選手の移籍が活発化し、年々移籍金が高騰している現代サッカー。
女子サッカーも男子サッカーと同様に移籍金の額が上がり続けており、今夏は前年比80パーセント増の移籍金総額を記録したという。
そうした中、今季からイングランド・ウィメンズ・スーパーリーグ(WSL)に昇格したロンドン・シティ・ライオネスは4日、PSGフェミニンからフランス女子代表MFグレイス・ゲヨロの獲得を発表した。
イギリスメディア『BBC』によると、ライオネスは女子サッカー史上最高額の移籍金となる140万ポンド(約2億7900万円)をPSGに支払ったという。
現在28歳のゲヨロは、フランス代表として103キャップを誇り、今年7月に行われたUEFA女子ユーロでは攻撃の軸としてチームを牽引し、同国代表の準々決勝進出に貢献した。
ゲヨロを破格の移籍金で獲得したライオネスは、イングランドのサッカー史上初めて男子クラブと提携のない独立クラブとして2019年に創設されたばかりの新興チームだ。
アメリカ人オーナーのミシェル・カン氏が積極的に投資を行い、独自でスポンサーや大物選手を獲得するなど、他の女子クラブとは一線を画す経営方針を採用している。
2部を戦っていた昨季も積極的に選手補強をしており、なでしこジャパンの主将であるDF熊谷紗希を獲得した。
またライオネスは、女子サッカーの専門知識を持つ理事会と女子アスリート向けに特化したトレーニング施設を整えている。
これまで、優れた環境面で女子選手に魅力的なチームとして認知されていた同クラブだが、世界の舞台で実績十分のゲヨロの獲得により、本気でタイトルを狙う意志を示した。
さらにBBCは、「この獲得は、カン氏が所有するリヨンの最大のライバルPSGを弱体化させる狙いもある」と伝えた。
ライオネスは6日に欧州女王アーセナル・ウィメンズとのWSL開幕戦を控える。今夏の移籍市場で注目を浴びた新興チームには、女子サッカー界の秩序を揺るがすチームとなることが期待されている。