今夏イングランド2部のボーンマスに加入したU-23オーストラリア代表FWアドリアン・セゲチッチ。
リーグ戦開幕から2戦連発と、ブレイクの兆しを見せている。
オーストラリアは近年、かつてのティム・ケーヒルやハリー・キューウェルらのような欧州トップリーグで活躍する選手を輩出できておらず、セゲチッチには大きな期待が寄せられている。
だが、オーストラリアメディアは同選手の活躍を楽観視していないようだ。
『THE AGE』は18日、『電話に出てくれ、クロアチアにまた有望株を奪われる可能性があるサッカルーズ(オーストラリア代表の愛称)』という見出しの記事を掲載。
イングランドで存在感を放つセゲチッチに、彼がルーツを持つクロアチアが接近していると伝えた。
現在21歳のアタッカーは昨季、オーストラリア1部シドニーFCで公式戦18得点を記録する大活躍を見せたが、同国代表には選ばれなかった。
シーズン17ゴール目を決めた際には、親指と小指を耳に当て、電話ジェスチャーを披露。暗に自身を代表に招集しなかったトニー・ポポヴィッチ監督を揶揄したとされている。
その後ポポヴィッチ監督と「一言も話していない」と言うセゲチッチは、『THE AGE』の取材に答えた。
「当然ながら、僕はすべての年代別でオーストラリア代表としてプレーしてきました。だから、ワールドカップでサッカルーズの一員としてプレーすることは夢です。もしポパ(ポポヴィッチ監督)がそれを望み、僕が歓迎されるのであれば必ずそうしたい。それが僕の目標です。
ワールドカップが近づいている中で、イングランドで良いシーズンを送り、そのままワールドカップにつなげられたら最高ですね。
でも、どうなるかは分からない。クロアチアはすぐそこにある。ヨーロッパ、イギリスにいると、もっと近くに感じるのです」
同メディアによると、実際にクロアチアサッカー協会はセゲチッチを注視しているという。
それを裏付ける証拠として、シドニー出身で、オーストラリアの年代別代表でプレーしてきたGKアンソニー・パヴレシッチが最近クロアチア代表に招集された。
19歳のGKは今週、ドイツの名門バイエルンからクロアチア1部NKルデシュへ移籍した。ルデシュの会長ヨシプ・シムニッチも、現役時代はオーストラリア出身ながら、ルーツのクロアチア代表を選んでいる。
また、3月にオーストラリア代表に初招集されるも出場機会が与えられなかったプレミアリーグ・サンダーランドDFネクタル・トリアンティスは、最近FIFAからギリシャ代表への鞍替えを承認されたと伝えられている。
このように、オーストラリアは多重国籍選手の他国代表への流出が止まらない状況に陥っている。
現在欧州でプレーするオーストラリア人選手で最も期待されているセゲチッチまで失うことになれば、同国サッカーにとって大きな損失となる。
セゲチッチと同じくクロアチア系移民であるポポヴィッチ監督の今後の対応やマネジメント力が試される。