2025年1月3日、観察者網は、中国政府がリチウム精製などの重要技術を輸出制限リストに追加した場合の影響に関する米国メディアの報道を紹介する記事を掲載した。
記事は、中国商務部が先日、23年12月に「中国禁止輸出制限技術リスト」の調整に関するパブリックコメント募集通知を発表したことについて、米ブルームバーグが今月3日に報じた内容を紹介。
記事によると、ブルームバーグは今回の措置について、米政府が中国に対する技術制限を強化したことに対する報復措置の一つと伝えており、世界的に有名な電池材料コンサルタント会社「ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンス」の専門家が「この通知は、中国が世界のリチウム加工分野での支配的な地位を維持する助けになる。輸出制限の程度によっては、中国の技術を活用してリチウム化学品を生産しようとする西側企業にとって大きな試練となる可能性がある」と指摘したことを紹介した。
また、「白い石油」とも称されるリチウムはエネルギー転換の鍵となる金属であり、電気自動車のバッテリーの重要な原材料であること、中国が世界のリチウム精製能力の2/3以上を占め、リチウム加工分野では先進的な技術とコストの優位性を持っていることを紹介。欧米諸国が中国への依存を減らすためにリチウムの供給体制整備に着手している一方で、米コンサルティング会社ユーラシア・グループのオリバー・モンティーク氏からは「リチウムサプライチェーンの構築における西側諸国と中国との格差は縮小するどころか、むしろ拡大しているように見える」との指摘が出ていると伝えた。
記事はさらに、ブルームバーグの気候変動およびエネルギーコラム執筆者デヴィッド・フィックリン氏が「もし先進国が中国政府の影響を受けないクリーンエネルギー産業を築こうとするのであれば、2010年代に鉱石生産者や加工業者の資金不足が問題となった時点で、すでに資金を投入すべきだった。今や世界のリチウム産業は中国資本と強く結びついており、切り離すことは不可能だ」とコメントしたことを伝えた。(編集・翻訳/川尻)