せっかく婚活を始めても「なかなか良い人に出会えない」と嘆き、心が折れてしまう人は多い。アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラーの伊藤友美さんは「典型的なNGマインドを抱えたまま婚活をしても上手くいきづらく、そういう人が理想の相手に出会って結婚した例を私は見たことがない。
言いがちなNGワードを紹介する」という――。
■「婚活沼」にハマりやすい女性の共通点
婚活沼とは 結婚すると決断しないままずるずると婚活し続け、異性との間に起こる現実に一喜一憂する状況を指す。
婚活沼にハマってしまう理由は人によってさまざま。今回は、婚活における典型的な「NGマインド」を抱えていた女性のケースを紹介する。
■婚活がうまくいかない人に共通する「NGワード」
今年40歳になるM帆さんは、半年ほど前に結婚相談所に登録したものの「全然いい人がいない」と悩み、私に相談に来た。婚活をしてもなかなかいい出会いに恵まれないと語るM帆さんは、かなり不満がたまっている様子。
「忙しいなかスケジュールを空けて、お金も使っているのに」「みんなは、出会うまでに大した努力も、時間も、お金も使わないで結婚できるのに」「結婚したとしても、うまくいくかわからないのに婚活する意味があるんでしょうか」など、婚活へのネガティブな発言が多い。
結婚相談所や婚活アプリに登録して行動しているのに、なかなか結婚に至らない人の発言には、共通する次のような「NGワード」がある。
「(私に釣り合う)いい人がいない」

「こんなにがんばって活動して、お金もかけているのに、うまくいかない」

「努力もお金もかけないで結婚している人もいるのに」

「(相手の)ここがダメ、ここが気になる」

「この歳になると、妥協しないと結婚できない」

「いい人がいたら結婚してもいいけれど、無理して結婚する必要はない」

「結婚したら、時間もお金も自由に使えなくなる」

「結婚しても、うまくいくとは限らない」

このようなことを言っている人が、理想の相手に出会って結婚した例を私は見たことがない。初めて会った頃のM帆さんの発言は、まさにNGワードに溢れていた。
外見もきれいで高収入なM帆さんのような女性は、本来であれば婚活市場では引く手あまただ。それなのに「出会いがない」のは、発言の背後にある「NGマインド」のせいだろうと感じた。

■理想は「自然な出会いで恋愛結婚」?
婚活における「NGマインド」とは、簡単にいえば「結婚や婚活にネガティブな印象を持っていること」。
そもそも、「結婚すると自由がなくなる」「結婚してもうまくいかない」などと結婚生活に暗い未来を描いていたら、前向きに婚活をする気になれるはずがない。
心から結婚したいと願っていても、婚活そのものをネガティブに捉えている人も多い。そういう人の多くは、「自然な出会いから恋愛に発展し、結婚に至る」ことを理想としている。だから、「わざわざ婚活しなければ結婚できない人(つまり自分自身のこと)」のことは無意識に見下してしまうのだ。「お金や時間をかけて婚活しないと結婚できない自分」をどこかで「情けない」「かわいそう」と思っているから、婚活でちょっとでもいやなことがあるとすぐに心が折れてしまう。
■選んだカフェを「ディス」られて…
M帆さんの場合もそうだった。結婚相談所で紹介された相手と初めて会うとき、待ち合わせ場所のカフェをM帆さんが選んだ。すると彼は、「値段の割にコーヒーの味は普通ですね」とM帆さんいわく「ディスった」のだそうだ。M帆さんは「すごく傷つきました! 婚活なんてもうしたくない」と話した。
初対面の相手に、カフェのコーヒーの味について言われても、傷つく必要などない。M帆さん自身のことを言われたわけでもないし、気に入らなければもう二度と会わなければいいだけだ。

学生の頃だって、「いいな」と思える相手は学年に1人か2人いるかいないかだったはず。婚活でも同じだ。100人に会うとしたら、98人は「対象外」で当たり前なのだ。
■理想の相手とアプリ婚したネイリストの話
そんなとき、M帆さんはネイルサロンで「アプリで婚活をして、理想通りの相手と結婚した」という28歳のネイリストに出会ったという。
「アプリって、どんな人が登録しているかわからないから抵抗があるんですよね」というM帆さんに、ネイリストのYさんは「私、10代の頃から、今でいうアプリを活用していましたよ。周りに好みの男性がいなかったから」と言う。つづけて「たしかにいろんな人がいますよね。私もたくさん失敗してきましたよ~」と屈託がない。
ネイルが仕上がるまでの90分ほどの間に、M帆さんはYさんから信じられないような体験談を聞いた。アプリで出会った相手と「心霊スポットへ行こう!」と盛り上がり、彼の車に乗って出かけたまではよかったが、盛り上がらなかったためか、合わないと思ったのか、トイレに行っている間に、荷物がポツンと残されたまま車がなかったのだとか。なんと、車でしか帰れないような場所に放置されてしまったという。
笑いながら話をするYさんに、どうやって帰ったのか質問をすると、「アプリで別の人を探して、迎えに来てもらいました」というたくましさ。
M帆さんは驚きを通り越して感心したという。
■婚活がうまくいく人「あるある」
Yさんの婚活がうまくいった要因は、話の随所に見られた。これらは、過去に婚活が上手くいった女性にも多く見られた共通項だ。
1.自分にとっての「理想の人」がはっきりしていた
「理想の人」は具体的にイメージできるほどいい。Yさんの場合、「EXILE系のワイルドな男性」「車は必須で、できればワンボックスカーがいい」「職人タイプがいい」と好みがはっきりしていた。
2.「結婚したい」という意思を明言していた
アプリのプロフィールにも「結婚相手を探しています」「1年以内に結婚したいです」と書いておけば、本気で結婚相手を探している相手からアプローチがくる。冷やかしや遊び目的の相手を避ける効果もある。
3.うまくいかなくても気にしないで次へ
アプリでの出会いは玉石混交。「うまくいかないのが当たり前」くらいの気持ちで気軽に会うのがいい。「違う」と思ったら落ち込んだり傷ついたりしないで、すぐに次の出会いへ気持ちを切り替えられると◎。
4.相手が告白しやすいように、好意を伝えていた
「そういう考えの人、大好き」「すてき」など、わかりやすく好意を伝えることは大切だ。相手からの自分への好意を確信できれば、男性も次の誘いや告白がしやすい。

5.プロポーズもこちらから仕向けた
Yさんは同棲から結婚に至った。なかなかお金が貯まらない彼が「どうしたら貯まるんだろう?」と言うので「目的があれば貯めやすいんじゃない? 結婚指輪はどう?」と提案したのだという。告白と同じで、「断られることはない」と確信が持てれば男性側もプロポーズをしやすくなる。
■「女性は若いほうが価値がある」は本当か
私とのセッションと、ネイリストYさんとの出会いで、M帆さんの意識は少しずつ変化していった。Yさんの「理想の人」は、M帆さんの好みとはまるで違っていた。「人の好みは千差万別」ということにも気づいたM帆さんは、改めて「理想の人リスト」を作ってみることにした。
●M帆さんの理想の人リスト

「自分よりも年収が高い人(年収800万円以上)」

「35歳~45歳くらいの人」

「犬が好きで、一緒に犬を飼える人」

「一通りの家事ができて、自立している人」

「論理的な話し合いができる人」

「仕事をする私を応援してくれる人」

しかし、具体的な「理想の人」像が浮かび上がってくるにつれて、M帆さんの表情は曇っていく。「こんな人、いるはずがない」「いたとしても、40歳の私を選ぶわけがない」などと言うのだ。M帆さんのように「女性は若いほうが価値がある」という価値観にとらわれている人は多い。実際にそう信じている人は多いし、婚活は1歳でも若い女性のほうに選択肢が多いことは事実だ。
しかし、実際には年齢にこだわらない人もいる。むしろ「年上がいい」という人だっている。

いずれにせよ、結婚は、1人の人としかできないもの。大多数の人が「若い女性がいい」と思っていようが関係ない。たった1人、「40歳の今のあなたがいい」と言ってくれる相手と出会えればいいのだ。だから「理想の人リスト」に「私のことが好みのタイプの人」という1文を入れることを勧めた。
「理想の人」は、この世界のどこかに必ずいる。ただ、自宅と会社の往復する生活になっているなど、そういう相手とリアルな世界だけで出会うことが難しいケースもある。そのために、結婚相談所や婚活アプリなどの出会いの場があるのだ。そこでの一期一会(チャンス)に感謝できれば、婚活が少しは楽しくなるのではないだろうか。
少なくとも「婚活しないと、結婚できない自分はかわいそう」などという偏見からは解放されるはずだ。
■「1年以内に出会いたい」
それからM帆さんは「1年以内に結婚相手と出会いたい」とプロフィールに追記して、婚活を再開した。そして1年を待たずに、結婚相談所で出会った5歳上の男性と婚約をした。
彼はM帆さんが「こんな人いるはずがない」と言っていた条件のほとんどをクリアしていた。
離婚歴があることは想定外だったが、元妻のことを悪く言わない彼にM帆さんはむしろ好感を持ったという。「犬が好きな人」という条件も満たしている。
「この世に1人くらいは、理想の相手がいるものですね」と幸せそうに微笑んだM帆さんの姿が印象的だった。
婚活は、自分にとってのたった1人の「理想の人」を見つけるプロセスといえる。うまくいかない相手は引きずらず、次の出会いに向けて気持ちを切り替えればいい。
理想の相手はこの世のどこかに「絶対にいる」、そしてその人は「自分を見つけて選ぶ」。そう信じることが、婚活のスタートだ。

----------

伊藤 友美(いとう・ともみ)

アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラー

約9年間の婚活中には、条件を下げたり、妥協を重ねることで「婚活ウツ」を発症。そこから研究を重ね、数々のワークを生み出し、実践。39歳から再開した婚活では、出会いから2カ月でプロポーズに至るスピード婚を果たす。自身の経験を通じて構築した〈最短最速で理想通りの男性と結婚する方法〉を伝える「3ヶ月で全員婚活卒業!婚活塾」は全国から参加の受講生で毎回即満席となる。受講生の成婚年齢は40代が一番多く、平均44歳。50代の成婚者も少なくない。結婚相談所Lulu Spacesの代表も務める。近著は『結局、理想を下げない女ひとが選ばれる』(フォレスト出版)。1970年生まれ。

----------

(アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラー 伊藤 友美)
編集部おすすめ