2016年にMLSのトロントFCから日本人初となるドラフト一巡目指名を受けてプロになった遠藤翼。
2022年に急性白血病と診断された後、一時はトレーニングができるまで回復したものの、再発が見つかり、現在も治療を続けている。
そうしたなか、古巣トロントFCは、遠藤と1日限定契約を結んだ。トロント選手として正式に引退するためというのが理由。
遠藤はトロントに凱旋すると12日のアタランタ・ユナイテッド戦でキックインを担当、元同僚であるイタリア代表セバスティアン・ジョヴィンコとの再会も果たしていた。
来月で32歳になる遠藤は、トロント関係者、サポーターに向けてこのようなメッセージを出している。
「プロサッカーからの引退を決意しました。複雑な瞬間ですが、それはサッカーへの情熱を失ったからではありません。
急性未分化型白血病との3年間にわたる過酷な闘病生活を経て、体がもはやこのスポーツの要求に耐えられなくなったのです。
トロントFCファミリー、ファン、スタッフ、チームメイトのみんな、僕を仲間として受け入れてくれたことへの深い感謝の意を表したいです。
この2年間はピッチに戻れるように毎日休むことなく自主トレーニングに打ち込んできました。
しかし、再発と慢性移植片対宿主病(移植に伴う合併症)との継続的な闘いの末、最高レベルの競技に戻ることがもはや不可能であるという現実を、やむを得ず受け入れることになりました。
がんとの闘いを通じて、競技よりも重要なことを学びました。人生はフィールドでの活動だけではありません。この旅は、当たり前と思っていたことを再評価する機会を与えてくれました今ここに存在すること、生きていること、そして勝敗を超えた平和を見つけることを。
外見上は元気に見えるかもしれませんが、慢性移植片対宿主病は決して軽いものではありません。絶え間ない痙攣や筋膜の炎症、その他の副作用に悩まされていて、歩く時、座る時、休む時でさえも影響を受けています。
これは単に痛みだけの問題ではありません。クオリティ・オブ・ライフを保つこと。
最終的な目標は競技に復帰することではなく、単によく生きることになりました。この視点の転換はとても困難でしたが、本当に大切なものが何なのかを明確にさせてくれました。
キャリアを通じて、特にがん治療中の揺るぎない支援に感謝しています。
まだ戦いは終わっていませんが、みなさんの絶え間ない励ましと信頼は、最も困難な時期に純粋なモチベーションになりました。
遠くからでも支えてくれたことに感謝してもしきれません。自分の未来にワクワクしています。これは別れの言葉ではありません。またお会いできる日がまで、幸運を祈り、常にみなさんを応援しています」
再発した白血病との闘病は厳しく、引退を決意せざるを得なかったようだ。それでも前を見据えているとのこと。