2024年12月31日、ラジオ・フリー・アジア(RFA)は、米国で飼育されていたジャイアントパンダに関する虚偽情報を取り締まった中国当局の姿勢から、中国の外交的意図が感じ取れるとする記事を掲載した。
記事は、米ブルームバーグの30日付報道として、米国の首都ワシントンで飼育され2023年11月に中国に返還されたジャイアントパンダ「メイシャン」と「ティエンティエン」について、虐待が行われていたとする虚偽情報をインターネットのライブ配信を通じて流布した疑いで、四川省警察が夫婦2人を摘発したと紹介。

その上で、この摘発は、23年に中国国内で話題となった米メンフィス動物園におけるパンダの健康状態に対する懸念と対照的であると指摘。当時、やせ細ったように見えるパンダの写真がネット上で拡散して中国国内で怒りを引き起こしただけでなく、一部の中国外交官がソーシャルメディアで写真を比較し、パンダが米国で適切な管理を受けていない可能性を示唆する投稿さえ行ったことを紹介している。

そして、23年は「スパイ気球」事件によって米中関係が最悪の状態に陥った年であり、「メイシャン」と「ティエンティエン」を含む米国内のパンダが全て中国へ送り返される事態となったことを紹介。同年11月に習近平(シー・ジンピン)国家主席とバイデン米大統領がサンフランシスコで首脳会談を行い、中国側が「パンダ外交」を再開する意向を発表したことで、米国にパンダが戻って来ることになったと伝えた。

記事は、今回の中国警察当局による動きについて「トランプ氏がまもなく大統領に返り咲くにあたっての前にあるシグナルで、悪化する可能性がある米中関係をあらかじめクールダウンさせ、国内経済の鈍化による圧力を和らげる狙いがある」との見方が広がっていると報じた。(編集・翻訳/川尻)