日本のアニメ「ちいかわ」に登場するメインキャラの「ちいかわ」と、その親友である「ハチワレ」と「うさぎ」が今、中国の若者の間で新たな人気者となっている。SNSのチャットでステッカーが人気となっているほか、微信(WeChat)モーメンツに投稿されている写真や関連グッズの店などでも「ちいかわ」の姿を目にすることが増えている。
メーデー5連休中、広州や深センの「名創優品×ちいかわ」をテーマにしたポップアップ・ストアは、入場制限が生じるほどの大混雑となり、売り切れとなるグッズが続出した。3月末に「ちいかわ」の中国で初となるポップアップ・ストアが上海にオープンすると、10時間で売上高が268万元(約5628万円)に達し、オープンから3日目でその額は800万元(約1億6800万円)に達した。ここ2カ月、若者の「心の痛み止め」となっている「ちいかわ」がたたき出した業績に、名創優品(集団)の葉国富(イエ・グオフー)董事会主席兼最高経営責任者(CEO)は、「前代未聞の業績、速度、効率、勇気だ」と感慨深く語る。
近年、マルチーズアーカイブやルーピー、リーナ・ベル、カピバラさん、バターベアーなどのステッカーが続々と登場し、若者の「お気に入り」フォルダーにずらりと並んでいる。
イラストレーターのナガノによる漫画作品「ちいかわ」の正式名称は「ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ」。2020年からツイッターで連載されるようになり、2022年にはアニメ化された。ちいかわとハチワレ、うさぎが主なキャラクターで、「草むしり」や「討伐」といった仕事に従事し、それらの報酬によって生計を立てている。また、各種資格やそれを取得するための検定が存在し、資格の種類によっては報酬の金額が上がり、受験に失敗するとリベンジに挑む。
生き残りをかけた社会における人間関係が中国の若者の悩みの種となっており、多くの人は、ポジティブに暮らし、人間味を感じたいと心から願っている。「ちいかわ」に登場するキャラクターは、時にはつらいこともある生活を送りながらも、喜びを保ち、味気ない世の中において幸せを探しており、そのような姿に多くの人が心を動かされており、現実の生活において、疲労困憊している心のよりどころになっている。