人は、GI値が白米より低い玄米が向いています。
ただし、腸内環境がよくない人には不向きなので注意を。玄米には不溶性食物繊維が多く含まれます。食物繊維は便秘解消とか腸内環境を整える働きがあるけれど、消化能力が落ちていると逆に負担になってしまうことも。玄米を食べていて、腸内環境がよくないと感じたら、白米に変えて様子を見てください。そうした問題がなければ、玄米は代謝も上がってやせやすいといえます。
■白米に混ぜて効果が上がるお米
〈もち麦ご飯〉
大麦の一種ですが、加熱時のもちもちとした粘り気が特徴。白米と混ぜて食べられることも多く、カロリーはメーカーによりますが、乾燥した粒の状態では白米とほぼ変わりません。
特に、血糖値の急上昇を抑えたり、内臓脂肪を減らしたり、糖と脂質の代謝改善が確認されているβ-グルカンという水溶性食物繊維を含みます。これが、ダイエットの後押しになりそう!
玄米が合わなかった人は、ワンクッション置くように、もち麦を試してみては。GI値はもち麦そのもののデータはないのですが、大麦は低GIなので、白米と多めに混ぜると、血糖値の急上昇を抑える効果が期待できます。
〈五穀米・十六穀米〉
カロリーやGI値は出ないものの、玄米と同様、雑穀は消化に時間がかかる分、白米に混ぜて炊くと血糖値の急上昇を防ぐ役目を果たします。ダイエットサポートに、粒々感などが好きな人は白米に混ぜてみては。
商品により、大麦、古代米、あわ、きび、アマランサスなどがミックスされ、食物繊維をはじめ、ビタミンやミネラルの補強にもおすすめです。白米に混ぜて炊くだけと、玄米よりも手軽なのも人気。
■主食だからこそ続けやすいものを選ぼう
〈タイ米(インディカ米)〉
たまに聞かれるので、ちょっと入れてみました(苦笑)。カロリーはなんと、茶碗1杯160gで294kcalと、白米より高い! GI値は僕が参考にしているデータにはなかったですが、白米とそれほど変わらないのでは。やせるために、あえて買うメリットはなさそうです。
あとは、自分の体調や食べやすさ、浸水などにかかる時間や手間、保存性とおいしさを比べるなど、毎日食べる主食ですから、自身のライフスタイルや好みに合わせてお米は選んでくださいね。
ダイエットや健康を考えると、玄米でなければ効果がないと思う人は多いようですが、白米でもちゃんとダイエット効果はありますよ!
ただし、糖質の補給源だけに食べ過ぎはNGです。本書第2章の自分の「1日に食べたいお米の量」を出して、1日3食や間食に分けて、適量を食べることが大切です。
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髙木 拳斗(たかぎ・けんと)
臨床栄養医学指導士・トレーナー
北海道札幌市にあるパーソナルジム「スターライトフィットネス」を運営するMigi Agari代表。オンラインでダイエット指導をする「けんと式ダイエット講座」も運営。2000人以上のパーソナルトレーニング実績と栄養学を活かしたダイエット指導を行っている。太った原因の根本を解決し改善することで痩せるダイエット法なので、リバウンドなくきれいに痩せることができると好評。TikTok @diet_kento
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(臨床栄養医学指導士・トレーナー 髙木 拳斗)