
日本はベスト4という結果に終わったU20アジアカップ2025。
「U-20ワールドカップ出場」という一つの目標を達成した一方で、もう一つの目標だった「アジア制覇」は逃す結果となった。
そんな今大会のU-20日本代表において、「特別なもの」を見せた5名のタレントを紹介する。
市原吏音
2005年7月7日生まれ(19歳)
RB大宮アルディージャ所属
今大会のU-20日本代表は「市原吏音のチーム」だった。
2種登録された2023年、高校3年でトップチームデビュー。大型で攻守両面の能力を備えたセンターバックは年齢を感じさせない堂々としたプレーぶりからすぐさま話題となった。
この世代の代表チームでも常に主力となり、U20アジアカップでは予選に続きキャプテンを就任。初戦のタイ戦、PKで追加点を決めると、U-20ワールドカップ出場をかけた準々決勝イラン戦でもPK戦のラストキッカーを務めている。
市原の強気なキャプテンシーに依存していた分、続く準決勝オーストラリア戦ではチームが停滞。また市原自身も思い切りの良さが裏目に出るシーンもあり、そこはワールドカップに向けた課題となりそうだ。
髙橋仁胡

2005年8月16日生まれ(19歳)
セレッソ大阪所属
左サイドの攻撃に厚みをもたらすだけでなく、闘争心あふれるプレーでチームを鼓舞した“戦うサイドバック”。
オーバーラップの質と量、そしてバリエーションはこの世代の日本人選手では頭一つ抜けた存在で、どちらかというと左上がりのシステムの中でアタッカーやボランチとの関係性を作る巧さも光った。
一方で、アタッキングサードに入ってからの精度は大きな課題。狙いは持っているはずだがクロスやラストパスの正確性を欠く場面が散見され、「押しているのに点が入らない」要因の一つとなった。
所属のセレッソ大阪は今季、アーサー・パパス新監督のもとで4バックの攻撃的なスタイルを標榜。ポジション争いをしながらバルサ育ちらしいプレー精度を身につけてほしい。
大関友翔

2005年2月6日生まれ(20歳)
川崎フロンターレ所属
日本の10番は今大会でもっとも評価を高めた選手の一人だろう。
初戦のタイ戦ではチームメイトもまだ探り探りボールを預けることが多かったが、すぐさま信頼を獲得。狭いスペースでも大関にボールを渡す場面が試合ごとに増えていった。
技術はもともと折り紙付きだったが、昨季1年間J3の福島ユナイテッドFCでプレーしたことにより、立ち位置に対する理解が大きく向上。細かく動きながらスペースを生み出し、自らだけでなく味方も生かしていた。
プレーの角度を作り出す術に長けるうえ、緩急の使い方が上手く、左右の足の使い分けもできる。食が細いことからフィジカル面が課題だが当たり負けすることは減っており、クラブに戻ってからのパフォーマンスにも注目したい。
中島洋太朗

2006年4月22日生まれ(18歳)
サンフレッチェ広島所属
この世代で最強の「ボールプレーヤー」。それが中島洋太朗だ。
クラブ事情により合流が遅れ、しかも初戦で負傷。今大会で持ち味を最大限発揮することはできなかったが、それでもその“特別さ”はしっかりと見せてくれた。彼がボールを持てば何かが起こる。ファンだけでなくチームメイトもそう感じながらプレーしていたに違いない。
ただし、選手としては間違いなく発展途上。
とはいえ、そこは経験を積んで成長できる部分。所属のサンフレッチェ広島でも強力な守備陣に助けられているからこそのパフォーマンスだが、逆を言えば良いお手本はたくさんいる。成長に大いに期待したい。
佐藤龍之介

2006年10月16日生まれ(18歳)
ファジアーノ岡山所属
最後は今季、FC東京からファジアーノ岡山への期限付き移籍を決断した佐藤龍之介。
171cmと小柄なMFは持ち前の技術と機動力を武器に、大関友翔、小倉幸成と抜群の関係性を作り出し日本の中盤に安定感をもたらした。
そのプレーの量と質はチームの中でも抜きんでており、準々決勝のイラン戦では、120分フル出場したうえにPK戦でもキックを成功。チームをワールドカップの舞台へと導いてみせた。
まだまだ“うまい選手”であり、“こわい選手”になっていくことが当面の課題だが、そのための岡山移籍でもあるはず。今季の成長が非常に楽しみな一人だ。