ダイエット中のランチでは何を食べたらいいのか。臨床栄養医学指導士でトレーナーの髙木拳斗さんは「40代以降も脂肪が燃えやすい体になるためには、3食きちんと食べることが大前提。
本稿では、私が13kg減量したときに食べていた、おすすめのランチメニューを紹介しよう」という――。(第3回/全3回)
※本稿は、髙木拳斗(けんとのダイエット講座)『「モリモリ食べたい!」「運動嫌い」でもなんとかなる 40代からのゼロリバウンド・ダイエット』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■3食きちんと食べることで脂肪は燃える
いよいよ、けんと式ダイエットの要になる食事! まずは大前提ですが、3食きちんと食べること。これは40代、50代になっても、脂肪が燃える体になる習慣として守ってくださいね。
「1日2食でとことんカロリー減」「少食断食など、空腹時間を長くする」といったダイエット法とは真逆でしょうが、3食きちんと食べると血糖値が安定しやすいので、食欲がコントロールできるようになります。もちろん、代謝も上がっていきます。
カロリーを減らしてエネルギー不足になったり、空腹時間が長くなると、血糖値が急激な上昇下降をして、低血糖にもなりがちです。低血糖は体の危機なので、脳は「早く糖質を補給しろ!」と指令を送り、空腹感が強くなったり、食欲が乱れて食べ過ぎたりするんですね。無理のあるダイエットでやせても、食事を戻せばリバウンドしてしまうので、必要な栄養素やカロリーを摂りながらやせること。
まずは、3食きちんと食べて、代謝を上げることから始めましょう。「代謝アップには筋トレ」は間違いではありませんが、3食で主食から糖質を補給する習慣をつけてこそ、代謝が上がって脂肪が燃えやすくなり、筋トレの成果も出ます。
■食事は「和定食+くだもの」が基本
ダイエットの食事にはPFCバランス(※)を整える指導法があります。
でも、一般の人が毎日、自分でやるには難し過ぎる! そこで、けんと式ダイエットの食事は、和定食+くだものが基本。
和食でなくても、洋食でも中華でも「定食スタイル」で献立を組めば、考えなくても栄養バランスが整っていくと思います。食べてやせる献立の組み方はこちら。
茶碗1杯のご飯+手のひら1枚分の肉か魚のおかず、後はみそ汁や副菜1品、最後にくだものをデザートに。
これを守ると理想のPFCバランスに近い献立になり、脂肪を燃やすといわれる栄養素が摂れます。1食の摂取カロリーは、自分が1日に摂取すべきカロリー量の3分の1を目安に。定番の献立は、カロリー計算をしておくのがおすすめです。

(※)体のエネルギー源になる三大栄養素であるタンパク質(プロテイン)、脂質(ファット)、炭水化物(カーボハイドレート)の比率
■朝食は“糖質多め”のほうが痩せやすい
特に、朝ご飯はしっかり食べてください。朝日を浴びることともう1つ、毎朝の体内時計をリセットする条件になるのが、朝食を摂ることなのです。
僕の経験上も、朝ご飯をきちんと食べる人のほうが、明らかにダイエット成功率が高い! その日は代謝が高い状態で活動できて、1日の消費カロリーが上がるからです。
さらに、1日の活動の始まりには、お米を食べることがおすすめ。お米ならパンと違い、脂質を増やさずに糖質をしっかり補給できます。


ある論文では(本書P143参考文献18)、脂質が多めの朝食よりも、糖質が多めの朝食を摂ったほうが、代謝が高かったと報告されています。
糖質を朝にしっかり摂ることが鍵。理想的なPFCバランスでも、食事の総カロリーの50~65%(けんと式では50~60%)は糖質となっています。
つまり、朝食こそご飯を食べて「和定食+くだもの」を定番に。ただし、朝は忙しいので、時間がないってときは納豆・卵かけご飯を食べるのがおすすめです。ワンボウルで「糖質+タンパク質」を補えて、僕も食べています(笑)。
余裕があれば、野菜のおみそ汁やくだものも欲しいですね。代謝に役立つ栄養素をよりバランスよく摂ることができます。朝食を抜く人もいますが、やせたいなら、もう絶対に朝ご飯を食べることです。
■著者が13kg痩せたときの外食ランチ
麺類のなかで、そばは何といっても低GI。そばのGI値は54で、約68の玄米ご飯より低いのです。そばの栄養素ややせるメリットは本書70ページで紹介してますが、糖質がしっかり補給できるのに、低GIで血糖値は緩やかに上昇して、食べる習慣がつけば食欲も安定します。
代謝も上がって、そばはマジ麺類最強! 僕が13kg減量したときも、外食はほぼ「そば屋」でした。
ただし、やせるためには「そばの食べ方」に注意してください。まず、そばはつなぎの小麦粉とそば粉をブレンドして作られたものが多く、やせる効果はすべてそば粉によるものです。だから、そば粉の割合が多い二八そば、九割そば、そば粉100%の十割そばを選ぶこと。少し割高ですが、乾麺でも市販されています。
また、そばは脂質が少ないこともメリット。ただし、脂質も体のエネルギー源。脂質は抑えたいけれど、逆に少なすぎてもダメなんです。栄養が偏らないよう、そばは1日1食までにしましょう。
■うどんや中華麺は基本的にNG
メニューは、ざるやかけのようにそばだけを味わうのではなく、トッピングで栄養価をアップ。もちろん、油脂が多い天ぷら、カレー南蛮、肉そばとかはダメですよ。かしわ(鶏肉)などタンパク質も摂れて、常識の範囲で「太りそうな具材」でなければOKです。

たまに「冷たいそば、温かいそば、どちらがやせますか?」と質問されますが、僕はどちらでもOKと答えています。自分が食べやすく、続けることがやせるコツ。
それよりも市販のつゆは多くが人工的な糖が含まれ、塩分も多いので、つゆは残すことを習慣に。また、そばに足りない栄養素がビタミンCなので、みかんなど、くだもののデザートで補うと完璧ですよ!
もう1つ、ダイエットにいい麺類がパスタ! 小麦粉が原料でもGI値は49と意外に低く、栄養素のバランスもいいので全然食べてOK。ソースは高脂肪のクリーム系は避け、たらこや納豆などタンパク質を含む和風パスタにしましょう。うどんや中華麺はおもに強力小麦粉が使われ、GI値も高くなり基本的にNG。特に、ラーメンは高カロリーで絶対にNGです。
■夕飯には「魚」を食べよう
昼ごはんが麺類の場合、朝ごはんと夜ごはんの1日2食は和定食スタイルに。理想のPFCバランスに近い、栄養バランスのいいやせやすい食生活にするためです。
和定食スタイルは、ご飯で糖質をしっかり摂り、主菜でタンパク質を摂ります。タンパク質は代謝を下げないために絶対に必要で、なかでも、夜ごはんにぴったりなのが魚(魚介類)です。
魚は、タンパク質はもちろん、肉にはほとんどないビタミンDがダントツで多く含まれます。
ビタミンDはカルシウムの吸収をよくするほか、糖質の代謝を高めるといった働きもあります。きくらげやきのこ、卵などにも含まれますが、ダントツで多いのは魚類なのです。
また、魚に含まれるオメガ3脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)なども、魚以外の食材にはあまり含まれず、脂肪燃焼の促進や代謝アップが期待できます。魚って、マジでダイエットに外せない食材なんです。
例えば、サバ100gと豚バラ肉100gの焼いたものを比べると、同じ量でも豚バラ肉のほうが180kcalもカロリーが高い。しかも、サバは脂が多い魚ですが、豚バラ肉の脂質の量はサバの約2倍! 摂取するカロリーと脂質をむやみに増やさないためにも、とりあえず「肉より魚中心」の食事のほうがやせやすいと覚えて、和定食の主菜や麺類の具材を考えてみましょう。
刺身や焼き魚をはじめ、調理法は問いませんが、フライや天ぷらなどの揚げものは脂質が増えるうえに、油脂が酸化してしまうのでNGです。
■40歳以降のダイエットに欠かせない栄養素
魚中心といえども、特に40歳以降の方のダイエットでは、いろんな栄養素を摂りたいもの。長く続けるためにも、タンパク質の補給源は魚を中心に、肉、大豆製品、卵などをローテーションさせるといいですね。朝は卵や納豆、昼は鶏肉、夜は魚といった感じで、タンパク質補給の食材はルーティンで買うのが理想です。
ただし、肉を食べるときは脂身に気をつけること。肉類は基本的にタンパク質と脂質で構成されます。
鶏肉は肉の中では低脂質だからいいのですが、牛肉や豚肉はなるべく脂身の少ない赤身を選んでください。高くはなりますが、ヒレ肉がおすすめです。
とはいえ、豚肉はビタミンB群が豊富。これは糖質、脂質、タンパク質をエネルギーに変換するために必要な栄養素で、不足すれば脂肪がつきやすくなり代謝が下がってしまいます。ビタミンB群を効率よく摂るために、豚肉もときどきは摂りましょう。
■良質なタンパク質を摂ると消費エネルギーが上がる
また、植物性タンパク質もあり、わかりやすいのは大豆製品。豆腐をはじめ、納豆、みそ、豆乳、きなこなどで、大豆のタンパク質は植物性ながら、肉や魚、卵など動物性タンパク質に多い「完全タンパク質」。
タンパク質はアミノ酸の集合体で、そのうち人の体内では作れず、食事から摂取しなければいけない9種類を必須アミノ酸といいます。この必須アミノ酸すべてを含むのが、完全タンパク質。大豆タンパク質は、肉や魚に匹敵する良質なタンパク質なのです。
ただし、大豆にはイソフラボンという女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをする物質が含まれます。エスロゲンが減少する40代半ば以降の女性は摂取したいものの、タンパク質を大豆製品ばかりで摂ると、エストロゲンが過剰になってかえってホルモンバランスが乱れることになります。
タンパク質の含有量は肉や魚のほうが圧倒的に多いので、大豆製品は魚や肉の補足に上手に使っては。脂質も少なく、栄養バランスが整えやすい便利食材です。
良質なタンパク質を摂ると筋肉もつきやすく、体に栄養が行き渡ることで消費エネルギーがアップ。断然、やせやすくなります。

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髙木 拳斗(たかぎ・けんと)

臨床栄養医学指導士・トレーナー

北海道札幌市にあるパーソナルジム「スターライトフィットネス」を運営するMigi Agari代表。オンラインでダイエット指導をする「けんと式ダイエット講座」も運営。2000人以上のパーソナルトレーニング実績と栄養学を活かしたダイエット指導を行っている。太った原因の根本を解決し改善することで痩せるダイエット法なので、リバウンドなくきれいに痩せることができると好評。TikTok @diet_kento

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(臨床栄養医学指導士・トレーナー 髙木 拳斗)
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