2025年5月13日、香港メディア・香港01は、台湾が「中国製」を政治的に敵視する背景について論じた記事を掲載した。

記事は、中国政府が2015年に打ち出した製造業発展計画「中国製造2025」に基づき国内産業の革新を進めるとともに、世界のバリューチェーンまでも変えようとしていると紹介。

中国本土の戦略は半導体や精密機器などの分野で台湾企業にプレッシャーを与えているものの、中国市場が大きな収益源でもあることから台湾企業は「協力の中で競争し、競争の中でも協力する」という立ち位置を模索していると伝えた。

一方で、台湾の政界やメディアは「中国製造」を「赤いサプライチェーン」「ハイテクの諜報戦」といった敵対的な文言で表現し、中国の産業による成果の矮小(わいしょう)化や中国の技術に対する不信をあおり立てていると指摘した。

また、学術界でもそれぞれのイデオロギー的傾向によって「中国製造」に対する見解が分かれており、一部の学者が半導体などの先進分野における成果を前向きに捉え、世界のサプライチェーンに対する影響力を評価しているのに対し、別の一部の学者は中国の産業政策が「国家資源による国際貿易秩序の破壊」であるとみなし、台湾企業を世界のサプライチェーンから追いやろうとしているとの認識を持っていると紹介した。

記事は、台湾政府がこれまで「脱中国化」の根拠としてきた自由貿易や資本の流通、技術の拡散といったグローバリゼーションの秩序が、米トランプ政権が掲げる「米国第一主義」によって揺らいでいると指摘。米国の保護主義的な政策転換を前に、台湾はサプライチェーンの再編と、イデオロギー的な制約のジレンマにさいなまれているとした。

そして、台湾政府について、「中国製造」への敵視を維持することが現状にそぐわず、自らの産業の成長を阻害する可能性があることを認識すべきであり、中国の発展や技術力を直視した上でその活用と競争の境界を明確にしていくことが、台湾の競争力と安全を守る上で必要だと論じた。(編集・翻訳/川尻)

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