FUJIFILM SUPER CUPに昨年度のJリーグチャンピオンとして挑んだヴィッセル神戸。試合は0-1で川崎に敗れたが、選手からは試合内容に一定の手応えを感じる声が聞こえてくるなど、新シーズンへ向けての第一歩を踏み出している。

この日、52,142人の大観衆が駆けつけた国立競技場のピッチに立ったのはトップチームだけではない。前座試合として行われたNEXT GENERATION MATCH 2024に、ヴィッセル神戸U-18が出場して、日本高校サッカー選抜と熱戦を繰り広げた。

以前はU-18Jリーグ選抜が出場していたが、2020年から前年度王者のアカデミーチームが高校選抜へ挑むようになった。ヴィッセル神戸U-18にとっては初めての舞台。キャプテンマークを巻いたDF山田海斗(新・高校3年)は「これだけ大きなスタジアムで、これだけの応援もある中での試合は初めて。すごくいい経験でした」と振り返っている。

トップチームの活躍がアカデミーの若者たちへ貴重な舞台を提供したわけだが、昨年は大迫勇也武藤嘉紀に次ぐアタッカーとして33試合出場7得点とJリーグ制覇に貢献したアカデミー出身の佐々木大樹は「テシ君(山川哲史)や僕がいて、タク君(岩波拓也)も帰ってきた。もっとアカデミー出身選手がトップチームでも活躍するようになって欲しいし、それを示すためにも僕たちの活躍があってこそだと思う。もっと結果に貪欲になりたいです」と話した。

また、26試合に出場して怪我人続出だった最終ラインを支えた山川哲史も「ヴィッセル神戸はトップチームが昨年優勝して注目されていますが、アカデミーも最近はいい結果を出していて、U-15やU-18は常に高いレベルでプレーして、順位も高いところにいます。アカデミーからトップチームまで、クラブ全体として底上げされるようになれば“強いヴィッセル神戸”を継続していけると思います」とクラブとして良いサイクルを回す必要性を語っている。

トップチームの山川とU-18の山田は同じセンターバックのポジションで背番号も4番という共通項があり、さらに所属してきたチームも笹原SCからヴィッセル神戸U-15、U-18と同じ経歴だ。

山川は「僕がおそらく笹原SCからプロになった1人目なんです。沖縄キャンプに彼が参加したときには『ぜひ2人目になってヴィッセル神戸へ』という話はしました」と後輩へメッセージを送っている。プレーについての話もしたそうだが「僕以外にもアドバイスしてくれる選手は多いので、いろいろ吸収して成長してくれると思います」(山川)と期待を寄せる。

山田は「(山川)哲史君はプレー面でバランスよく何もかもできて、ベテラン選手にも(指示や要求を)言っていました。(トップチームの中でも)大事な存在なんだなと思いました」と先輩のプレーを目の当たりにしており、それ以外でも「大迫選手から『アジリティが課題だから、そこを改善したらもっと良くなる』とアドバイスをもらえました。食事に関しても酒井高徳選手から『(ご飯を)3杯は食べろ、どんどん食え』と言われていました(笑)」といった交流があったという。

そうした経験や刺激を受けて、更なる成長を誓っており、それをチームにも還元する構えだ。神戸はクラブとしてもアカデミー強化に力を入れており、U-18は高円宮杯プレミアリーグWESTで2位、U-15はサンライズリーグ関西で優勝している。山川の話したように、クラブ全体で好循環が生まれつつある。

それを磐石のものにする2024年となるかどうか。トップチームはJ1リーグ連覇と秋から始まるアジアチャンピオンズリーグ・エリートでの勝ち上がりを、U-18は高円宮杯プレミアリーグWESTの優勝など、ヴィッセル神戸として更なる高みを目指す。