中国メディアの環球時報は10日、「中国が自動車産業でリードする四つの理由」とするドイツメディア、Elektroauto-Newsの記事を取り上げた。

記事によると、FTIコンサルティングのシニアマネージングディレクター、ハイコ・ラウシャー氏はベルリンで開催されたオートモーティブマスターマインドで、中国の自動車メーカーが自国市場だけでなくその先でも優位に立っているというほんの数年前には考えられなかった展開について語った。

10年前には単なる模倣者とみなされていた中国企業は今や、多くの分野で先導役を務めている。

記事は「中国における小型自動車生産に関する数字はこの傾向を印象的に強調していると同時にテクノロジーのイメージも変化している」とし、Civeyがこのほどドイツ人5000人を対象に実施した調査によると、回答者の42%がドイツメーカーよりも中国メーカーのデジタルイノベーションを信頼しており、ドイツが優位に立っていると考える回答者はわずか25%だったことを紹介した。

また「サプライヤー分野でも変革が起こっている」とし、FTIの分析によると、2021年には世界の自動車部品サプライヤー上位100社のうち中国企業はわずか7社だったが、24年には15社にまで増えたことを紹介し、ラウシャー氏によると、この成功は偶然ではなく、イノベーション、スピード、コストリーダーシップ、人材という四つの主要な成功要因に基づくと伝えた。

記事はイノベーションについて、「中国企業は消費者のニーズを深く理解しており、それが特にコネクティビティ、インフォテインメント、ソフトウエアの分野においてユーザー重視の製品に反映されている」と伝えた。

スピードについては「特に顕著な利点だ」とし、「欧米のメーカーが新しいプラットフォームを開発するには平均4年以上かかるが、中国のメーカーは約2年の開発サイクルで作業を行っていて、将来的には18カ月未満に短縮されるだろう」と伝えた。

コストリーダーシップについては「中国では、賃金カットや品質の妥協によってではなく、標準化、規模拡大、柔軟性というよく考えられたシステムによって達成される。調達も重要な役割を果たし、地域的に組織されたサプライチェーンは輸送コストを削減するだけでなく、世界的な混乱に対する企業の耐性も高める」と伝えた。

記事によると、この実際的なアプローチは人員構成にも反映されている。多くの中国企業は、ピーク時の受注に対応するため臨時労働者を配置する柔軟な雇用モデルに依存している。明確に構造化された職場とターゲットを絞った研修により、新入社員がすぐに生産的になることが保証される。管理体制は意図的に簡素化され、間接費は低く抑えられている。この効率性は主要人材の採用にも引き継がれているが、考え方はまったく異なり、インテリジェント運転機能の最高技術責任者(CTO)やコックピットアーキテクチャのディレクター、バッテリーマネジメントシステム(BMS)アルゴリズムの専門家など、主要な研究開発職の給与が大手テクノロジー企業の水準に達している。

中国企業は人工知能(AI)やソフトウエア開発などの分野から優秀な人材を誘致することに成功している。

記事は、注目すべき点として「中国企業がこうした投資をリスクとしてではなく、戦略上の必要性として捉えている」ことを挙げ、ラウシャー氏によると、最高の頭脳を求めるなら、それに応じた投資をする覚悟が必要で、まさにそれが今、中国で起こっていることだとし、「中国企業はより機敏に、そしてはるかに速いペースで事業を展開している。欧州のメーカーはこれらのメカニズムをコピーする必要はないが、それを理解し、そこから独自の答えを生み出す必要がある」と伝えた。(翻訳・編集/柳川)

編集部おすすめ