THE ALEXXが「水曜日のカンパネラ」を迎え、自主イベント<BUZZER #3>を9月12日(月)に開催する。
第一弾にyahyel、第二弾でBafflo Daughterをゲストに<BUZZER>という自主イベントをスタートさせたTHE ALEXX。
INTERVIEW:杉浦英治(THE ALEXX)×ケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)
水カンを初めて聴いた時の衝撃はボカロと近かった
━━まず、お二人がお互いの存在を知ったのはいつ頃なんですか?ケンモチヒデフミ(以下、ケンモチ) 僕はちょうど専門学校時代ですかね。当時クラブミュージックを結構聴いていて、荒木飛呂彦さんがジャケットをやっている『WEEKEND』(2000年/SUGIURUMN名義)とかにも触れていたんです。
エジソン - 水曜日のカンパネラ
10代の子が音楽の良し悪しを判断する感覚を身につける
━━先ほどケンモチさんは「曲調がポップになった」とおっしゃっていましたが、アイコンが20歳下である詩羽ちゃんという存在になったことで、曲作りはどの変化しましたか?ケンモチ もともと水曜日のカンパネラが発足した当初は「僕らの10歳下であるコムアイが、僕らの世代が聴いていた音楽を事情も知らずに歌っているのが面白い」という構造だったんですよね。でも、それが今度は20 歳も下になった。離れ過ぎているからこそ、むしろ僕らが20歳若返らないと、とシフトチェンジはありました。
Kenmochi Hidefumi - Fight Club (Official Video)
「一生やらない」と決めていたことをやりたくなった
━━杉浦さんはElectric Glass Balloonでのバンド活動からSUGIURUMN名義としてのDJ活動を経て、現在のTHE ALEXXを結成されましたよね。そのキャリアもぜひ伺いたいです。杉浦 本能的に「1番やっちゃいけないこと」を常に考えているんですよね。ドアに「押す」って書いてあったら100%引くんですよ、そのドアを(笑)。THE ALEXXを始めた流れもまさにそれ。一度は「バンドをもう一生やらない」と思ってソロで活動できるダンスミュージックを始め、今度は一周回って自分が「一生やらない」と決めていたことをやりたくなった。バンドやっている奴がDJをやるのはハードルが高かったですが、周りからの「あいつダメだな」がひっくり返る瞬間が面白いんですよね。ケンモチ できないことができるようになった時が1番楽しいですよね。杉浦 だから、あともう一回だけやってみて完璧なものができたらやめるつもりです。「これ以上できません」というのを作りたい。ケンモチ バンドだと、杉浦さんが一人で作ってる時よりも不確定要素が多いじゃないですか。完成するまでの難しさを感じることはありますか?杉浦 やっぱり「一人でやっとけばよかったな」って時はありますよね(笑)。一番最初にバンドが嫌になったのも、それが理由だったかもしれない。それで、自分の思う通りにだけやってみようと思って始めたら、それがハマっちゃった。ケンモチ 初期にやられてたバンドと現在の活動は、地続きになっていますか? 杉浦 そうですね。むしろ、もう苦手を克服する寿命すら残ってないというか。ロウソクの最後の灯火があるなか、得意な部分だけでやろうとしています(笑)。━━水カンもコムアイ時代を経て詩羽時代に突入しましたが、地続きなところと刷新したところがあると思います。そこの切り替えはどう捉えていますか?ケンモチ 僕自身が一貫して「組み合わせの面白さ」を楽しめる音楽をやりたい、と思っていて。それを半分はコムアイに合わせ、もう半分は合わせないようにする、という感じです。バランスを取っていたんです。今の詩羽の場合も同様、「ここからはちょっと変に聴こえそう」というラインを攻めようとしています。杉浦 ポテンシャルを引き出す感じだ。それに応えられるからすごいですよね。ライブもYoutTubeで観たけど、一人で場を制圧してるのがすごかった。度胸があるし、演劇っぽいからこそショーとして惹かれるというか。そう思うと新しいスタイルかもしれないです。
THE ALEXX - Outsider(FUJI ROCK 21)
「SNSが苦手だから音楽をやっている」に立ち返る
━━コロナ禍に突入してからは、楽曲の作り方や現場との向き合い方に変化はありましたか?杉浦 アンダーグラウンドな感覚に戻ったんじゃないかな、ってのはあります。多分大きくなりすぎたというか、単なる友達の集まりで、素人だった頃に戻ってきているような感じです。━━ケンモチさんは過去のインタビューで「生活の中で聴く音楽は、秒単位で切り替わっていかないと間が持たなくなっちゃう」とおっしゃっていましたよね。ケンモチ コロナ前は渋谷を訪れるたびに生活のリズムの速さが世界一早いんじゃないかと思っていましたね。アメリカではゆっくりしたトラップが聴けるのに、なんで東京はこんなにトラップが似合わないんだろう、って。僕がブッキングされるDJイベントもBPMが速いし。でも、その後コロナ禍に突入してステイホーム期間を過ごすうちに「ダンスミュージックとは……」みたいなモードには入りました。瑛人の“香水”とかを聴くようになって「やっぱこういうのがいいんだ」って思いましたね。でも2021年が過ぎた頃からイライラしてきました(笑)。Adoの“うっせぇわ”みたいな曲も流行ってきていて、ちょっと乗れる曲が聴きたいな、と思っている頃に第二期に突入した感じです。杉浦 まだ一年ぐらいなんですね。第一期は何年ぐらいやっていたの?ケンモチ 2012年頃から始めたから、9~10年くらいですね。杉浦さんも聴き方は変化しましたか?杉浦 自分の中でまたハウス熱が出てきました。オーソドックスな曲がグッとくるというか。多分ビヨンセ(Beyonce)の新譜とかもそういう雰囲気だったし、ケンモチくんが言った通り「もういいんじゃないの?」って感じなんでしょうね(笑)。ここまで世の中がダークになってしまうと、ダークなことをやろうとも思わない。流石に。ケンモチ 今ちょうど90年リバイバルみたいな流れもあるし、ハウスに立ち返る時期なのかもしれませんね。その上で、昔の曲を若い子達は新しい感覚で聴いている気がします。「変な音が鳴ってる!」みたいな。━━ケンモチさんが次に詩羽さんにどういう曲を提供するかも気になります。ケンモチ EPが出たばっかりで「次はどうしよう」って感じなのですが(笑)。次はハイパーポップっていうジャンルが一番予想がつかなくて面白そうです。ニューウェーブ期のパンクのように「なんでもやったもん勝ち」な奇抜さがあって。どれも短くて2分くらいに音を詰め込むから「今のはなんだったんだろう?もう一回聴こう」ってなるんです。あとはカラーベースっていうdub stepの進化系みたいなジャンル。音作りをどうやってるのか分からない面白さがあって。それがポップスに活かせるかは研究中です。
THE ALEXX - Art Hurt
━━最後に、9月12日のTHE ALEXXが主催するイベント<BUZZER>についてもぜひ意気込みをお聞きできればと思っています。第三弾として水カンを呼んだ意図はなんだったのでしょうか?杉浦 すごくシンプルですよ。本当に自分達が好きで呼びたい人を呼び、媚びないイベントにしようと思ったから。結構、1回目・2回目とやって良い感触なんですよ。みんな真剣に聴いてくれる。DJをしている時よりも、もっと集中して音楽を汲み取ろうとしてくれる感覚があります。昔は結構「DJが出す音がすごいよね」という感覚があったんです。だんだんそういう「音を楽しむ」という習慣がクラブでは薄れてきたものの、ライブではそれがあって。各々が感じ取り、持ち帰ろうとするんです。クラブとは違うアンテナが会場を覆っている感覚はあります。ケンモチ 僕目線になっちゃうのですが、杉浦さんと水カンが一緒のイベントに出れるのは嬉しい。楽しみです。━━杉浦さんがケンモチさんに<BUZZER>というイベントの世界観を伝えるとするなら?杉浦 そうですね……。タイトル通り「警報」や「アラート」のような意識はあります。僕、SNSが本当に苦手なんですよ。そういうのができないから音楽をやっているんです。でも、面白い音楽がたくさんあるからこそ、音楽をもう一度信じたくなったというか。忌野清志郎さん然り、音楽を通し社会へ何かを伝えられる可能性を信じたい。同時に、今は面白い音楽がありすぎて、意識的に掘りに行かないと面白い音楽までたどり着けない。だからこそレコメンドではないものの、<BUZZER>を通し「こういう音楽がある」ということを伝えていきたいなと思っています。ケンモチ ライブを通し、言葉では出さなくとも「こういうのもありだな」「こういう考えもあるんだな」というのを感じ取ってもらいたいですね。音楽としてうっすらと伝わるのが一番いいなあと。杉浦 すごい単純なことだけど、SNSのせいで忘れちゃってますからね。でも詩羽さんの世代は時代の回転も感覚も速くて、僕らの時代よりモノに溢れているからこそジャッジを急がないといけないでしょう。すごい時代に生きているんだなと思います。ケンモチ 普通のスピードで消費していたら吸収しきれないですからね。Netflixで1時間の動画を観てても「長いな~!」って(笑)。━━そう言った意味でも、今回の<BUZZER>は異なる時間感覚を持ったオーディエンスが同じ空間で一緒にライブを観る、という稀有な会になるのではと思います。杉浦 そうですね。なんかフジロック感があるんじゃないかなと思っています。実は僕ら、去年のフジロックの配信でTHE ALEXXとして出た時「すごい新人現る!」っていう煽りで出てきたんですよ(笑)。当初は僕がやってることを出さずにやるつもりだったんですよね。━━ひょっとしたら水カンを観に来たお客さんにも「なんだこの新人は」って思われるかもしれないってことですね。杉浦 それが本当に楽しみです。若い子達も受け入れる間口が広いですからね。訳わからないものに対しても反応が早い。ケンモチ THE ALEXXの音楽は空間と時間の芸術。だからこそ、持ち時間のなかで作られる流れを、水カンのファンがどう受け入れるかは観てみたいです。僕らがやっていることもクラブミュージックに近いですが、もっと小刻みで四コママンガみたいな感じなので。一本のストーリーをどう楽しむかに期待しています。
BUZZER#3 teaser
Text:Nozomi Takagi
HP|Twitter|Instagram|Facebook|YouTube|Soundcloud
HP|Twitter|Instagram(詩羽)|YouTube
INFORMATION
BUZZER #3
2022年9月12日(月)渋谷クラブクアトロLINE UP:水曜日のカンパネラ × THE ALEXXOPEN 18:00 / START 19:00チケット:前売 ¥3,500 / 当日¥4,000 (税込/全自由/整理番号付/ドリンク別)チケット発売所:・チケットぴあ・ローソンチケット(Lコード/71283)・e+・GAN-BAN:[店頭] 12:00~20:00(休憩時間15:00~16:00)※購入枚数制限:お一人様4枚まで。主 催:GAN-BAN / PARCO協 力:TSUBASA RECORDS / REXY SONGお問合せ:渋谷クラブクアトロ 03-3477-8750【ご来場のお客様へ】・当日ご入場前に検温をいたします。37.5度以上のお客様は入場をお断りする場合がございます。・入場口にてアルコール消毒液による手指の消毒を行っていただきます。・必ずマスクを着用の上ご来場ください。・場内では十分な間隔を確保しての整列にご協力ください。・当日ご入場前に問診票にご回答いただき、お客様のお名前とご連絡先を頂戴します。本公演で感染者が確認された場合は保健所等関連機関に提出する場合がございます。詳細はこちら
Copyright (C) Qetic Inc. All rights reserved.