今年2月から中国U-16代表の指揮官に就任している上村健一監督が、日本と中国の選手の違いについて話していたとのこと。
かつてサンフレッチェ広島などでプレーした名DFである上村氏は、2020年に中国へと渡ってから様々なカテゴリの育成に関わってきた。
U-16代表の監督になってからも先月の和平杯(ピースカップ)で日本を抑えて優勝するなど結果を残しており、来月行われるU-17アジアカップ予選に向けて期待を集めている。
『澎湃新闻』によれば、その上村健一監督は今回行われた記者会見で以下のように話し、日本と中国の違いを説明したとのこと。
「日本の子どもたちと比べて、中国の子どもたちはコーチの要求を情熱を持って実行しようとする。
指導者が求めたことを選手たちは全力でやり遂げようとするし、その実行力は非常に強いものがある。
これは日本の子どもたちよりも優れている。客観的に見て、彼らはコーチの指示を受けたあとに考える習慣がある。
どちらのほうが良いというわけではないが、私はこの現象を客観的に評価している」
「日本の子どもたちは考えるのが得意な一方で、中国の子どもたちはコーチの要求に対してとても迅速かつ情熱をもって応え、実行する。
前線でのハイプレッシャーを要求したときには中国人選手の強力な実行能力をうまく活用でき、とても効果的だと思う。
また、中国の子どもたちの体力は日本よりも明らかに優れていると誰もが思っている。こちらのほうが背が高くて力強く、走るのも速い。
ただ、その利点を活用できないのであれば、それは全く長所にはならない。体力を活用する方法を学ばなければならない。
理想的なサッカー選手は、優れた体力を備えているほか、幼い頃から技術を磨いて、試合への理解を高めなければならない。科学的な思考や概念も発展させる必要がある。
15歳や16歳という年齢になれば、誰もが体は発達してくるし、身体的な利点が失われてくる。そこでスキルや頭の回転が良くなければ、その選手は取り残されることになる。
監督は試合前に対戦相手を分析するが、試合の状況はそれと全く同じものになると保証はできない。だからピッチ内の選手たちは状況に応じて調整をしなければいけない。結局は試合の主体は選手であり、ニーズに基づいて判断する必要がある。
かつて中国の選手が間違ったプレーをした時、『なぜそんなことをしたのか』と聞いた。すると『監督が以前そうするように要求したから』と答えた。
他人の言うことにただ従うだけではいけない。ピッチの状況、味方のポジション、相手の守備の意図などを総合的に分析して、より合理的な判断を下さなければいけない」
中国人選手の体力面や指導者の要求に応えようとする情熱は素晴らしいものの、その一方で主体性や長所の生かし方に問題があるという印象を持っているようだ。