■氷河期世代どまんなか、梅宮アンナ52歳での電撃再婚
最近明るいニュースが少なかったせいか、梅宮アンナさんの結婚報道には思わず「おめでとう!」とスタンディングオベーションばりに祝福の念を送ってしまいました。私もアンナさんと同じ1972年生まれなのですが、就職氷河期世代、第二次ベビーブーム世代で、就職も結婚もうまくいかなかったと最近特に語られがちなジェネレーションなのであります。そこに来て御年52歳の再婚が決まったという彼女のこの報道には、私と同じようにはしゃいだアラフィフも多かったのではないでしょうか。
若い人はご存じないかもしれませんが、梅宮アンナさんと言えば、かつて、大御所俳優「梅宮辰夫の娘」として彗星のように現れ、モデルやタレントとして活躍していたものです。しつこいようですが私は同年なので、彼女が世に出てきた頃のことをよく覚えていますが、ハーフ特有の抜群なスタイルと美貌でファッション誌やテレビで何度もお見かけしました。
ただ、彼女の名を一躍全国区にしたのは、主に彼女の私生活によるもので、20代の頃、当時の恋人(何かと問題を起こしていた羽賀研二)、その交際を反対する父(梅宮辰夫)、それでも別れない娘(梅宮アンナ)の様子がワイドショーでしょっちゅう取り上げられたからだと記憶しています。羽賀研二がいかにダメ男だったかはここでは割愛しますが、彼の借金を返すために二人で写真集を出したり、盲目的かつ献身的に尽くす彼女に、当時、日本国民全員が「その男はやめておけ!」と辰夫側に付いたものです。
その後も長いことすったもんだがあり、やっと羽賀研二と別れ、一般男性と結婚して一女を儲けたと報道されるも結局離婚。そう、私たち同世代にとって「梅宮アンナさん」と言えば、生まれながらに富も美貌も持っていたのに「なぜか男運が悪い」代名詞的存在だったのでした。
■昨年から乳がんで闘病中、同じ病気の経験者として応援してきた
そんな彼女が時を経て、昨年、乳がんを患い、ステージ3Aであるという発表をしました。私も彼女と同じ小葉がんという珍しいタイプの乳がん経験者で、同じように右胸の全摘手術した過去があり、再び彼女に注目するようになりました。
Instagramなどで、時に泣きながら、闘病の状況を発信している姿に、私も思わずもらい泣き。抗がん剤治療、右胸摘出手術、そしてリハビリ……。決して簡単な日々ではなかったはずです。それでも彼女は前向きに、包み隠さず自分の状況を発信し、多くの人たちに勇気を与えてくれました。大病に立ち向かった彼女が今、新たな人生のパートナーと出会い、結婚という大きな節目を迎えたこと。それはもう、心から「よかったね!」と言いたくなるニュースです。いろいろな経験をしてきた彼女だからこそ見つけられたお相手、そして夫婦という形。ぜひともこれからは、愛する人と一緒に、穏やかで幸せな日々を過ごしてほしい。そんなふうに思わせてくれる、素敵なニュースでした。
■「出会って10日」のビビビ婚に一抹の不安がよぎったが…
そんな梅宮アンナさんの吉報ですが、「出会って10日で籍を入れた」といろいろなメディアで見出しになっておりました。何せ、かつて日本中を辰夫化させたことのある女性ですから、私も一抹の不安を覚えたものです。でも、お付き合いに3年かけたら籍を入れていいのか?
結婚相談所や婚活勉強会を経営している身としては正直なところ「長けりゃいいという問題ではない。
何より、われわれ1972年生まれに若い頃のような体力と時間はありません。
例えば今、私が独身だったとして、誰かと3年とか5年とかお付き合いした後に「籍を入れる」なんて、正直なところできる気がしません。決めなきゃいけないこと、仁義切らなきゃならない人が多すぎて、お互いに「だったらこのままでよくね?」となるのが目に見えているからです。だから、付き合いたてのパッションで動くのは大いに「あり」だと思うし、足腰が軽いうちに入籍にbetは大正解とすら思います。
また、彼女が「がん経験者」であるということも特筆すべきかと思います。
部位やステージで治療も生存率も違いますが「がん」は未だ世間に「死」をイメージさせる病です。がんに罹患(りかん)するとショックは大きく、いや応なしに自分の死と向き合うことになります。
私も拙書『我がおっぱいに未練無し』(大和書房)に乳がん闘病日記を書きましたが、乳がんを告知されてからというもの、生活や働き方、家族や友人、仕事仲間との付き合い方も全て変えました。それは、がんによって「人生は有限である」という当たり前のことをまざまざと思い知らされたからです。
■「いつ死んじゃうかわからない」から再婚も先送りしない
先日もある乳がん経験者の女性とランチをしたのですが、彼女も50代で、半年付き合った男性と電撃再婚を決めていました。
もう一人、子宮がん経験者の女性とも久しぶりに会いましたが、彼女はアンチエイジングも恋愛も、新しいビジネスも貪欲に手掛けていて、
「だって、いつ死んじゃうかなんてわからない。
と、若返った笑顔で言うのでした。
「ほんとそれ!」
と、笑い合うのはサバイバー同士あるあるなのですが、二人のキラキラした近況に私も良い刺激を受けたし、梅宮アンナさんの「出会って10日間婚」もこれなんじゃないかなぁと思った次第。
お相手のことも調べてみたら、世継恭規さんという7歳年上の、世界的に活躍するアートディレクターだそうで、その男性も大病経験があり、理解や労りが互いに見て取れたからの決断とのことでした。きっとあの世で梅宮辰夫御大も安心しているのではないでしょうか。
■50代にもなれば、男性の好みも変わってくる?
年齢的なものも無関係ではないと思われます。男性を見る目や好みのタイプって年齢とともに変化しますよね。私も、小学生の頃は足の速い男子を好きになり、中学生の頃は硬派な男子に好感を抱き、高校時代はイケメンにドキドキして、就職すると仕事ができる先輩に憧れたものです。
結局、30半ばで優しい年下男性と結婚したのですが、自分がマネジメントもハードな仕事も経験すると「仕事ができる男性=素敵」にはならないし、年齢や経験と共にパートナーに求めるものも変わってくるのだと思います。アンナさんも若いころは「恋愛にスリルを求めていた」そうですが、それとは逆に再婚相手は癒やされるタイプのようなので大いに納得。その上、彼自身も大病経験者で、彼女の病気への理解や配慮がとてもあるのだとか。
確かに「出会って10日間入籍」は超スピード婚ですが、50代は人生経験豊かなので、生きてきた分だけ人を見る目も養われているはず。大人のアンナさんの決断を暖かく見守ろうではありませんか。
■人生100年時代になり、50代での再婚も増えている
少子高齢化問題、生涯未婚率問題を抱える日本ですが、厚生労働省の人口動態調査によると、2022年の50代の再婚件数は男性1万1680件、女性9063件と報告されており、50代の再婚率は増加傾向にあります。先ほど、時間も体力もないと書きましたが、長生きする人は100歳まで生きてしまうのが今の日本の状況であり、それを考えると「元気なうちに婚活しよう!」「結婚しよう!」と思う50代はこれからも更に増加するのではないかと思います。
その際に、年齢的にも大きくなった子供がいたり、大病経験があったり、で迷った時、今回の「梅宮アンナ電撃再婚」のニュースは、多くの50代の背中を押してくれるのではないかと思います。これまで恋愛や家族のことなどで注目を集めてきた彼女だからこそ、きっと説得力抜群の、素敵な前例となるのではないでしょうか? いや、なるに違いないと思うので、無理せず健やかに過ごされることを願ってやみません。
どうぞ二人で末永くお幸せに!
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川崎 貴子(かわさき・たかこ)
リントス代表取締役
1997年に働く女性をサポートするための人材コンサルティング会社・ジョヤンテを設立。2016年より、働く女性の結婚サイト「キャリ婚」を立ち上げる。婚活結社「魔女のサバト」主宰。2025年より「ナチュ婚相談所」を運営。
著書に『我がおっぱいに未練なし』『私たちが仕事をやめてはいけない57の理由』など。■川崎貴子のカウンセリングルーム
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(リントス代表取締役 川崎 貴子)